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合理的とは言い切れない中国製食品の輸入禁止措置(KlugView)
2008/09/29 (月) 17:37
欧州連合(EU)の欧州委員会は、中国製乳製品から有害物質メラミンが検出された事件をきっかけに、粉ミルクなどが含まれる子供向け中国製食品の輸入を禁止すると発表しました。また、粉ミルクなど乳成分が一定以上のすべての中国製食品を対象に安全検査も義務付けることあわせて発表しています。
中国製食品の輸入禁止の動きは、EUに限ったことではなく、世界各国に広がりを見せています。インドとリビアは、中国製乳製品の輸入を禁止にしたほか、トーゴ、ベニン、スリナムなど、中国製の何らかの食品を輸入禁止とした国は時間とともに増える傾向にあります。
日本では、厚生労働省が中国製乳製品を使った食品を食品衛生法に基づく検査命令の対象にすることを決めています。ただ、欧州委員会のように加工食品の輸入禁止とする措置は考えていないようです。
厚生労働省のこうした対応を耳にすると、厚生労働省(ひいては日本政府)の態度は、中国に対して弱腰だとし、非難する方もいらっしゃるようです。食料品は、日本に住む方に限らず人間が生きていくうえで必要不可欠なものですので、食料品の安全性を確保することは、日本に住む方々の生命を守るという意味で、政府の責務といえるからでしょう。
ただ、食料品の安全を確保するためとはいえ、中国製食品を輸入禁止とすることが100%合理的な考え方かというと、やや疑問を感じます。輸入食料品にメラミンなど危険物質が混入されなければよいとするならば、検査によって危険物質が混入された輸入食料品の流入を防げばよいはずです。いじわるな考え方をすれば、仮に中国製食品を輸入禁止としても、危険物質が混入された他国製食品を防ぐことができなければ、政府は責務を果たしたとはいえません。
是非はともかく、現実として日本は中国から大量の食料品を輸入しています。仮に日本政府が中国製食品の輸入を禁止とすれば、他国製食品もしくは国産食品で代替することになりますが、食品の生産量を短期間で大きく増やすことは難しく、また他国製食品もしくは国産食品を中国製食品と同水準の低コストで市場に供給することも難しいので、消費者段階での価格は、上昇する可能性が高いと思われます。
理論的には「食品の安全性を守れ」と主張し、食品の安全性を守るために経済的な犠牲を払うことは合理的な行動のように思えます。しかし、経済の観点で考えれば、中国製食品の輸入を禁止することで日本に住む方々が支払う経済的コストと、中国製食品の安全性検査を強化することで日本に住む方々が支払う経済的コストを比べ、より低いコストの方策を選ぶのがより合理的な行動のように思えます。
村田雅志(むらた・まさし)
●●●●●●●●●●今日のクイズ●●●●●●●●●●
中国製乳製品から有害物質メラミンが検出された事件をきっかけに
粉ミルクなどが含まれる子供向け中国製食品の輸入を禁止すると
発表した地域はどこ?
●●●●●●●●●●クイズの答え●●●●●●●●●●
欧州連合(EU)
http://www.gci-klug.jp/klugview/2008/09/29/003700.php
【理論的には「食品の安全性を守れ」と主張し、食品の安全性を守るために経済的な犠牲を払うことは合理的な行動のように思えます。しかし、経済の観点で考えれば、中国製食品の輸入を禁止することで日本に住む方々が支払う経済的コストと、中国製食品の安全性検査を強化することで日本に住む方々が支払う経済的コストを比べ、より低いコストの方策を選ぶのがより合理的な行動のように思えます。】
どのようにして「中国製食品の安全性検査を強化するか」ということが、
「今後の課題」になるでしょう。
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