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大阪・寝屋川で謎の健康被害 廃プラ施設との因果関係は・・・ (1/3ページ)
2008.7.31 14:18
http://sankei.jp.msn.com/affairs/disaster/080731/dst0807311422006-n3.htm
このニュースのトピックス:事件・トラブル
原告の長野晃さん。工場操業後、足に原因不明の湿疹ができたという 大阪府寝屋川市の太秦地区周辺で、のどの痛みや湿疹(しっしん)、頭痛といった健康被害を訴える住民が相次いでいる。住民側は同地区に2カ所ある廃プラスチックのリサイクル施設から排出される化学物質が原因と主張。操業停止などを求めて平成17年に提訴したが、このうち1カ所を運営する市側は健康被害との因果関係を否定している。訴訟は6月12日に結審したが、果たして「杉並病」と同様、原因不明の健康被害は化学物質がもたらしたものなのか。判決は9月18日に言い渡される。
問題となっている施設の一つは、寝屋川市と周辺の枚方、四條畷、交野の4市でつくる「北河内4市リサイクル施設組合」が運営する「リサイクルプラザかざぐるま」(20年2月操業)。廃プラの異物を取り除き圧縮、梱包(こんぽう)している。もう一つは民間会社「リサイクル・アンド・イコール」の工場(17年5月操業)で、自治体から受け入れた廃プラを溶解しリサイクル製品の原料に加工している。
健康被害はリ社工場の操業後から生じるようになり、住民らは17年8月に大阪地裁に提訴。「工場周辺から多種多様な有害化学物質が検出されており、住民の健康に危害を及ぼす可能性がある」と主張し、両施設の操業停止を求めた。
訴訟では、東京大大学院の柳沢幸雄教授=環境システム学=が、18年6月に行った調査で、太秦地区の大気中から発がん性のあるベンゼンが国の環境基準値の2・6倍の高濃度で検出されたと証言。岡山大の津田敏秀教授=環境医学=も、18年に住民600人を対象に行った調査の結果、工場から700メートル以内の住民は「目がかゆい」と訴える人が40%、「のどに痛みがある」という人が35%おり、工場に近い住民ほど健康被害を訴える率が高くなっていることを明らかにした。
原告の1人、環境NGO代表の長野晃さん(64)は「住民がこれだけ苦しんでいる現状を行政はどうして直視してくれないのか」。原告側代理人の村松昭夫弁護士は「水俣病など後になって公害と判明した環境汚染を、日本人はいくつも経験してきた。原因を見極め、住民の健康や幸せを守るのが本来の行政の役割ではないのか」と訴える。
一方、被告の寝屋川市側も独自に大気調査を実施。ベンゼンなど11の化学物質がいずれも国の基準値や指針値を下回ったとして、施設と健康被害との因果関係をあらためて否定した。
市環境部の清水弘美部長は「住民の不安を払拭(ふつしよく)するため、できる限りのことはやった。これ以上何をしたらいいというのか」と話す。
過去に廃棄物処理工場と健康被害との因果関係が認められたケースとしては、東京都杉並区の「杉並病」がある。8年の不燃ごみ処理施設の操業以降、周辺で健康被害を訴える住民が続出。都は当初、硫化水素による一過性の被害としたが、国の公害等調整委員会が14年、原因は施設から排出された化学物質との裁定を下し、都は損害賠償を行った。
しかし清水部長は「杉並では不燃物やガスボンベなど、混ぜたら危険とされるものも一緒に圧縮していたが、寝屋川では廃プラしか扱っていない。杉並と同じ健康被害は起こりえない」としている。
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