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株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu183.htm
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
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世界経済には、もはや覇権国家は存在しない。米国主導の時代が完全
に終わったのではないが、米国の信用と権威は落ちた。P・クルーグマン
2009年1月7日 水曜日
◆規制なき市場経済ない…ノーベル賞・クルーグマン教授語る 1月3日 読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20090103-OYT1T00071.htm?from=navr
世界金融危機は、市場経済は自由放任にしておけばうまくいくという信仰を打ち砕いた。1930年代の大恐慌後に採られた適度な規制を是とする哲学に回帰すべきだ。
市場経済そのものが悪いのではない。市場経済はいまだに最善のシステムだが、金融には問題があった。
引き金を引いたのは、米国の住宅バブルの崩壊である。元凶は、規制もされずに野放しとなっていた米証券会社やヘッジファンドなどによる「影の銀行システム」だ。
大恐慌を教訓に、銀行への規制や金融の安全網が整えられた。だが、現代の金融の大半を支配する「影の銀行システム」は、実質的には銀行なのに、銀行のような規制を受けて来なかった。住宅ローンを証券化した金融商品などで、借入金を元手に自己資本の何十倍も投資するレバレッジ(てこ)取引を行い、バブルを膨らませた。
タイタニック号の乗客が沈没するのを知らずに、別の乗客から保険を買ったようなものだ。金融工学を駆使した金融商品は安全だと信じ込んで、皆がバブルでリスクの膨らんだ金融商品を持ち合っていた。
だから、いったんバブルがはじけると、今度はてこが逆に作用し、負の影響が直ちに世界中に伝わった。米国の住宅バブルと関係のない様々な国々にも、危機は異常なほどの伝染力で広がっていった。
◆超大型の財政出動を◆
私たちは個々の融資を丹念に審査しなくても、金融工学でリスクを管理できると思い込んでいた。市場に自浄作用があるとも信じていた。しかし、結局、それは間違いだった。
今はまず、政府・中央銀行による救済策が必要だ。大規模な財政出動や慣例にとらわれない金融政策などの対策を打たなければ、不況はこの先何年も続くだろう。新興市場にも深刻なダメージを及ぼし、金融システムに深い傷を残す。一時的な巨額の赤字をためらうべきではない。
80年代のレーガン政権のスローガンは「政府は問題を解決しない。政府こそが問題だ」だったが、今必要なのは「政府こそが問題を解決する」なのである。
世界経済には、もはや覇権国家は存在しない。米国主導の時代が完全に終わったのではないが、米国の信用と権威は落ちた。米国は経済政策について多くの国に口出しをして来たが、今やそれは難しい。
「米国が父親役で、子供たちに何をすべきか諭す世界」でなく、将来の世界経済は、米国と欧州連合(EU)、中国、インドの4大勢力など大国間の駆け引きで動くことになるだろう。日本は、2番手集団の先頭といったところだ。
米国の景気を回復させるには、大規模で慣例にとらわれない財政・金融政策を迅速に行うことが重要だ。
何も手を打たなければ、現在6%台の米国の失業率は、少なくとも9〜10%に達するだろう。失業率を1%押し下げるには、2000億ドルの財政出動が必要との研究がある。失業率が5%以下の「完全雇用状態」を実現するには、巨額の財政出動が欠かせない。
財政赤字を懸念する声も聞かれるが、財政出動が将来世代を痛めつけることにはならない。今、経済をテコ入れしなければ、公共投資だけでなく、民間投資も冷え込んでしまう。経済を強くするため、あらゆる必要な手を打つことは、すべての人の利益になる。
財政出動で最も効果があるのは公共投資だ。資金が貯蓄に回らず消費されるうえ、価値のあるものが最後に残るからだ。日本に比べ速度の遅いブロードバンド(高速大容量通信)網などの情報技術やエネルギー転換への投資など、あらゆることが行われるだろう。
問題はスピードだ。公共投資は始めるのに時間がかかるが、景気の落ち込みは急速に進んでいる。社会保障給付や減税を組み合わせることが必要だ。1年目は失業者や地方自治体の支援策や広範な減税を行い、2年目以降は公共投資に比重を移していくべきだ。
オバマ米次期大統領がこうした対策を打てば、米景気は2009年後半にはやや好転するのではないか。
◆ゼロ金利政策を支持する◆
一方、バーナンキ議長の率いる米連邦準備制度理事会(FRB)は、慣例にとらわれない融資や資産買い取りを進め、08年12月にはゼロ金利政策に踏み切った。私はこれを支持するし、FRBは現実を正しく認識していると思う。
つまり、米国は1998年当時の日本と同じ状況、金利を上下させる通常の金融政策が効かない「流動性の罠」に陥っているのだ。
私は98年、日本銀行に対して、政策目標とする物価上昇率を示す「インフレ目標」政策を採用すべきだと指摘したが、この議論も再び活発になってきた。
達成できると、国民に信じてもらうのは難しいが、現在の米国で実際に効果を発揮させるには「向こう10年間、物価を年4%ずつ上昇させる」くらいのインフレ目標が必要だ。
ゼネラル・モーターズ(GM)などの米自動車大手に関して言えば、死に至らしめるべきではない。ブッシュ政権のつなぎ融資は時間の猶予を与えたに過ぎない。今必要なのは、自動車メーカーを再構築し、自動車産業を救済するために真の努力をすることだ。
多くの人々が示唆し、私も正しいと思うのは、メーカーに事業再構築のチャンスを与える形の「管理された破綻再生」だ。ただ、米連邦破産法11章は適用できないことはわかってほしい。車は耐久消費財で、アフターサービスを行うメーカーが3年以内に姿を消してしまうと思われたら、車は売れなくなるからだ。
だから、政府による融資と保証を付けた形で処理しなければならない。それでも、うまくいくかどうかはわからないが、自動車産業は巨大で、景気後退のさなかに雇用が失われれば、大きな痛手になる。
財政・金融政策がうまくいけば、私たちの孫の世代も、そんな不況があったのかと忘れてしまうだろう。まずい対応で今も記憶に残る大恐慌のようにしないために、やれることは何でもやらなければならない。
(私のコメント)
ポール・クルーグマン・プリンストン大教授は国際貿易理論への貢献で2008年のノーベル経済学賞を受賞を受賞しましたが、彼のインフレターゲット政策は日本の経済学界ではトンデモ論扱いである。インフレはコントロールできるものなのかは分からないが、インフレターゲット論を日銀官僚が理解できないのは経済学の教科書には答えが書かれていないからだ。
経済構造は年々進化して変わっていく。金利がゼロでも借り手がいなくなる現象は教科書には載っていない。従来はインフレが過熱してくれば金利を上げて調節してきた。しかしデフレになったら金利をゼロ以下には出来ないから他の方法で調整しなければならない。そこで日銀は量的緩和で対応した。
この量的緩和は銀行が持っている国債などを中央銀行が買い取る形で緩和するが、マネーは銀行でストップしてしまって貸し出しという形では市場には出て行かなくて、米国債などを買って海外に流出していった。そのマネーがアメリカでのバブルの原因にもなったのですが、金融の量的緩和は国債を買い取るよりも株式やCPを買って直接市場に出した方が有効だろう。銀行がリスクを取れなくなれば中央銀行がリスクをとる必要がある。
現在のアメリカのFRBがちょうどそれに直面しているのであり、ゼロ金利にして資産の買取などで市場にマネーを放出している。経済の教科書ではそのような事をすればインフレになると書かれていますが、実際に起きている事は信用収縮に伴うデフレ現象だ。
市場のマネーは銀行や株式市場で信用が創造されてマネーは数倍にも膨らんで流通して行く。しかしバブルオ崩壊が起きると信用の収縮が起きてマネーは市場から消えていく。それを防ぐには政府の財政出動で公共事業などでマネーをばら撒く必要がありますが、日本の政府日銀の財政出動は中途半端に終わってしまった。
もし90年代に現在のFRB並みに一気に300兆円ぐらい使うつもりで財政出動していれば、もっと早くバブル崩壊後の低迷から脱出できた事だろう。銀行が抱えていた不良債権も100兆円ほどであり政府が買い取っていれば済んだ事を小出し小出しで長引かせてきた。米政府とFRBの金融対策の規模は700兆円であり、これで失敗すれば米経済は破綻するだろう。(700兆円を何処で調達するのか?)
アメリカが直面している事に比べれば日本のバブル崩壊は規模が小さく国内で対応が出来た。しかし今回の金融恐慌は世界的規模であり、未だにどれくらいの損失規模であるのか見当もつかない。米政府とFRBは待ったなしの対応に追われて金融機関のみならずビックスリーの救済まで対応しなければならない。アメリカでなければIMFの管理下で再建が行われるべきなのですが、IMFで管理しろといっているのは「株式日記」ぐらいだ。
それでもドルの基軸通貨体制には揺らぎがないと言う意見も聞かれますが、ポール・クルーグマン教授が言うようにアメリカの経済覇権も信用も権威も地に落ちてしまったのであり、ドルの基軸通貨体制のあとの事も考えておかなければならない。フランスのサルコジ大統領はユーロを基軸通貨にしたい考えのようですが、EU諸国も問題を抱えておりドルからユーロへの基軸通貨の移行は難しい。
おそらくドルとユーロと円のバスケットが国際通貨として信任されて行くのではないだろうか? 昨日も書いたように90年代から日本はマネーの供給国であり、日銀の金利の上げ下げが世界経済に大きな影響を与えている。アメリカのバブル崩壊は日銀が金利をゼロから0,5%にまで上げたことが原因であり、逆円キャリーでアメリカの住宅バブルは崩壊した。
一昨日の「たけしのTVタックル」で評論家の三宅氏が「政府発行紙幣を50兆円出せ」と発言していましたが、テレビでも政府発行紙幣が語られるようになりました。普通は政府が国債を発行して日銀が買い取って紙幣が使われるようになるのですが、政府にも通貨発行権がある。通貨発行権と基軸通貨体制とはセットであり、米国債が買われるのは米政府にはドルを好きなだけ発行できるという特権があるのだ。
もちろん普通の国が紙幣を乱発すればジンバブエのようになってしまう。通貨発行権は日本やアメリカのような経済基盤が強固であり経済供給力の範囲内であれば通貨を発行してもインフレは発生しない。しかし政府日銀は日本のデフレギャップすら把握していないようだ。彼らの経済学ではデフレギャップは存在していないからだ。
麻生内閣では定額給付金が問題になっていますが、12000円というちっぽけな金額ではなく、1人につき百万円給付したらいいのではないかと思う。もちろん政府発行紙幣であり赤字国債は関係が無い。全部合わせても130兆円ですむから非現実的な話ではない。4人家族なら400万円で高級自動車が買える。10人の大家族なら家が買えるだろう。
冗談も休み休み言えという声が聞こえてきそうですが、ポール・クルーグマン教授が言うように「大規模で慣例にとらわれない財政・金融政策を迅速に行うことが重要」なのだ。もしかしたら12000円の定額給付金はテストケースであり、成功すればさらなる大規模な1人100万円の定額給付金が実行できるかもしれない。内需を拡大するには消費の拡大が必要であり、経済対策を打つよりも国民に直接給付した方が効果があるだろう。
もし1人100万円使えば5万円の消費税が戻ってくるし、所得税や法人税などの税収入で50兆円ぐらいの税収があるはずだ。消費税だけでも6兆円の税収になる。このような計算を財務省や日銀はした事があるのだろうか? このような常識はずれの理論は東大を出た秀才では無理であり、ノーベル賞級の天才学者でないと無理なのだろう。
◆財政出動を応援して日本の時代を創ろう! 1月1日 藤本龍夫
http://homepage2.nifty.com/niwaharuki/text/21.1.1nentounohouhu.htm
今年は、良い年になりそうだ。
第一に、日本国政府が、財政出動路線を選択している。
我々が、10年来主張してきた財政出動こそが、日本経済を立て直し、国民生活を向上させ、財政黒字を生み出すのだという主張が認められたのである。
今までのところ、財源に「埋蔵金」や国債発行を政府は、考えているが、それでは足りないことが今年は分かってくるだろう。現実的に考えれば財源は政府紙幣発行しかないことが分かる年になる。
もしも、そこに気がつけば、国民一人当たり12000円配布するより、一人当たり120万円配布することが可能となり、高度成長路線に切り替えることができる。
一般に保守派と言われる人達は国力の衰微には無関心であるが、軍事力の基礎は経済力にあることを考えて欲しい。
我が国の経済復活なくして、日本の独立はなく、それゆえ日本軍の復活はない。
(後略)