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株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu183.htm
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
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2006年4月、日銀はゼロ金利と量的緩和を停止します。それが、世界の
金融連鎖の中で最大400兆円相当のマネーを抜くことにもつながった。
2009年1月6日 火曜日
◆新年特別号:マネーと信用の根源をたどれば、信用恐慌が分かる 1月4日 吉田繁治
http://archive.mag2.com/0000048497/index.html
■10.支払い準備率と信用創造
【準備率の秘密】
ここで例えば5%の「支払い準備率」を言う必要があります。5兆円の預金を預かったとき、政府規制で、銀行はその5%(2500億円)を支払い準備として、中央銀行の当座に預けるか、手持ち現金(他の銀行への預金)に残さねばならない。
銀行システム全体の信用創造は、5兆円÷(1−0.95)=100兆円が最大になります。4%なら125兆円です。
5兆円+5兆円×0.95+5兆円×0.95の2乗+5兆円×0.95の3乗+5兆円×0.95の4乗・・・・・=5兆円÷(1−0.95)=100兆円
(注)連鎖の途中で、5%以上を残す銀行が出ます。上記計算は、5%の準備率での最大信用の創造額です。
銀行の連鎖のシステムで、最初のA銀行への預金5兆円が、総額で100兆円の信用を創造するのですから、すごい。
紙幣ではない。預金のデジタル数字です。そしてその預金は、企業や個人への融資と、国債を含む有価証券の購入になる。この銀行システムが、現代社会に、普通の仕組みとして組み込まれています。
【バブルとバブル崩壊が宿痾になった】
以上から、投機とバブル経済を生む過剰な信用創造は、不況期に金利をゼロに向かい下げるので、現代社会の宿痾(しゅくあ)といっていいのです。過剰になった信用で、過剰な投資と消費が行われる。
返せない負債の極点付近で、銀行信用、株信用、不動産のバブルが同時崩壊し、信用恐慌が起こる。
【日銀のゼロ金利と量的緩和が果たしたこと】
世界の銀行システムの連鎖による、無からの信用創造(=マネー創造)の構造を知れば、日銀がゼロ金利を発動した10年前から、ジャパンマネーが、1年で約40兆円主に米国に流出したことの、重い意味も了解できるはずです。
1年40兆円は、5%の支払い準備率ならその20倍、つまり800兆円の、世界の銀行システムでの信用創造、つまり預金を生む。
【3%のスプレッドで動く】
国内をゼロ金利にすれば、マネーは3%以上のスプレッド(利幅)の利を求め、当然、より金利の高い海外に、資本逃避(キャピタルフライト)する。90年代以後の米国は、かつて日本より、ほぼいつも3%は金利が高かった。(注)今FRBはゼロ金利策。米ドルが売られることを意味します。
金利は、貸し付け、証券、株の投資の、利回り率も決めます。
【世界の資産バブル崩壊の遠因は、日銀だった】
2006年4月、日銀はゼロ金利と量的緩和を停止します。31兆円もあった日銀当座預金(金融機関の預託マネー:06年3月20日)を、3ヶ月の超短期で10兆円にまで、20兆円絞ったことが、世界の金融連鎖の中で20兆円×20倍=最大400兆円相当のマネーを抜くことにもつながった。
このため米国の不動産は、06年夏から下落地域が出た。
この策が、翌2007年になると、ファンドのキャリー・トレードの解消(返済)を手始めに、米国と世界の信用収縮を生み、世界の不動産バブルを崩壊させた原因と見ています。
残念ですが、日銀の頭脳には、そこまでの金融の想像力はなかった。(注)キャリートレード:金利の低い通貨で借り、金利の高い通貨の証券を買うこと。
日本の、800兆円の預金を中心にした個人金融資産は、世界の鯨のように、巨額です。それが、規制が緩くなった、世界の金融連鎖のチェーンで更に膨らんだ。
2000年はほぼゼロで、年々大きくなり、$62兆になった保険商品CDS(債務保証保険:07年末)も、金融機関が貸したり、あるいは社債、住宅証券を買うリスク感を減らしていたのです。
普通なら売れない、回収に無理があるサブプライムローンの、信用度がジャンク(くず)でも、回収を保証するCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)を掛ければ、額面償還と利払いをAIG等が保証するAAA証券に変わるからです。
回収保険を売ったAIG等は、保証料をプレミアムとして受け取り、史上最高の利益を出していた。2008年半ばまで、世界の金融は、金融保険のCDSやCDOを使って、ノンリスク金融とされた。信用バブルは、そのため、一層、膨らんだ。
言い換えれば、金融(=貸し付けと証券購入)につきものの、リスクを回収保険で消したことが人々のリスク感を鈍らせ、ファイナンスが極点まで行ってしまった。これが今回の金融危機を、信用恐慌に至らせた原因です。
あらゆる保険は、リスク率が想定範囲のときだけ成り立つ。計算を誤れば、全体が破綻します。それが、2007年から起こった。
(注)風船(信用=マネー)が膨らみきれば、極点での爆発は大きく悲惨です。日本のゼロ金利での世界の信用膨張を、海を超えた遠因とする破裂、つまり突然の世界恐慌は、必然だったのですが、それが、若干弱いものになったとも言えます。
信用恐慌によるバブル崩壊は、突然、返せない負債の変曲点(=臨界点)を超えたとき襲う。信用恐慌の前週まで、経済は、抜ける青空の、絶頂です。ドバイには、地上1000メートルのビルも企画させた。今、工事停止状態。
今回の恐慌は、以上のように、世界が初めて経験する21世紀の、デジタルマネーと保険料率を計算する金融工学が生んだ乗数金融型の信用恐慌です。姉歯事件の、耐震偽装に似ています。
前FRB議長のグリーンスパンが、本当は当事者責任の回避の目的で言った、「100年に一度」ではない。デジタルマネーやCDSは新しいからです。
90年代には、CDSはなかった。1929年にもなかった。新聞や論者は、枕詞に100年に1度と言う。これは、もうやめたほうがいい。対策を間違えるからです。
■11.銀行は負債額が資産額
ここで、信用創造する銀行のチェーン・システムを、注意深く見れば、最初の5兆円から、100兆円(20倍の信用:マネー)を創造した銀行システムの全体が、銀行の、自分のものではない国民から預かったマネーをもとに、社会の富のほとんどを所有していることにも気がつきます。
銀行は、ぺーパーマネーを貸す代わりに、普通、評価額から20%〜30%くらいの欠け目を見た財貨を担保にとるからです。
銀行にとっては負債の預金は、
・銀行システムを媒介に、
・金融機関の資産である貸付金、
・有価証券の所有、株の所有になって、
銀行が所有します。
企業やローンをもつ世帯を生かすも殺すも、銀行や金融機関の思惑によるものになる。
その上、金融機関が損をし、破産状態になれば、米国や日本のように、国家が国債を刷り(事実上無償で)貸し付け、あるいは資本注入し救います。
その金融株主の、世界の頂点が、網の目のようなネットワーク構造をもち、金融機関の最終資本の多くをもつ、(国際金融マフィアである)ロスチャイルド家や、ロックフェラー財閥、あるいは国家とは言いませんが、まぁ、たどればそういった仕組みです。
なんだか・・・社会が壮大なフィクションに思えます。大元は、近代社会が、個人や企業が所有するマネーのほぼ全額を銀行へ預金にしているからです。資本主義は、デジタルマネーとネットワーク型の金融資本よってそこまで行き着いてしまった。
▼消費財デフレと資産インフレの同居
19世紀型の、単純な一国資本主義では、過剰な信用創造(マネーの増加)は、インフレになった。しかし、2000年代は、逆に、消費財〔商品〕のデフレ〔価格下落〕の時代でした。
理由は、中国と旧共産圏(東欧)及びアジアが、資本と技術輸入によって、電子部品を使う高度な商品まで、先進国の10分1以下の低い労務費で作り、低い価格で大量に輸出するからです。
最近、望みの一眼レフ(ニコンD90)を買いました。中級クラスですが、凄い性能。ボディ価格は、8万円。シグマ製のレンズが約4万円。ニコンは、日本光学。日本製かと思っていたのにタイ製でした。国際分業と技術移転が、高度製品の領域まで来たかと、感慨深い。
こうしたことのため、1980年代までのようには、先進国のワーカー賃金が上がらない。賃金が上がらないと、購買力は増えません。
購買力が増えないと消費財のインフレは、なかなか起こらない。米国は違っていました。世帯が1年に100兆円分借金を増やし商品を買ったからです。
代わりに、世界では資産インフレを超えた資産バブルが、起こった。不動産は、後発国で作り、輸出することはできないからです。
次は、株による信用創造です。金融機関だけが無から信用創造するのではない。株も、将来利益を現在価値に還元するメカニズムで、大きなマネーの元になる信用を、創造します。
■12.株も信用創造
2007年10月の世界の株価時価総額は$63兆とピークでした。世界のGDPが$60兆ですからそれを超えています。
07年8.19に、欧州で始まったサブプライム・ショックは、バーナンキが言ったように、数十兆の損としか見られていませんでした。低金利と、前記の金融の連鎖による巨額な信用創造(実質的なマネーの増加)への想像力が、欠落していたからです。
株にも、銀行チェーンのような信用創造のメカニズムが組み込まれています。
▼株の理論価格
株価の理論価格は、
・次年度からの企業予想利益に、
・各年度のリスク率を掛け、
・期待長期金利で割ったものです。
(正確には、ファイナンス論でこうだとされる)
企業の、ほぼ確定した次年度利益(税引き後純益)を10億円と仮定します。翌年の、利益予想のリスク率を10%とします。そうすると、企業の期待純益は以下になる。
10億円+10億円×0.9+10億円×0.9の2乗+10億円×0.9の3乗+10億円×0.9の4乗・・・・=10億円÷(1-0.9)=90億円
これが、期待純益です。そして各年度の期待純益を長期金利(複利)で割る。現在の長期金利が2%、金利の変動リスク率を1%の幅(50%)とします。これを加味することは、各年度の期待純益に、0.97の各年度の累乗を掛けたことと同じです。
10億円+9億円×0.97+8.1億円×0.97の2乗+7.3億円×0.97の3乗+6.6億円×0.97の4乗・・・≒80億円=ファイナンス論の理論価値
80億円の理論価値と見なされる。予想PER(=株価の理論時価総額80億円/次期純益10億円)では、8倍と低い。(注)これが今の理論価格水準でしょうか。
1年前の07年秋の時点では、世界の主要株の実績PERは、15倍(先進国)から60倍(中国等の新興国)でした。理由は、世界経済の5%成長で、次年度より高い企業純益が、共同幻想で期待されていたからです。
1年で20%利益が増えると仮定すれば、以下のようになります。予想のリスクを10%とします。各年度の期待純益は、以下のように、増えます。
10億円+10億円×1.1+10億円×1.1の2乗+10億円×1.1の3乗+10億円×1.1の4乗・・・=純益は無限大
利益の無限大は、どう見ても行き過ぎです。大ざっぱに、将来15年分だけを、見るとする。理論株価は、実に、大ざっぱなものです。
これを、将来利益の割引現在価値(NPV: Net Present Value)とも言う。賭のようなものですが、経済が成長する国では、企業純益はそれ以上に上がることが多いので、説得性はもつ。
10億円+11億円+12億円+13億円+15億円+16億円+18億円+20億円+21億円+24億円+26億円+29億円+31億円+35億円+38億円=319億円です。
これらの期待純益を、各年度の期待長期金利(複利)と金利の変動リスクで割引きます。金利が低いと、次第に無視できる要素になる。理論株価は、300億円に近づきます。結果はPER30倍です。先進国でも利益の期待成長率が高い企業は、PERは20倍〜60倍にもなる。
概略を言えば、「21世紀の世界経済は成長期に入った。特に、高度成長をする新興国の企業利益は大きくなる。BRICs(ブラジル・ロシア・インド・中国)はPER20倍でも買いだ。」という論を、投資銀行1位のゴールドマンサックスは出した。
BRICsは、2000年代初頭に、ゴールドマンが証券商品を売るために作った言葉です。
株価の上昇は、その株を担保に、買える株を増やします。つまり、レバレッジでの投資が起こる。ここでも「信用が膨らむ」。つまり社会の、担保として利用できるマネーは増える。
分からないのが本質の未来の利益を分かるかのようにリスク率も加えて確率計算し担保にいれた。理論株価の根拠は、これしかない。
株式市場では、$64兆(5800兆円:07年10月:$1=90円換算)のマネーが作られたと言っていい。今これらは、約40%〜50%下げています。
株の信用総額は、3000兆円近くが失われています。この損は、世界の不動産の下落損にも、匹敵する。比較すれば、日本のバブル崩壊は小さかった。
2000年代が、金融と株での、過剰な信用創造をベースに、不動産と株価の資産価格を極点まで押し上げていたということを想定すれば、PER30倍は、いかにも変と分かったはずですが、多くの人はそう思っていなかった。
企業利益は史上最高で、世界経済は5%の高度成長、新興国は2桁成長と前提していたからです。
以上、本稿では、2007年までの過剰だった信用創造を解きました。次は、信用崩壊(=信用恐慌)後を、見極めねばなりません。原因を見なければ、正当な対策もない。
◆金余り終焉を懸念 BRICsも急落、世界同時株安日本銀行が世界経済の動向を左右する時代が来ていた 2006年5月25日 株式日記
http://www.asyura2.com/0601/hasan46/msg/445.html
◆(英紙)対外資産$3兆を抱えた日本は、まだまだ世界のトップ債権国だこの5年間、国際的な資産ブームの流動性の最大ソースは日銀だった 2008年1月8日株式日記
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/e/24dd8e029f99d482f141748a91289c22
◆ドルの孤独な下落は、世界経済の不安に直結する。すでに円は、日本人だけの円ではなく、世界の信用創造を担う通貨なのです。 2007年8月14日 株式日記
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/e/3193b63fbdc81444c5f5f4f9a081e74c
◆『アメリカ経済終わりの始まり』 松藤民輔(著) ゼロ金利解除が意味するもの 2006年現在、円は世界の基軸通貨になった 2007年3月9日 株式日記
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/e/780d2eb1bafbcf781de90a83864b8a8d
(私のコメント)
最近のテレビニュースを見ていると「100年に一度の・・・」とか「アメリカ発の金融大恐慌・・・」とか言った発言が目立ちますが、今回の金融恐慌はCDSとデリバティブのシステム破綻に伴う信用不安なのだ。日本で起きた事は単なるバブル崩壊ですが、現在の世界で起きている事は信用破綻であり、CDSやデリバティブの規模があまりにも大きいので、市場が疑心暗鬼になって機能停止になってしまっている。
どんなジャンク債でもCDSの保険をつければAAA証券に生まれ変わるのですから、アメリカの投資銀行は大儲けをした。しかし保険を引き受けたAIGは企業倒産が増えるに従って経営が破綻してしまった。いまやFRBが信用の引き受け手になっていますが、FRBの信用が無くなればアメリカが破綻する。
アメリカは金融立国が国家戦略だったから、CDOやCDSといったデリバティブに規制をかけなかった。規制緩和は市場原理主義からすれば当然のことであり、投資銀行からすれば規制されれば商売が出来なくなってしまう。規制するのがFRBの役目なのですがグリーンスパンは規制に反対した。
例えば不動産ローンの証券化は金融革命であり、ローン会社は債権を転売してノーリスクで商売が出来る事になる。同じく新興国に対する融資も証券化して転売して、CDSをつければAAA証券となって全世界に売られた。しかしいったんリスクが顕在化すると証券化ビジネスの欠陥が露になって証券の買い手が無くなってしまった。
金融工学と言えば聞こえがいいのですが、一種の『ねずみ講』であり一定条件でしか通用しない確率計算で計算している。しかしこのような事は90年代のLTCM破綻でもあったように、計算式は正しくてもリスク評価が間違っていれば『ねずみ講』と変わらないのだ。さらに金融工学ではリスクをも転売できる仕組みを考えたのですがそれがCDSだ。
アメリカのバブル発生は90年代から起き始めていたのですが、本格化したのはITバブルが破裂した後の住宅バブルが起き始めた時だ。当時は911テロ事件やイラク戦争が始まってFRBとしては何としても景気回復させる必要があった。
吉田繁治氏がメルマガで書いているように、日本の超金融緩和で日本からアメリカに毎年40兆円ものマネーが流れ込むようになった。その40兆円がアメリカに流れ込めば信用乗数で10倍の400兆円のマネーが流通するようになり、アメリカは空前の消費景気に沸いた。
ゴールドマンサックスは中国など新興国へのファンドを立ち上げて、中国は毎年二桁の高度成長を実現した。それはアメリカの金融立国戦略の柱になったのですが、日本から技術と資本を移転させる事で可能になった。その為には日本を円高にして投資を海外に向けさせる事であり、日本の輸出企業は工場を中国に移転させる事で円高を克服した。
中国は広大な工場用地があり無尽蔵の若年労働者がいて人件費は日本の20分の1ですんだ。だから日本の輸出企業はアメリカへの輸出で空前の利益を稼いだ。その結果、日本の空洞化が進んで中国から大量の安い日用品が輸入されてきて価格破壊を起こした。
日本はバブル崩壊の後の信用収縮によって株価も土地の価格も5分の1に下落してしまった。銀行も企業も過剰債務の整理に追われて日銀のゼロ金利政策はまだ続いている。その中で日本企業は中国への積極的な投資で順調に拡大して行ったのですが、国内では工場整理や人員整理が進んで非正規社員が拡大して行った。
まさに日本のマネーがアメリカの投資銀行に流れて、10倍に膨らんだマネーは消費を拡大して世界から物を買いまくった。さらに中国への投資でさらにマネーは10倍に膨らんでアメリカに帰ってきた。アメリカの投資銀行も手数料で莫大な利益を上げてきました。
その流れが変わったのは2006年4月の日銀によるゼロ金利解除であり、金利を0,25%上げただけで世界同時株安を引き起こすほどのインパクトをもたらした。アメリカの投資銀行やファンドはレバレッジを効かせた投資で30倍から50倍のレバレッジで投資をしていた。だから0,25%の金利でも影響は大きくマネーの逆流が起きた。
日本のマネーがドルの高金利に誘われて投資されることで10年近く円安傾向になり、輸出企業は円安利益を享受した。ところが日銀が金利を上げ始めて逆円キャリーが起きて円高になるようになった。アメリカの信用膨張による金融資産はGDPの10倍もの規模になり、日銀の金融引き締めでアメリカのバブルが破裂してしまった。だから世界中の為替が暴落する中で日本の円だけが上がっている。
これは日本が世界にマネーを供給してきた事の証明であり、日銀が世界の中央銀行の役目をはたしていることの証明だ。ところが日銀のはそのような自覚は無いようだ。
なぜ日本の円が信用創造の元本になっているのかというと、日本の産業技術競争力が高いからであり、80年代から日本でしか作れないものが多いからだ。製品ブランドでは韓国製や中国製でも中で使われている主要部品や素材は日本製だったりするものが多い。日本の経済学者などは物作りは止めて英米のような金融立国を目指せという人がいるが、金融テクノロジーの本質は詐欺でありいつかは破綻する。それに対して物作りは技術の積み重ねがあり、簡単には出来ないものだ。
吉田繁治氏の記事にもありますが、カメラのニコンD90という製品を買ったらレンズはタイ製だったということです。このように日本企業は国際化して製品が作られている。日本は90年代からGDPはぱっとしないのですが企業は世界に拡大している。それに対してアメリカやイギリスは工業製品では対抗できないので金融立国を目指した。しかしそれは今回の金融恐慌で戦略は破綻した。
物作りと金融ではどちらが儲かるといえるだろうか? 金融で儲けても10%の配当が出来るファンドは少ないだろう。それに対して物作りは1トン1万円の鉄で1台の車を作り200万円で売ることが出来る。任天堂のWiiの原材料の単価は1000円もしないだろうが製品は2万円で売られている。それだけ付加価値のあるものを日本企業は作り続けているから円が高いのだ。