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● ニュースと感想 (12月24日)
「医師不足」について。
現状では、医師不足(特に産科医不足)があると言われている。しかし、これは大嘘であるようだ。
NHKの9時のニュース( 2008-12-23 )によると、女性医師はどんどん辞めているという。理由は、出産のためだが、もっと重要なのは、出産後の復帰の制度がないせいだという。つまり、赤子や児童の保育施設がない。だから、医師の現場に復帰できない。
逆に、一部の病院では、赤子や児童の保育施設があるので、女医さんが復帰できているという。しかしながら、そのような病院は、ごく限られているようだ。また、復帰する女医さんに対して、ブランクを補う研修制度も必要だが、そういう研修制度を用意している病院も少ない。
結局、不足しているのは、医師ではない。次の二点だ。
・ 赤子や児童の保育施設
・ ブランクを補う研修制度
この二点が足りないわけだ。だから、「医師不足を何とかせよ」と騒ぐときには、「研修医を地方に強制的に振り分ける」というような策ではなくて、上記の二点を拡充すればいいわけだ。
政府がこれまで示した方針は、「研修医を地方に強制的に振り分ける」というような策だが、これは、ただの「配分の変更」にすぎない。そのことで、地方の不足は緩和されるが、都会の不足はいっそうひどくなる。そのときになって、「地方から都会へ」という方針を出しても、何にもならない。愚の骨頂。
問題は、配分の変更ではない。「休んでいるものを稼働させること」なのだ。……そして、これは、今の「不況」という状況と、まったく同様の原理である。
今の不況に際して、政府の馬鹿な連中は、「自動車産業が苦況だから、自動車産業に援助しよう」と考えているようだ。しかし、そうすれば、自動車産業が救われるかわり、他の産業が苦況になるだけだ。なぜか? 国民全体の「総所得」が同じだからだ。
例示的に示そう。ある家庭の所得が年収 400万円から 300万円に減った。そこで、仕方なく、自動車を購入する予定をやめた。そこで政府が「自動車購入促進の補助金」を出すことにしたので、大急ぎで、ローンで自動車を買い換えることにした。しかしながら、その結果、液晶テレビやパソコンなどを買うのを辞めることが必要になった。結果的に、自動車業界の苦境は緩和されたが、その分、家電業界やIT業界の苦境はいっそう増した。
結論。
配分の変更など、いくらやっても、全体の苦境を改善することはできない。自動車業界を救って他の業界を苦況にしても駄目だし、地方を救って都会を苦況にしても駄目だ。
大切なのは、全体の容量を増やすことだ。医師ならば、現場で働く意志の総量を増やす。経済ならば、日本全体の国民所得を増やす。(i.e. 減税をする。)
こういう基本原理もわきまえないで、「配分の最適化を」といくら唱えても、そのような古典派的な主張は、何ら状況を改善しないのだ。
そして、そういう愚かな道を取って、泥沼状態になっているのが、現状だ。日本政府が今やっていることは、何か? 次のことだけだ。
「三年後には景気が回復すると予定して、その予定に従って、消費税の増税を決める」
比喩的に言えば、次のことと同じだ。
「三年後には給料が回復すると予定して、その予定に従って、借金の返済をサラ金業者に確約する」
そのとき、確約の条件は、「もし守らなかったら、何でも差し上げます」ということだ。たとえば、「女房を差し上げます」ということだ。……しかし、そんなことを確約して、大丈夫なんですかね? 狂気の沙汰だとしか思えないが。
● ニュースと感想 (12月23日b)
「円高の状況と意味」について。
円高になった、という話題があるが、それについてのデータを二つ。
(1) 欧州の為替レート
欧州と比べての円レート。この5年間、ずっと上昇基調にあったが、最近になって、急激に低下した。特に、英ポンドは変化の度合いが大きい。
ユーロ・円のレート(5年間)
英ポンド・円のレート(5年間)
日本企業は、輸出して為替差益を大幅にむさぼってきたが、もはやそれも不可能。
(2) 貿易赤字
11月の貿易収支が大幅赤字になった。8月以来。
→ 読売のサイト
「黒字の是正のために円高になる」というのとは別のことが起こっているわけだ。赤字であっても、円高になるわけだ。
ちょっと経済学の常識に反する感じ。どうして円高になるかというと、日本よりも米国や欧州の悪化の度合いの方がひどいからだ。
 ̄ ̄ ̄
(2) は何を意味するか? 現在の状況が 世界恐慌になりかけている、ということかもしれない。そのくらい、ひどい状況だ。
となると、世界恐慌を避けるための経済政策が是非とも必要だ……と言えるだろう。
だが、私がこう言うと、
「そんなこと、いちいち言わなくてもわかっている」
と思う読者も多いだろう。しかし、現実は、どうか? 政府とマスコミの方針は、次のことだ。
「財政再建のために、消費税を上げよう」
つまり、
・ 政府は「消費税を上げる」という方針を決めようとしている。(各紙報道)
・ 読売社説も「消費税を上げよ」と論じている。毎度のことだが。
だが、消費税を上げれば、景気は悪化する。
こうして、景気拡大どころか、景気悪化をもたらそうとする。経済を地獄の底に突き落とそうとしている。
日本政府が何をしようとしているか、また、日本政府が現状をどう認識しているかを、よく理解しよう。
ついでに言えば、マスコミは、現実認識があまりにも甘すぎる。「痛みを分かちあおう」と唱えている。つまり、「問題解決のためには、みんなで死ねば平等だ」という発想。
タイタニックみたいな船が沈没しそうなときに、「底の抜ける穴をふさげ」と叫ぶかわりに、「全員でボートに乗って、定員オーバーにして、全員で溺れ死ねばいい」という方針。
http://www005.upp.so-net.ne.jp/greentree/koizumi/