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【大気圏外】「不況は深刻」宣言の意味――日本全体が燕市(新潟県)になった
(JANJAN)田中良太2008/12/24
政府は景気の基調判断を02年2月以来、6年10カ月ぶりの「悪化」と発表、トヨタも09年3月期決算を1,500億円の赤字転落の見通しとした。「大不況」宣伝タイミングの官民一致だ。過去の円高不況の典型は85年9月の「プラザ合意」で、洋食器輸出中心の新潟県燕市の苦境が騒がれた。以後も「内需拡大」はかけ声倒れで、今は日本経済全体が「燕市化」している。
◆官民が足並みをそろえた!
土日と天皇誕生日に挟まれた22日、官民双方から「不況は深刻だ」という宣言が行われた。
◆景気「悪化」と政府
政府は12月の月例経済報告で景気の基調判断を「悪化している」とし、前月の「弱まっている」から下方修正した。下方修正は3カ月連続で、「悪化」の判断を示したのは2002年2月以来、6年10カ月ぶり。
◆トヨタが赤字決算の見通し
午後、トヨタの渡辺捷昭社長が記者会見し、2009年3月期決算(米国会計基準)の業績予想を下方修正し、連結営業利益が1,500億円の赤字に転落する見通しとしたことを発表した。前年度は過去最高の2兆2,703億円の黒字だったが、販売台数の大幅減で1兆1,800億円、円高の影響で8,900億円分の利益が吹き飛んだという。経費や製造原価の引き下げによるコスト削減効果はわずかで、赤字を穴埋めできなかったとしている。
◆朝日は「社長交代」報道
朝日はこのニュースを報じた23日付朝刊で、渡辺社長が退陣し、創業家の豊田章男副社長(52)が社長に昇格する人事が固まったと報じている。その報道によると、実施時期は来年4月。
◆創業家社長は、上向きに恵まれる?
とすれば、「100年に1度の危機」による営業不振の責任はすべて渡辺社長が負う。豊田社長就任後は、「上向き」以外考えられないという展開をつくり出すための発表だったということにならないだろうか?
◆麻生太郎首相の方は居座り?
それでは政府の「経済悪化」宣言の意味は何だろうか。麻生太郎首相が退陣を決意して、後任者に「良くなるだけ」という好条件をプレゼントしたということなら大歓迎だが、そんなことではないだろう。続投を前提に、ここが「大不況」宣伝をするタイミングと判断したのだと思われる。
◆プラザ合意の前例
円高不況は過去にもあった。典型的なのが、85年9月の「プラザ合意」による円高だった。合意の時点で1ドル=240円レベルだったのが、2年後には1ドル=120円レベルとなった。
◆洋食器の燕市が打撃
そのとき日本国内で騒がれたのは、新潟県燕市の苦境だった。江戸時代は和釘などをつくる職人の町。明治以降金属加工一般に手を広げ、第2次大戦後はナイフ、フォークなど洋食器の生産を増やした。当然、輸出中心となるので円高の打撃は大きかった。
◆日本全体が土砂降りの現状
いま円高が、日本中に大打撃を与え、とくに雇用は「土砂降り」状況だ。プラザ合意以後23年、日本中が燕市になったといえる。「内需拡大」はいつもかけ声だけで、労働者の賃金は上がらず、高齢者の生活は不安を抱えたままだった。いきおい、日本経済全体が輸出への依存度を強めた。その結果としての「日本全体の燕市化」なのである。
http://www.news.janjan.jp/column/0812/0812234032/1.php