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中国経済で注意すべきは外貨準備高の減少ではなく貿易黒字の縮小(KlugView)
2008/12/23 (火) 10:38
ロイター通信は、22日、中国の10月末の外貨準備高が、前月末から約155億ドル少ない1兆8900億ドル以下となり、2003年12月末以来、4年10カ月ぶりに減少したと報じています。中国の外貨準備高は、06年2月に日本を抜いて世界一の規模となり、今年9月末には1兆9056億ドルに達していました。
各種報道によると、中国の外貨準備高が減少に転じた理由として、短期の投機資金が国外に流出し始めたとの指摘があるようです。中国では、今年前半まで、人民元レートの上昇を背景に、「熱銭(ホットマネー)」と呼ばれる短期の投機資金が問題になっていました。ところが、7月半ばから人民元レートの上昇が止まったため、短期の投機資金が国外に流出しているだろう、との考えが出てきたようです。
中国の10月の貿易黒字が352億ドルと過去最高を記録したのに、外貨準備高が減少したとされていることも、短期資金の流出観測を高めているようです。一般に、外貨準備高の増減は、貿易黒字と海外資金の流出入、そして為替市場への介入の有無で決まるとされています。中国の場合、外貨準備高の減少につながる外貨売り(自国通貨買い)が実施されることは考えにくいため、貿易黒字の拡大と同じ時期に発生した外貨準備高の減少は、海外資金の流出と考えられます。
今後も中国の外貨準備高は減少を続けるでしょう。10月の貿易黒字は過去最高を記録しましたが、米国経済の景気後退スピードは速く、対米貿易黒字のウエイトが大きい中国の貿易黒字は、今後、縮小すると思われるからです。たとえ短期資金の流出が一服したとしても、貿易黒字が縮小すれば、外貨準備高は減少することになります。
報道の中には、中国から海外資金が流出していることを前提とした上で、中国人民銀行(中央銀行)が、資金流出の加速を防ぐため、人民元相場の安定を目指すと報じているところもあります。たしかに、どんな国であれ、資金流出が加速することで、国全体の資金繰りが厳しくなるのは好ましいことではありませんから、中国人民銀行に限らず、中央銀行が、資金流出の加速を無視することは考えられません。
ただ、今回の中国の外貨準備高の減少は、中国の資金繰りを苦しくさせるようなものではないでしょう。また、今後も減少が続いたからといって、それで中国経済が危機的な状況に陥ると考えるのは、やや合理的ではない気がします。冒頭にご紹介したように中国の外貨準備高は、現在、世界一の規模であり、その金額が一気にゼロになる事態は、一般的には考えられないからです。
むしろ注意すべきは、中国の外貨準備高の減少ではなく、中国の貿易黒字の縮小でしょう。これまで貿易黒字の拡大で高成長を続けてきた中国が、貿易黒字の縮小とともに成長率が鈍化するシナリオは、それなりに現実味のあるものです。中国国内の雇用を維持するためにも、中国は8%以上の成長が必要とされています。高成長がストップし、中国の雇用環境が悪化すれば、中国国内の社会情勢も不安定になることも考えられます。世界的な景気悪化の環境の下、中国の社会情勢が不安定になることは、中国だけでなく日本を始めとする世界各国にとって良いこととはいえません。
村田雅志(むらた・まさし)
●●●●●●●●●●今日のクイズ●●●●●●●●●●
今年9月末の中国の外貨準備高の規模は?
●●●●●●●●●●クイズの答え●●●●●●●●●●
1兆9056億ドル
http://www.gci-klug.jp/klugview/2008/12/23/004205.php