★阿修羅♪ > 国家破産60 > 718.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
日本における現在の経済社会構造は、高度経済成長政策によってもたらされたものである。
それは決して明治の開国から敗戦に至るまでの経済社会の推移のままによるものではなかった。
若い人々には想像もつかずまたイメージを浮かばないことであろうが、高度経済成長政策を切っ掛けとする飛躍的経済発展の前においては、日本の人口構成は農山漁村人口が都市人口を上回っていた。
戦後経済の急速な成長は都市部における労働人口を増加せしめ、それは必然的に農山漁村からの人口移動によって賄われたわけであるが、高度成長後の急激な経済発展はその動きを飛躍的に高めた。
経済発展地域が発生すれば、他地域の発展は遅れる事となり、そのことが労働人口の移動に拍車をかける作用となった。
さて近年に於ける我が国の深刻な諸問題…それらの総ては、その由来を過去において経済高度成長時代を経過したことによる労働人口の極端な偏りに求める事が出来る。
[近年に於ける我が国の深刻な諸問題]とはなにか。それは、
@失業人口そして準失業人口の増大と定着
A食料自給力の極端な低下
B政治参加意欲の低迷とモラルの低下
C虚無意識の拡大と生命尊重意識の極端な低下
これ等の総ての由来は、
大都市圏に偏った「労働人口の偏在による過剰」にある。
この偏在は移動主体の労働者の自発的意思によるものではなく、経済社会の要請によるものであったから、政治的情熱の源泉である愛郷心を失った都市生活から無責任・虚無的な政治的無関心の拡大を招いた。
既に実は半世紀近くに及ぶ国際的な経済の停滞と破綻にいたる必然的な経過はわが国に於いても経済成長の低下と停滞さらには経済減退をもたらすにいたっている。
この事が大都市圏に偏った労働人口の諸問題を引き起こすに至っているのである。
その諸問題とは上に挙げた@からCまでの現象である。
この歴史的経済構造的状況が要求しているものがある。
それは何か…それはズバリ…『労働人口の移動』による経済社会構造の転換とそれから生み出される技術革新による新時代の到来である。
具体的には人口の大都市集中による停滞を打開する為に、
国と地方自治体の政策的協力により各地方地域に自営農を育成し、失業者を減少せしめて、それにより食料自給を拡大させ、現代農業の技術力のもたらす労働時間の余剰を第二次産業と第三次産業に振り向けさせればよい。
すでに産業各分野に於ける生産技術の高度化は「大規模工業地帯」の拡大を必要としなくなり、各産業の発展に集中地帯を必要としなくなった。
むしろ、
安定した地についた地域社会、農業・工業・商業を包括的に構成する地域社会とその間を結ぶ物流と情報流通の拡大化により、新経済構造は組織を高度化し、先進化するものと考えられる。
以上はあくまでも抽象論であり、更に詳しく書きたいところであるが、時間的余裕が限られている為、今回はこの程度に止める。
以前に私は経済学者の下村治氏の業績と彼の無念の想いを紹介したのだが、それは実は今回ふれ始めたテーマの為の準備であった。
高度経済成長政策の末流状況からの別離を図らなければならない。
下村先生はそれを大いに喜ばれる事だろう。
なぜならば先生は過去のあの状況下において置かれた立場から最善の経済政策と提言を提示されたのであり、状況が異なれば自ずから異なった提言を為されたであろうからである。
2 81 +−