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為替市場の考え方を変える米国ゼロ金利政策の採用(KlugView)
2008/12/17 (水) 18:30
米連邦準備制度理事会(FRB)は16日、政策金利であるフェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標を1.0%から0〜0.25%にすることを決めました。米国が政策金利の誘導目標をゼロとする、いわゆるゼロ金利政策を採用しただけでなく、政策金利の誘導目標を特定の水準ではなく一定の範囲で示すなど、今回の決定は異例づくしのものとなりました。
FRBは、声明文において、ゼロ金利政策だけでなく、長期国債や住宅ローン担保証券の購入といった、マネーの供給量を重視する量的緩和政策の実施にも前向きな姿勢を示しています。米労働省が16日に発表した11月の米消費者物価指数は、総合指数が前月比1.7%低下し、1947年の統計開始以来最大の落ち込みとなっています。当局や市場では、米国のデフレ懸念が高まっており、FRBは、デフレ阻止のために「できることは何でもやる」決意を示したともいえます。
米国の政策金利が(範囲で示されたとはいえ)ゼロとなったことで、日本の政策金利の誘導目標(現在0.3%)が、米国を上回ることになりました。日本の政策金利が米国を上回るのは、1993年2月以来(約16年ぶり)のこととなります。
米国の景気がいくら悪いとはいえ、日本の政策金利が米国を上回る状態は不自然だと考える方も多いようです。日本銀行(日銀)は、18日、19日に金融政策決定会合を開催しますが、市場関係者の中には、日銀が政策金利である無担保コール翌日物金利の誘導目標を、現行の0.3%程度から0.1%程度に引き下げるとの声も出ています。また利下げはないとしても、国債買い切りオペの増額やCP買い切りの導入を予想する声もあります。
仮に日銀が利下げをした場合、いずれ日銀もFRBと同じように量的緩和政策に移行するだろうとの声が強まるでしょう。そして、日本の景気が米国と逆行して回復する状況にでもならない限り、日銀は市場の声に押される形で、量的緩和政策に踏み込む可能性が高いと思われます。
この場合、日本も米国も政策金利は「ゼロ」という、過去においては考えられない状況が生ずることになります。そして日米の政策金利が「ゼロ」になるわけですから、日米の金利差も当然「ゼロ」となります。
こうした状況に困惑するのが為替市場なのかもしれません。為替市場では、ここ数年、為替レートの行方を占う上で2国間の金利差を1つの材料として使ってきました。いわゆる金利の高い国の通貨が買われやすくなり、金利の低い国の通貨が売られやすい、という考え方です。日本円が他国通貨に比べ安めに推移してきたことは、こうした考え方を証明する事例の1つといえるのかもしれません。
日米両国ともにゼロ金利となることで、為替市場で検討される材料が大きく変わるのかもしれません。この場合、ゼロ金利の解除のタイミングや、ゼロ金利を解除する前提となる景気の回復度合いが、為替市場での新しい材料としてクローズアップされる可能性が高まります。
村田雅志(むらた・まさし)
●●●●●●●●●●今日のクイズ●●●●●●●●●●
日本の政策金利が米国を上回ったのはいつ以来?
●●●●●●●●●●クイズの答え●●●●●●●●●●
1993年2月以来(約16年ぶり)
http://www.gci-klug.jp/klugview/2008/12/17/004170.php