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社会不安の高まりにつながりかねない中国景気の急減速(KlugView)
2008/12/16 (火) 16:07
中国国家統計局が15日に発表した11月の工業生産は、前年同月比5.4%増と、10月の8.2%増から伸びが鈍化しました。旧正月の影響で恒常化同日の変動が大きい1月、2月を除けば、今回(11月)の結果は、統計開始(1999年1月)以来、最も低い伸びとなっています。
工業生産を業種別に見ると、電機、非金属鉱物、設備製造、紡績などの伸びはプラスになりましたが、製鉄、化学工業、自動車などがマイナスとなり、工業生産の伸びを下押ししています。不動産市況の悪化を背景に、中国の不動産投資が縮小したことから、建設用が半分を占める粗鋼生産量が急減したほか、世界的な景気減速で、沿海部の輸出企業の生産が減少したことが響いているようです。
工業生産の落ち込みとともに、中国に流通するマネーの量も伸びが鈍化しています。中国人民銀行が15日に発表した11月の通貨供給量(マネーサプライ)は、代表的な指標であるM2が(現金と要求払い預金)が前年同月比14.8%増と、2005年5月以来(3年半ぶり)の低い伸びとなっています。
中国政府は、2009年のM2増加率の目標を17%前後としていることから、足元の伸びが続くようだと、中国人民銀行は、さらなる金融緩和を実施する可能性も指摘されています。ただ、工業生産の伸びが落ち込む状況では、たとえ金融緩和策を強化したとしても、すぐにマネーサプライの伸びが高まるとは思えません。
工業生産、マネーサプライともに伸びが鈍化する状況を見ると、中国の経済成長率が、以前のように高水準を維持することは非常に難しいでしょう。11月に発表された中国政府による4兆元(約54兆円)規模の大型景気対策が、経済成長率を下支えするとはいえ、景気後退スピードがここまで速いと、景気対策が実施されるまでの時間差もあって、しばらくは期待しない方がよい気がします。実際、国際通貨基金(IMF)のストロスカーン専務理事は、2009年の中国の経済成長率が、2008年の9.7%から一気に5%台に減速する可能性があると発言しています。
中国政府にとって経済成長率は、非常に優先順位の高い政策目標です。経済成長率を高めに維持することは、2億人とも言われる出稼ぎ労働者をはじめ、数多くの労働者の雇用確保を意味するからです。IMFのストロスカーン氏が発言したように、仮に中国の経済成長率が5%台まで減速すれば、中国にて多くの労働者が職を失うでしょう。
日本では、自動車メーカーを中心に人員削減が一気に進展しており、非正規労働者の失業が社会問題化しています。日本の場合、ハローワークやNPO団体などによるサポートなどを通じて、突然の失業に直面した方々への対応が進みつつありますが、中国の場合は、こうしたサポートが(あまり)期待できないのが現実です。中国の経済成長率が急速に鈍化する場合、世界的な景気減速を加速させるだけでなく、失業を通じて中国国内の社会不安の高まる可能性も視野に入れておくべきでしょう。
村田雅志(むらた・まさし)
●●●●●●●●●●今日のクイズ●●●●●●●●●●
中国のマネーサプライの代表的な指標は?
●●●●●●●●●●クイズの答え●●●●●●●●●●
M2が(現金と要求払い預金)
http://www.gci-klug.jp/klugview/2008/12/16/004158.php