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一般社会における「投資」と「投機」の違いとは(KlugView)
2008/12/11 (木) 19:04
「投資」という言葉は、当初は(おそらく)経済学にて使われた言葉だと思われます。その後、金融取引において「投資」という言葉が使われ、次第に一般社会でも広く使われるようになってきたと思われます。ただ、同じ「投資」という言葉であっても、その意味は、経済学、金融取引、そして一般社会とで、やや異なっているように思われます。
経済学における「投資」とは、何かを生み出す設備の生産能力が将来、増加するよう、現在の資本(お金)を投じる行為を意味します。言い換えれば、生産能力が増えない行為は、「投資」とはみなされません。
金融取引における「投資」とは、投じた資本(お金)が経済活動で使われることで社会全体で利益が生じ、その利益の一部を得ることを意味します。企業に対しお金を投じ、企業が得た利益の一部を配当として受け取る行為、いわゆる株式投資は、金融取引における「投資」の一例といえます。
一方、一般社会において「投資」と言われている行為の中には、金融取引における「投資」とはやや異なる意味を持つものが含まれています。「お金を投じ、その後、利益を得る」という点では、一般社会における「投資」と、金融取引における「投資」に違いはないようです。しかし、一般社会における「投資」では、投じたお金が経済活動で使われることを特に意識していませんし、投じたお金によって社会全体で利益が生じることを特に意味していないように思われます。
「お金を投じ、その後、利益を得る」という点で似ていますが、宝くじや競馬は、一般社会において「投資」とみなされません。宝くじや競馬は、希望者からお金を集め、集めたお金から各種手数料を差し引きます。そして、残ったお金を、ある種のルールに基づいて参加者に分配します。つまり、宝くじや競馬に対してお金を投じても、経済活動で使われることも無ければ、社会全体で利益が生じることもありません。
幸運な方は、宝くじや競馬で、投じた金額以上のお金を得ることもあるでしょう。しかし、各種手数料が差し引かれているので、参加者全員が受け取ったお金の合計は、集められたお金の合計を必ず下回ることになります。多くの方は、この仕組みを理解しているので、宝くじや競馬に対して「投資」という言葉を使わず、代わりに「ギャンブル」もしくは「投機」という言葉を使います。
ただ、一般社会においては、「ギャンブル」や「投機」の一種なのに、「投資」と勘違いされているものがあります。
分かりやすい例は、外国為替証拠金取引(FX)でしょう。FXを「新しい投資のスタイル」と紹介する雑誌などを目にした方も多いかと思われます。ただFXは、金融取引における「投資」ではありません。FXでは通貨同士を交換し、為替レートの価格差で収益を得ることを基本としますが、いくら通貨同士を交換しても、その通貨が経済活動に使われることも無く、社会全体で利益が生じるわけではないからです。
FXでは、価格差で利益を上げる方がいれば、その分だけ損失を被る方が存在しますが、取引者は、通貨の交換(両替)を仲介する業者に手数料を支払うので、FXの参加者全員が受け取るお金の合計は、集められたお金の合計を必ず下回ることになります。つまり、程度の差こそあれ、FXの構図は、宝くじや競馬に近いといえます。
もちろん、金融取引においては、「投資」行為だけでは、成り立たず、ある程度の「投機」行為が存在することで金融取引が円滑に執り行われるのも事実です。FXの例で言えば、FXを通じて「投機」取引が増えるおかげで、為替市場の流動性が高まり、取引の自由度が高まっています。
ここで申し上げたいことは、「投資」だから素晴らしく、「投機」だから怪しからん、ということではありません。「投資」であれ「投機」であれ、自分が「投資」をしているのか、「投機」をしているのかを、きちんと理解してから、その行為を執り行っていただきたいということです。
村田雅志(むらた・まさし)
●●●●●●●●●●今日のクイズ●●●●●●●●●●
金融取引における「投資」の意味って何?
●●●●●●●●●●クイズの答え●●●●●●●●●●
投じた資本(お金)が経済活動で使われることで
社会全体で利益が生じ、その利益の一部を得ること
http://www.gci-klug.jp/klugview/2008/12/11/004121.php