★阿修羅♪ > 国家破産60 > 484.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/media/djCNR7250.html
アバクロ、値引きの波に逆らう
ニューヨーク(ウォール・ストリート・ジャーナル)カジュアル衣料小売り大手の米アバクロンビー・アンド・フィッチ(NYSE:ANF)が先週発表した11月の既存店売上高は振るわなかった。競合他社が景気後退(リセッション)対策として積極的に値引きしているのに対し、そうした流れに乗らずに思い切って独自路線を貫いていることが、裏目に出ている可能性もある。
ティーンエージャー向けアパレル小売りチェーンのアメリカン・イーグル・アウトフィッターズ(NYSE:AEO)は今月、トップスの全商品に対し、「1点購入すればもう1点を半額とする」戦略を採った。スポーツアパレルおよびアクセサリーのメーカー、米クイックシルバー(NYSE:ZQK)は、50ドルのショーツを30ドルに値下げした。ティーンエージャー向け衣料品小売りの米エアロポステール(NYSE:ARO)も、一部商品の70%値下げを実施した。一方のアバクロは、ティーンエージャーらがショッピングモールに殺到していた18カ月前の価格とほとんど変わらない60ドルで、グレーのポロシャツを販売している。
在庫が積み上がり需要が減退すると、大半の小売業者は反射的に値引きを始めるが、これは連鎖的に多くの困難を生み出すことにもなる。まず、成長をもたらすマージンが失われる。また低価格のイメージがいったん定着してしまうと、ブランドの価格決定力や魅力を回復するのは困難なため、景気回復後にまで問題をひきずる可能性もある。
景気悪化局面で価格を維持できるブランドは従来、高級ブランドのみに限られていた。しかし今年は売り上げの低迷を補うため、シャネルやヴェルサーチといったブランドも最大10%の値引きを実施している。
そのためアバクロだけが景気後退をほとんど無視し、シックなプレッピールックという自身の販売戦略を守り続ける、ほぼ唯一のブランドとなっている。同社は海外展開も積極的に推し進めており、在庫水準は景気減速前とおおむね同水準に保たれている。またどのような状況になろうと、通常よりも大幅な値引きはなしない、と表明している。
しかしウォール街は、同社のこうした価格戦略の健全性に疑問を呈し始めている。これが一因となり、株価も1月の高値である80ドル前後から80%近く急落している。一部アナリストらは、同社の投資判断を「セル」としている。
マイケル・ジェフリーズ会長兼最高経営責任者(CEO)は先月のアナリストとの決算会見で、「あなた方の懸念は聞こえてきているが、値引きによる販売促進は短期的な解決策にすぎず、長期的には恐ろしい結果をもたらすことになる」と説明。今値引きをすれば、ブランドの低俗化を招いてしまう、と警告した。
シーズンの終わりに在庫の一掃努力はするものの、同社は売れ行きが好調の時でさえ、一貫して大掛かりな販促は避けてきた。景気悪化局面でも高価格を維持するという同社の決断はすでに、年末商戦に大きく響いている。ティーンエージャー向け小売り業者の売り上げの30%は、この時期に集中している。
アバクロが先週発表した11月の既存店売上高は前年同期比28%の大幅減となり、パシフィック・サンウエア・オブ・カリフォルニア(Nasdaq:PSUN)の10%減、アメリカン・イーグルの11%減など、値引きを実施した競合他社の減収率を大きく上回った。
とはいえ、これら売り上げの数字には、収益性の低下という値引きがもたらす問題が隠されている。8-10月期の粗利益率は、アメリカン・イーグルで6.4ポイント低下して41%、パシフィック・サンウエアでは4.9ポイント低下して28.7%となった。一方のアバクロでは66%と、わずか0.2ポイントの低下にとどまっている。
-0-
Copyright (c) 2008 Dow Jones & Co. Inc. All Rights Reserved.