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http://jp.reuters.com/article/wtInvesting/idJPnTK832312320081208
[デトロイト 7日 ロイター] 米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)(GM.N: 株価, 企業情報, レポート)は、手元資金が底をつくまであと数カ月となった時点で、「つぶすには大き過ぎ、破たんさせるには米経済が弱過ぎる」と、渋々ながら結論付けた議会によって救済され、破産法適用の事態は免れることができそうだ。 悪いニュースは、と言えば、GMが引き続き連邦政府監視下での苦痛を伴うリストラに向かって進んでおり、投資家、債権者、販売代理店、従業員には破産法適用申請時とほぼ同様の打撃が待ち構えていることだろう。 少なくともGMの9工場では操業が休止され、3万人が追加削減の対象となり、退職従業員は医療保険費の負担増加に直面、債券保有者は額面1ドルにつき30セント程度の支払いしか受けられず、株主は壊滅状態に陥る可能性がある。 そしてこれはソフトランディング(軟着陸)シナリオだ。 一部共和党議員が先週主張したように、棚上げされているクライスラー[CBS.UL]との合併話が政府の支持を得て蒸し返されれば、アナリストは最大4万人の人員削減が上積みされ、ミシガン州からメキシコまでの拠点の中で7工場がさらに操業停止になると見込んでいる。 その目的は、危機から浮上できる引き締まった体質の自動車メーカーを誕生させること。危機では、GMの債務負担や販売代理店、ブランド、従業員の過剰による資金枯渇といった致命的弱点があらわになった。 米破産協会(ABI)の研究員、ジャック・ウィリアムズ氏は「われわれが相手にしているのは破たんの瀬戸際にある産業ではない。破たんした産業だ」と指摘した。 GMは連邦破産法11条の適用申請を回避する公的支援を得るためロビー活動を積極的に展開した。破産法適用を申請すれば顧客は同社製の乗用車やトラックを見限り、保証書の裏付けを疑うと主張している。 まだ調整が続いている米政府の対策には、GMやクライスラーに対する目標、リストラ基準の設定権限を付与された監督官によるメーカーの経営監視が盛り込まれる見通しだ。フォード・モーター(F.N: 株価, 企業情報, レポート)も同社が求めている融資枠を利用すれば監視を受ける対象となる。 専門家らはこれに関し、GMの最終的成功に利害関係のあるすべてのグループから譲歩を引き出すことを目指し、(破産法の)悪いイメージがなくて適用申請の代わりとなり得る最大公約数的救済策に向けた試みと分析している。 米鉄鋼・自動車部品業界の破たん企業再生で著名な投資家のウィルバー・ロス氏は「理論的には、破産法の適用を受けても受けなくてもできることに大差はない」と指摘した。 先週開かれた議会の公聴会で証言したコロンビア大学のエコノミスト、ジェフリー・サックス氏も、自動車メーカーは破産法適用外で再編を認められるべき、と議員らに語りかけ、同意を示した。同氏は「バランスシートの再編に破産法11条は不要」と強調した。 上院銀行委員会のドッド委員長(民主党、コネティカット州)は7日、CBSテレビの番組「フェース・ザ・ネーション」で、政府の緊急融資を受けるのであれば、GMは経営トップの首をすげ替えるべきとの考えを示した。 委員長は、GMはリック・ワゴナー会長の退任と新チームでのリストラを検討すべきとの同僚議員の提案に同意した。 一方、経営陣の入れ替えはメーカー各社のリストラを支援する救済策の条件の中に含むべきだが、必ずしも全面的な刷新は意味しないとも指摘。「フォードはかなり健全だ。従って、これらすべての会社を全く同列に論じることは望まない」と述べた。 米議会はGMが求めている政府資金180億ドルについて、納税者の資金保護のため、優先順位が他の債権の先に来る必要があると示唆している。 支援の条件にもよるが、既存債務の300億ドル圧縮を進める中で、25億ドルのGMの時価総額が消失する可能性がある。 全米自動車労組(UAW)とメーカー各社は昨年、UAWが運営する信託基金VEBA(自主的従業員給付組合)に2010年から推定800億ドルの退職者向け医療費債務を移管することを盛り込んだ労働協約で合意した。GMはこの信託基金に200億ドルの債務があるほか、無担保債務360億ドル、有担保債務60億ドルを抱えている。 UAWは、GMにVEBAに対する支払いスケジュールの条件改定を認めることで合意した。 アナリストや議員らによると、他の債権者は返済額が額面1ドル当たり30─40セントとなる可能性がある。 GMはまた、現在の賃金の半分程度で新世代の従業員を雇えるよう、勤続年数の長い従業員数千人の引退を認めるようUAWに譲歩を求めている。 GMはこうした変更をすべて、破産という脅し文句なしに成し遂げる必要があり、企業再建専門家らは失敗が必至とみている。 ゴーディアン・グループ(ニューヨーク)の投資銀行・再編スペシャリスト、ピーター・カウフマン氏は「問題はワシントンに行き詰まった状況を解決するアイデアを持つ人がいなそうなことだ」と述べ、議会は民間投資家に対し、GMと再編計画を練り上げる期限を設定すべきだと指摘した。合意が成立すれば連邦政府の資金を投入すると約束し、成立しなければ投入しないと警告すべきという。 同氏は「だれも瀬戸際に追い込まれるまで何もしない。来春、ビッグスリーがわれわれのところに戻ってきて、(チャールズ・ディケンズの小説)オリバー・ツイストのように『お代わりをいただけますか』と、ねだるだろう」と述べた。 他の専門家も、GMとクライスラーを破産法適用外で再編する試みは新たなリスクを背負っているとの見方で一致している。 ABIのウィリアムズ氏は「破産は許されないことかもしれない」と述べた上で、ただ、代替案はGMと納税者にとり、もっと悪い結果をもたらす可能性があると付け加えた。同氏は「破産(法適用申請)で得られる確実性、透明性、安定性に欠けるため、失敗する方向に進む」とみている。 (Kevin Krolicki記者;翻訳 関佐喜子 ;編集 吉瀬邦彦) |