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大恐慌と通常の景気縮小の違い
1929年のアメリカの大恐慌と日本のバブルの崩壊、そしてそれに続くサブプライム問題は、共に良く似た経済現象である。これは1929年の大恐慌だけが特異な経済現象だった分けではない。
いずれも金融緩和や輸出の増大などにより、資金の過剰が資産の高騰を招いており、そこから一挙に資産価格が崩壊して生じている。
これにより大規模にまた急速に資金が減少し、それが資産部門だけでなく、ハートランドにも影響を及ぼしてくる。資産の崩壊で生じた大借金のため、所得から借金を返済しなければならないため極端に消費が減少するのである。これが実体経済にすなわち国民所得を形成する部門に影響を及ぼすのである。
この時起こる現象は、生産量がそのままで一気に資金量が少なくなることである。その結果消費が幅広く、大きく減少するため、行き場を失った生産物が値崩れを起こし利益額が減少する。このような現象が徐々に起こるのではなく瞬時に起こるため、需要と供給の穏やかな均衡は起こらない。
通常の経済循環と大恐慌の最大の違い。
通常の経済循環の場合:
需要と供給の不均衡により生じる。所得線の45度の角度が変わる事なく、所得線上を上下する変動である。現在の経済学はこの変動の分析を主にするものである。
大恐慌(デフレ)の場合:
資金が大量に、急速に減少するため、生産量に対して資金量が著しく減少し、不均衡が生じるものである。
それ故貨幣価値が変わるため所得線の角度が45度以下にが下がる。
そのため所得線上を上下する需要と供給の変動を分析する経済学では応用できない。
所得線の角度が下がる経済の分析をする必要がある。
対処方法の違い。
通常の経済循環の場合、
貯蓄が存在することが前提となっているため、生産量を増やせば必ず所得が生産量に応じて増えることが前提になっている。それ故生産者側への刺激策や、生産を促すことが景気回復の道であるとされ、低金利、公共投資、生産者への各種補助金、生産者への雇用促進のための援助金を出したりする。
大恐慌(デフレ)の場合、
所得線が下降し、借金量が貯蓄量を越えるため、貯蓄がないことが前提になっている。
所得から借金の返済のために資金が流出するため、消費が極端に落ち込み生産量に対して消費が不足する。
このため生産量が増えても、貯蓄が無いため消費が増えない、そのため所得が増えない。
それ故に消費者側への資金投入や補助金、負担の軽減により消費を増やすこと、消費刺激策を取ることが重要になる。消費税減税、ガソリン税軽減、高速代金の低減、保険料の軽減、預金金利の引き上げなど。
これを間違えてデフレ時に生産者への優遇策を取ると、生産量が増えてもその増加分を貯蓄を取り崩して消費することができず所得に結び付かない。
またいつも供給過剰の状態であるデフレ市場において、さらに生産量を増やしも、生産量が増えれば増えるほど、一単位辺りの付加価値が減少し、その付加価値を評価する資金量も減少していく。デフレでは生産量の増加に連れ資金が低減する法則が成り立つ。
(http://blog.so-net.ne.jp/siawaseninarou/デフレの資金逓減の法則と経済犯罪)
このことから大恐慌時に行われる、長期間の低金利や、生産者への補助金、公共投資による内需喚起策は、役に立たないどころか、借金を増やし、デフレを促進させる効用を持っている。
このことから鑑み大恐慌時代に取られたニューディール政策は間違った政策であることが分かる。喧伝される割には、それほど成功しなかったのである。
現在、日本がデフレを解消できずさらに深く進行しているのは、デフレにおいて取ってはならない政策をいまだに遂行しているからである。それ故に日本は資産デフレからさらに所得デフレへと進んでしまった。
特に、生産者を優遇する諸政策はデフレには通用しない。
1、低金利過剰融資、低金利は一時的な資金の繰り回しには良いが長期的には、預金金利を奪うため消費の回復に役立たない。又消費の回復の見込みが無い日本の国内市場のような市場への資金投資は行われない。
(http://blog.so-net.ne.jp/siawaseninarou/ 壮大な低金利過剰融資政策の失敗参照)
2、公共投資、貯蓄が少なく乗数が働かないため効果が疑問、民間より官の仕事に生産要素が流れ、返って民間は置き去りにされる。タコが自分の足を食っているようなものである。所得線が45度以下のため生産量の割に所得が増えない。
3、いろいろな名目の各種補助金、さらに生産量を増やしても売上が伸びないので、1単位辺りの付加価値が下がる。効果が無く借金になるだけ。
4、雇用促進援助金:これも生産者への補助金に過ぎない。企業は助成された人を雇うが、今までの人を辞めさせる方向に働く。正規雇用促進費も、それが出されているうちは正規雇用されているが打ち切られれば元の木阿弥である。売上が増えなければいずれ、リストラされるか、促進費が借金になるだけで効果が無い。
5、銀行合併や銀行への公的資金の投入により、貸し剥がしが横行しさらにデフレを促進している。銀行合併や公的資金の投入は、金融不安を緩和し消費を普通に戻す効果があるが、デフレを回復させるものではない。
大規模な財政出動も、ニューディール政策のような生産量を増やすものであってはならない。
一言主
http://blog.so-net.ne .jp/siawaseninarou小泉政権の失政参照