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http://netallica.yahoo.co.jp/news/56958
貸し渋りにあえぐ中小企業は年末の資金繰りに必死だが、そんな中、許しがたい「貸し渋り」の背景が見えてきた。これまでコマーシャルペーパー(CP)の発行などで市場から直接、資金を調達してきた大企業が、証券市場に広がる信用不安のあおりで、調達が難しくなり、銀行に駆け込んでいるのである。銀行は大企業にマネーを回すために、中小企業への融資を減らしている。こんな暴挙が許されるのか!
●CP発行激減で貸しはがし拡大
証券保管振替機構によると、企業が発行するコマーシャルペーパーの発行残高は激減している。10月は18兆4800億円だったが、今年の6月は22兆4000億円もあったから、2割近く減っていることになる。対前年同月比でも13%減。
「金融危機の深刻化で、誰も社債を買わなくなったからです。市場でさばくには高金利をつける必要があり、資金調達コストが上がってしまう。そこで、企業は銀行からの借り入れに転じた。CP発行残高が減った分、銀行からの融資が増えていることになります」(地銀関係者)
大企業はちょっと前まで、「間接金融の時代は終わった」などとうそぶき、銀行に頼らず、直接、市場から資金を調達し、「銀行不要論」などがささやかれたものだ。
それが一転、「もう一度、よろしくお願いします」となったわけだが、これが中小企業の資金繰りを締め上げているのは、こういう理屈だ。
「銀行は貸し出しを増やすと、貸し出しに対する自己資本の比率が低下し、信用を落とす。そのため、融資枠を増やしたくない。大口の貸出先が出れば、その分、既存の融資を減らすしかない。大ざっぱに言うと、夏以降、CP発行が4兆円減ったということは、4兆円分の貸しはがしが行われている計算になります」(金融ジャーナリスト)
実際、9月末の中小企業向け融資は全銀ベースでざっくり5兆円減っている。もちろん、融資先の業績悪化という背景もあるだろうが、CP減も大きな理由のひとつだろう。
加えて大企業のCP発行額は1000億円単位が多い。1社がCP発行をやめて銀行借り入れにかえれば、「1億円を借りていた中小企業1000社に影響が出る」(メガバンク幹部)理屈になるのである。証券、債券市場に踊り、強欲資本主義を謳歌していた大企業のトバッチリを食らう中小企業は気の毒だ。元銀行マンで明大教授の高木勝氏もこう言う。
「大企業はあまりにも身勝手だし、それに応じる銀行もだらしないの一語です。銀行は一度、袖にされたのだから、融資をしてくれと言われても、『別のお客がいるから』と、はねつければいいのです。それができないのは、不況の深刻化で優良な貸出先がいないからでしょうが、中小企業にしてみればたまらない。不況と銀行の貸し出し圧縮のダブルパンチを食らってしまいます」
日本経済は再び、銀行と大企業の横暴で沈むことになる。
(日刊ゲンダイ2008年11月28日掲載)
2008/12/1 10:00 更新