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11月30日12時1分配信 毎日新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081130-00000067-mailo-l04
◇経営者「業種で断られた」/金融機関「門前払いない」と
資金繰りの苦しい中小企業を支援するため国が設けた融資制度「緊急保証制度」の県内での利用実績が、低調だ。融資に必要な信用保証協会による保証承諾は、先月31日の制度開始から27日までに全国では2万7222件(約6694億円分)に上るが、県内ではわずか73件(18億2600万円分)にとどまっている。資金需要の地域差に加え、金融機関の融資に対する姿勢の違いも影響しているとみられ、経営者からは「県内の金融機関はもっと中小企業の立場になって考えてほしい」との声も上がる。
◇説明なく断られ
「融資は、無理ですね」。仙台市宮城野区の運送会社の男性社長(67)は、緊急保証制度による融資を受けようと訪れた地方銀行の支店で、行員から詳しい説明もないまま突き放すように言われた。
男性の会社の経営を圧迫しているのは人件費。社員11人の給与に加え、人材派遣業者への支払いも必要で、税金は分割払いにし、自分の報酬も保険料以外は社員の人件費に充てている。既に1800万円程度の借入金があり、債務超過の状態だが、男性は「大口の契約が取れたので、当座の資金として1000万円があれば倒産は防げる。社員とその家族を路頭に迷わせなくて済む」と厳しい表情で話した。
◇全国は利用好調
緊急保証制度は、原材料価格の上昇などの影響を受けた中小企業の資金調達を支援するため、政府が「総合経済対策」の一環としてスタート。担保がなくても業種など一定の要件を満たせば、基本的に(1)中小企業が金融機関に融資を申し込む(2)金融機関から連絡を受けた信用保証協会が保証承諾を行う(3)金融機関が中小企業に融資する――の順番で、新たに融資を受けることができる。
従来からある「セーフティーネット保証制度」などで融資を受けている中小企業は対象外だが、赤字企業でも▽今後の経営計画▽取引先からの経営支援――などが適切と判断されれば、融資を受けられる。金融庁は「対象業種を段階的に増やしていることもあり、利用は非常に進んでいる」と受け止めている。
ところが、県内での保証承諾件数は「全国と比べると予想外に少ない」(県信用保証協会)のが実情だ。08年版中小企業白書によると、06年の県内の中小企業数は7万2742社で、全国(約420万社)の約1・7%。これに対し、同制度による県内の保証承諾の件数、金額は、全国実績に占める割合がいずれも約0・3%で、数字に大きな開きが見られる。
東北経済産業局は利用低迷の要因として▽東北は景気回復の恩恵が少なく、新たな借入を避ける傾向がある▽既にセーフティーネット保証制度などを利用している企業が多い――ことが考えられると指摘。しかし同局や県には、制度の対象となる企業から「緊急保証制度を利用するため銀行に行ったが、業種を言っただけで融資を断られた」「理由の説明がないまま断られた」などの相談も連日寄せられているという。
◇国「円滑運用を」
これまで同制度について数百件の相談を受けているという七十七銀行(本店・仙台市)は「国から制度の説明を受けたのが開始直前だったため、顧客への広報が遅れたのは確か。ただ遅れを取り戻す努力をしているし、中小企業に対する『門前払い』はないと認識している」と説明。第2地銀の仙台銀行(同)も「地元の中小企業の活力が、当行の活力。対象となる顧客への周知に努めている」とした。
東北経済産業局の大泉健次中小企業課長は、「今融資を受ければ何とかなるという会社にお金が行き渡るよう、関係機関は柔軟な姿勢を持ってほしい」と要望。同局は資金需要が高まる年末に向け、金融機関や信用保証協会に、制度の円滑な運用を働きかける活動を強化する。
【青木純】
11月30日朝刊
最終更新:11月30日12時1分