★阿修羅♪ > 国家破産60 > 266.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
全文
http://shimotazawa.cocolog-wbs.com/akebi/2008/11/post-bb14.html
(※日本経済復活の会 小野盛司会長の記事、第140弾です)
昨日(11月26日)の日本経済復活の会の定例会で、櫻井充参議院議員が、将来景気がよくなったときの金利上昇について心配しておられた。まさにこの点を財務省は最も恐れている。だから彼らは金利が上がらないように「努力」している。金利が上がらないようにする努力とは、すなわち景気を悪いままにしておく努力だ。
しかし、景気を良くしても、国の借金に対する利払いを抑える方法がある。それは日銀が国債を買うことだ。下図のように、現在日銀は国債の10%を保有している。たった、10%だ。それでも日銀は利払いを受ける。そこで利益が出ると、その大部分は剰余金として国庫に返している。国債の利払いは日銀を通じて国に返してもらえるのだということに注目しよう。
次の表が、その剰余金のリストである。2007年度の剰余金は、円高による損失が発生して、やや少なくなっている。
日銀が受け取った利子などの利益と国庫納付金(日銀のホームページより作成)
年度 税引前当期剰余金 国庫納付金
平成10年度 1兆5115億円 1兆4360億円
平成11年度 1兆1374億円 1兆 858億円
平成12年度 1兆3377億円 1兆2581億円
平成13年度 1兆4813億円 1兆3904億円
平成14年度 5988億円 5053億円
平成15年度 555億円 472億円
平成16年度 2915億円 0
平成17年度 3338億円 3171億円
平成18年度 7805億円 7414億円
平成19年度 6873億円 6087億円
例えば、金利が今の2倍になったとすれば、国が払う国債に対する利払いは20兆円程度になる。もし、国債の半分を日銀が保有していたとすれば、利払いのうちの半分の10兆円は国庫に戻ってくるから、利払い負担は半減する。だから日銀が多く国債を保有しておけば安心なわけだ。しかし、日銀が実際にやっていることは、売りオペだ。どんどん日銀の国債保有残高を減らしている。最近数年間で30兆円も減らした。これは景気が過熱したときに景気にブレーキを掛けるときにやる政策でデフレの時にやるということは、逆にデフレを悪化させるから「キチガイに刃物」と言ってもよいくらいだ。
海外に目を向ければ、11月25日にアメリカの中央銀行に当たるFRBは追加経済対策として77兆円出すことを発表した。お金を刷って、住宅ローンや証券化商品を買うのだ。言ってみれば不良債権の買い取りで、それによって資金が市中に流れ込み、消費を拡大し、自動車産業にも好影響を及ぼすということだ。中央銀行が市中から買える物は片っ端から買って市中に資金を流す。通貨の大増発だ。日本のような失敗を繰り返さないための正しい政策である。
金融危機に対応するため連発した救済策により、アメリカ政府とFRBが投融資や債務保証の総額(日本で言う景気対策の規模)は760兆円である。日本はすでにデフレが長期に続いていて、今後更に景気は悪化しそうなわけだから、経済は日本のほうがはるかに悪く、アメリカ以上の景気対策が必要なのだが、第二次補正でもやっと27兆円で、それも本予算で公共投資を5%削減、将来の消費税増税、たばこ税増税などがセットとして考えられているから、景気浮揚効果はそれだけ少なくなる。正直、本当に景気を良くする気があるのかと思ってしまう。
日本もバブル崩壊で巨額の不良債権が発生した。政府・日銀はなすすべもなく長期に放置したから、北海道拓殖銀行や長銀などが破綻に追い込まれ、銀行が自力で不良債権処理をするようにさせたから、銀行は体力が低下し、経済の再建の足かせとなった。さらに不良債権の新たな発生を恐れ銀行は融資に慎重になり、中小企業に対する貸し渋り、貸しはがしが公然と行われ、それが企業の倒産を招き、設備投資にも悪影響を及ぼし、新規事業を始めるにも支障が出て、日本経済の停滞の原因となった。バブル崩壊で急激に景気が悪化していたのに、日銀は金利を下げずに強烈な引き締め政策を続けていた。このような経済政策の大失敗の二の舞にならないように、各国の動きは素早い。
もしも、FRBのように日銀が素早く金利を下げ、不良債権を初期の段階で一気に買い上げていたら、デフレで国民を苦しめ、自殺者が年間3万人を超えるという世界の歴史に残る大惨事を起こさずに済んだに違いない。中央銀行が刷ったお金で買い上げている限り、これは国の借金ではない。第一、FRBも日銀も法人組織であり、ある意味で民間銀行だ。日銀は資本金1億円の特殊法人である。しかし、株主総会もなければ、株主が総裁を選ぶわけでもない。それでも形の上で法人にしておけば、日銀が国債を持ったとき、その国債が国の所有物ではなく、民間会社の所有物だと言いたいようだ。だから日銀が国債を買い取っても借金の返済にはならないという論理である。しかし、政府から独立した民間会社に国の運命を任せてよいのだろうか。
ヴェルナーの『円の支配者』には確か次のようなことが書いてあった。バブルが崩壊し、日本経済が急激に悪化していたころ、ヴェルナーが日銀の理事に、問いただしていたとき、日銀の理事は「ここで日本経済を悪くしておかないと構造改革ができないのですよ」と言ったという。日銀は意図的に景気を悪くした。今もそれを改めようとする気配は全くない。これは歴史的な犯罪行為ではなかろうか。
関連
英ブラウン首相「日本のような悪い手本と同じ轍を踏んではならない」と減税を断行【ダイヤモンド・オンライン 週刊上杉隆】08 年 11 月 27 日
http://www.asyura2.com/08/hasan60/msg/221.html
【小泉・竹中らと真逆の迅速な政策】オバマ氏、景気策に最大70兆円 雇用創出250万人【中日新聞】08 年 11 月 25 日
http://www.asyura2.com/08/hasan60/msg/170.html
後日修正された名目GDPと、正月の時点で需給ギャップが埋まり、景気は回復したとほざいていた竹中平蔵の矛盾 08 年 8 月 27 日
http://www.asyura2.com/08/hasan57/msg/970.html
コメント
需給ギャップが埋まり、輸入物価の上昇を除いた物価が上昇を示すまで、需要を増やす政策をしなければ、デフレ=経済が停滞していくのは当たり前のこと。だが森・小泉以降、全く逆の政策が取られていった。対外的な貿易赤字国であるアメリカ、イギリスなどが財政政策をできて、対外債権国である日本ができないなんて事はない。対外債務国が通貨を乱発すると、当然インフレになりやすいが、日本は圧倒的に国内需要が足りない状態だ。それは物価、賃金、景況感などが示し続けている。
金融政策は今日のバブルを生んだ。実体経済ではなく、投機に金が回っていき。農林中が典型。財政政策は、国民経済に関する部分で、そういった暴走に繋がりにくい。足りない需要は、減税・公共事業によって補わないと、経済がどんどん縮小していくのは、現実の経済でわかったはず。それは、マクロ経済学を学んでいればそこに示されている事。なのに、逆の事をやってしまった。その結果、低金利がずっと続き、アメリカドルなどを買い支えるのに大いに貢献したとさ。
国の借金がとんでもない状態といいつつ、金融政策による失敗に税金を入れることには抵抗を示さない政府・御用学者たち。税金をこれだけ突っ込んでしまい、もう新・自由主義は終わりだ。
ロナルド・ドーア教授、小泉・竹中平蔵ら、市場原理主義者らを痛烈に批判 08 年 10 月 19 日
http://www.asyura2.com/08/hasan58/msg/1068.html