★阿修羅♪ > 国家破産60 > 143.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
すでに量的緩和政策に移行している米国の金融政策(KlugView)
2008/11/23 (日) 09:39
11月20日、米連邦準備制度理事会(FRB)は、12月16日に予定していた次回の連邦公開市場委員会(FOMC)の日程を15、16日の2日間に変更すると発表しました。FRBは、FOMCを2日間に変更した理由として、「議論の時間を十分に確保するため」と説明していますが、市場関係者の間では追加利下げの是非だけでなく、ゼロ金利政策や量的緩和政策に移行するための議論を予定しているからではないか、との見方が出てきています。
量的緩和政策とは、中央銀行による金融政策の操作目標を、金利ではなく、民間銀行が中央銀行に預ける資金量に変更することです。中央銀行に預けられる資金量が目標に達しなければ、中央銀行は民間銀行により多くの資金量を供給することで、目標とする資金量に近づけようとします。
一般に、量的緩和政策が実施されるのは、民間銀行が融資に対して消極的なときです。民間銀行が中央銀行に預ける資金量が増えれば増えるほど、民間銀行は手持ちの資金に余裕が出てきますので、いずれ民間銀行は余裕資金を融資に回すだろうと期待することができます。
FRBは、米国の経済見通しで、今年(2008年)の実質成長率の見通しを0.0%から0.3%、来年(2009年)は、マイナス0.2%からプラス1.1%と下方修正し、景気悪化が長引く可能性を示しました。
このため市場では、FRBが景気回復策として利下げ(政策金利を下げること)を実施するとみられています。ただ、米国の政策金利(フェデラル・ファンド・レート)の誘導目標は、すでに1.0%まで引き下げられています。仮にFRBが次回FOMCで利下げをすれば、政策金利はゼロに近づくことになります。いわゆるゼロ金利政策です。
日本では、1999年2月からゼロ金利政策が実施されたことがあります。ゼロ金利政策後、日本の景気回復が進んだとして、日本銀行は、2000年8月にゼロ金利政策をいったん解除します。しかし、その後、再び不況入りしてしまったため、日本銀行は、2001年3月に政策金利をゼロにするだけでなく、量的金融緩和政策も導入した経緯があります。
日本において、ゼロ金利政策の実施後に量的緩和政策が実施されたことから、市場関係者の中には、米国においても、まずはゼロ金利政策が実施され、その後に量的緩和政策が実施されるだろうと見込む方もいらっしゃるようです。ただ、FRBが発表する統計を見ると、FRBはすでに量的緩和政策を実施しているように思われます。
量的緩和政策で目標とする中央銀行に預けられる資金量の指標として、マネタリーベースというものがあります。米国のマネタリーベースは、昨年6月から今年5月まで概ね8250億ドル程度で推移してきましたが、今年6月には8325億ドル、9月には9035億ドル、そして11月19日現在では1兆4759億ドルと、わずか半年で7割近くも拡大しています。
先にご紹介したように量的緩和政策は、金融政策の目標を金利ではなく資金量にすることで、FRBは依然として金利を目標として示していますから、厳密にはFRBが量的緩和政策を実施したとはいえません。
しかし、量的緩和政策の趣旨は、目標を資金量とすることで、民間銀行により多くの資金量を供給し、融資を拡大させる点にあります。おそらく、FRBは、今後も量的緩和政策を宣言することなく、マネタリーベースを拡大させ、民間銀行の融資拡大を期待するのでしょう。
仮にFRBが量的緩和政策を宣言するとしたら、現行システムだけでは、どうしてもマネタリーベースが増えないときでしょうが、そのときには、市場関係者を含めた多くの方が、FRB(米国)がすでに量的緩和政策を実施していると認識しているのでしょう。
村田雅志(むらた・まさし)
●●●●●●●●●●今日のクイズ●●●●●●●●●●
日本銀行が量的緩和政策を実施したのはいつ?
●●●●●●●●●●クイズの答え●●●●●●●●●●
2001年3月
http://www.gci-klug.jp/klugview/2008/11/23/003977.php