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【経済コラム】ゴールドマンやGMへの賭け、胴元の米政府の思惑次第
11月20日(ブルームバーグ):怪しい話は後を絶たない。自動車メーカー、ゼネラル・モーターズ(GM)債(表面利率8.375%、2033年7月償還)を見てみよう。額面1ドルに対し約15セントという19日の取引価格は、市場がGMの存続を信じていないことを示している。
差し迫った破産法適用申請の代わりに政府による救済という道が開かれていなかったら、価格はもっと下がるだろう。これが米国資本市場の真実だ。つまり、価格操作が行なわれているのだ。
同じようなことはあちこちで見られる。総合大手ゼネラル・エレクトリック(GE)の債務格付け「AAA」を信じている人など1人もいない。しかし格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスとスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は同社に最高格付けを与え続ける。この間に、同社は金融部門GEキャピタルの最大1390億ドル(約13兆2000億円)の債務について政府保証を得た。親会社にAAAの信用力があるなら、なぜ自分で救済しないのか。
今や財務省の傘下にある保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)もそうだ。同社の経営陣はあつかましくも、最新の四半期報告で「事業継続に十分な流動性を維持する」確信を示した。財務省のカネを当てにしているとしか思えない。
米証券取引委員会(SEC)が空売りを禁止する前の話だが、住宅公社のファニーメイ(連邦住宅抵当金庫)とフレディマック(連邦住宅貸付抵当公社)株の空売り筋にとって最大のリスクは予想外の好決算が出ることではなく、ポールソン米財務長官かバーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長が議会での口先介入で株価を押し上げ、踏み上げを引き起こすことだった。
危ないポールソン長官
モルガン・スタンレー、ゴールドマン・サックス・グループ、シティグループなど金融機関の株を空売りするときも同じ心配がある。空売り筋に損をさせるにはポールソン長官がちょっと記者会見をすればいいのだから。ポールソン長官と言えば、問題資産買い取り案の撤回で投資家に損をさせたことは記憶に新しい。
米政府がリーマン・ブラザーズ・ホールディングスを破たんさせたとき、少なくとも1、2日間は、大き過ぎてつぶせないなどという概念はまかり通らないという見方が広がった。しかし私たちはもうだまされない。政府は勝者と敗者を選り分けているのだ。政府が選んだ勝者は今や政府支援機関(GSE)ばかりでなく数十社に上っている。
物乞い組の数がこう多くなっては、米国の納税者がこの国のなり果てた姿に愕然(がくぜん)とするのも無理はない。財務省からカネをもらった企業の多くは最終的には海の藻くずと消えるだろう。バンカーのボーナスやミシガン州の選挙人数を維持するために使われるこのカネは、貯金した方がまだましだった。そうすれば少なくとも、財務省自身の「AAA」格付けの維持には役立つだろう。
債務超過
GM債に話を戻そう。社債相場は、政府が救済すれば償還期限(2033年)までGMが生き延びられるという見方を示唆していない。市場は、どんなに税金を注ぎ込んでも償還期限が来るころにはGMがとっくの昔に破たんしていると考えている。米議会は自動車業界への250億ドル規模の救済案をいじくり回しているが、その全額をGMに注ぎ込んでも、既に590億ドルに上っているGMの債務超過を打ち消すことはできない。
というわけで、当分の間、市場でもうける最良の方法は政府が次にいつ、どの会社を救うかを事前に知ってから取引することだ。そのような内部情報を入手できる立場にある人間の多くはこの方法で富を蓄えている。SECはこういう人々を決して提訴しない。
証券市場は巨大なカジノというたとえは言い古されたものだが、カジノでのさいころの目は胴元の意向を反映する。これを知った上で人々がカジノに行くのは、タダ酒が飲めることを別にすれば、何も考えずにひとときを楽しめるからだろう。捨てるほど金のある人にとっては、これが米金融市場に投資する唯一の理由になるかもしれない。(ジョナサン・ワイル)
(ジョナサン・ワイル氏は、ブルームバーグ・ニュースのコラムニスト です。このコラムの内容は同氏自身の見解です)
更新日時 : 2008/11/21 17:12 JST
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=90003001&sid=a6xBI3byFJ8I&refer=commentary
http://fr.youtube.com/watch?v=95eerP8dgcY