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http://netallica.yahoo.co.jp/news/61765
●急に「ワークシェア」を言い出した
ハケン切りを批判されている経団連の御手洗冨士夫会長が、6日の新年パーティーで唐突に「ワークシェアリング」を言い出した。ワークシェアリングで派遣社員の雇用を確保するのは結構なことだが、経団連がブチ上げた裏には、とんでもない罠が隠されている。
●派遣労働者の雇用をサラリーマンに押しつける筋違い
経済3団体の新年パーティーで雇用対策を問われた御手洗会長は、「ワークシェアリングもひとつの選択肢だ」「時間外労働や所定労働時間を短くすることを検討することもあり得る」と明言した。
ワークシェアリングは、雇用を維持するために各国が導入し、労組も主張している。しかし、今回、経団連が打ち出したのは、ハケン切りへの批判をかわし、「製造業派遣の見直し」を阻止する狙いなのはミエミエ。
さらに、雇用維持を逆手に取って、一気に正社員のコストを下げるつもりだ。これは経団連の総意で、「非正社員に対する保護を強化する一方で、正社員の保護を緩めるべきだ」という声が強まっている。
「経団連の思惑が正規社員の賃金ダウンにあるのは明らかでしょう。財界は前々から正社員のコストを下げようと動いてきましたからね。御手洗会長は、サラリーマンに残業代を払わない『ホワイトカラーエグゼンプション』の導入も進めてきた。実際、総人件費を増やさず、雇用者を増やせば、ひとり当たりの給与が下がるのは当たり前。一度、待遇を下げてしまえば、その後も低コストに抑えられます」(独協大教授で経済評論家の森永卓郎氏)
ワークシェアリングが導入されたら、サラリーマンの給与はどこまで激減するのか。
99年に日本の大企業で初めて実施した日野自動車は、勤務時間が8時間から7時間に減り、給与は1割減だった。月給に直すと5万円前後減った社員が多かったという。
02年4月に導入した三洋電機は、基本給を最大20%カット。月収30万円の社員は、22万8000円に。
外国でもドイツのフォルクスワーゲン、ルフトハンザは給与20%減だった。ワークシェアリングが導入されたら、給与が2割程度減るのは確実だ。
しかし、6年間続いた好景気の間に役員報酬は2倍になったのに、サラリーマンの給与は9年間下がり続けるなど、労働者は安くこき使われてきた。リーマンショック以降、残業の大幅カットでサラリーマンの給料は1割近く減っている。さらに2割も減らそうなんて許されるのか。しかも、大企業は兆単位の巨額の内部留保をため込んでいる。
内部留保を切り崩し、役員の報酬を半分にすれば、派遣社員の雇用はいくらでも確保できるのだ。
(日刊ゲンダイ2009年1月9日掲載)
2009/1/11 10:00 更新