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教育界に金融危機の余波、駒沢大が資産運用で損失―慶応、早稲田(3)
11月19日(ブルームバーグ):世界的な金融危機の余波が、日本の大学の資産運用にも暗い影を落としている。駒沢大学が金利スワップ・通貨スワップのデリバティブ(金融派生商品)取引で運用損失を計上したほか、有名大学でも損失を被っているとみられている。
デリバティブ取引で約154億円の損失を計上した駒沢大学の小林清次郎総務部長は、ブルームバーグ・ニュースの取材に対して「フランス系とドイツ系の外資系金融機関2社に運用を任せていた」と述べ、「不動産を担保にみずほ銀行から約110億円の融資を受け、運用を解消したのでこれ以上損失が増えることはない。学生、同窓生、父母の方々に不安を与えて申し訳ないと思っている」と語った。同大学では、調査委員会を設置するが、詳細は明らかにしてない。
今年に入ってからの金利スワップ市場では、5年物などで固定金利となるスワップレートが6月中旬に高水準を付けた。例えば、6月12日の円建てスワップ金利は1.78%台。その時点のスワップ取引で、さらなる金利の上昇を見込んで支払い金利を固定化した場合、現行の金利水準からは70ベーシスポイント(bp)相当の余分な金利を支払う計算になる。
慶応など有名大が3月期決算で評価損
2008年3月期決算では、慶応義塾大学の運用資産の評価損は225億円に上った。北村和夫運用担当課長は、ブルームバーグ・ニュースの取材に対して、「運用資産1000億円を超えて、現時点での評価損は約225億円で2008年3月末決算から変わっていない」と述べている。ブルームバーグ・データによると、世界の株式の時価総額は08年3月末と比較して4割近く目減りしている。マーケットが改善しないと、今年前半の評価を維持するのは難しい状況だ。
慶大では、「資産運用のアロケーション(資産配分)は大学自体で行っており、ヘッジファンド、REIT(不動産投資信託)、商品などに投資している。デリバティブもヘッジ的なものでいろいろな通貨スワップに投資しているが、どの通貨かは言えない」(北村氏)と説明した。
ほかの有名大学でも評価損を抱えている。早稲田大学の08年3月末決算書では「運用資産は約1000億円で、政府保証が付いている格付けの高い外債を中心に運用している。3月末時点で評価損が約5億円あったが、その後9月末にかけて膨らんでいる」(大出達夫資金運用担当課長)もよう。
市場では、「事業法人だけでなく、学校法人、宗教法人、医療法人など公益法人も運用を行っているところは影響を受けている。学校法人は、運用基準は緩いが、運用委員会を作って運用しており、ガバナンス(経営)の問題になりつつある」(大和証券SMBCチーフストラテジストの末沢豪謙氏)などの声も聞かれた。
一方で、東京大学本部経理グループ長の松沢登氏は、「資産運用額(有価証券)は10月末時点では約800億円で、譲渡性預金(CD)、国債、債券(外債、社債、金融債)、特約定期、金銭信託などに投資している。運用先は銀行・証券会社17社。全て満期保有で途中解約しないことになっているため、評価損益は発生しない」と語った。
記事に関する記者への問い合わせ先:東京 池田祐美 Yumi Ikeda yikeda4@bloomberg.net Theresa Barraclough in Tokyo at tbarraclough@bloomberg.net .
更新日時 : 2008/11/19 19:09 JST
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=90003001&refer=commentary&sid=aai.WQR7PRYo