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米国と中国の相互中毒状態をニーアル・ファーガソンは「チャイメリカ」と命名した。まさに恐怖の均衡であり米中抱き合い心中
http://www.asyura2.com/08/hasan60/msg/1018.html
投稿者 TORA 日時 2009 年 1 月 10 日 15:17:35: GZSz.C7aK2zXo
 

株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu183.htm
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
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米国と中国の相互中毒状態をニーアル・ファーガソンは「チャイメリカ」
と命名した。まさに恐怖の均衡であり米中抱き合い心中は避けられない。

2009年1月10日 土曜日

◆チャイメリカ 1月6日 中央日報
http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=109639&servcode=100§code=120

1980年代半ば、英国のある製薬会社が抗うつ剤の臨床試験を行った。 驚いたことに、喫煙患者の場合、一斉に喫煙欲求が消えた。 ニコチンと抗うつ薬が似た役割を果たしたのだ。 ニコチンは脳の中で快楽と関係がある化学物質ドーパミンの分泌を促進する。 喫煙者にとって禁煙が難しい理由だ。慣れた快楽と決別し、憂うつ・不安・焦燥と戦う決然とした意志がなければ、ニコチン中毒から抜け出すことは永遠にできない。

新年の決意で甘い中毒との絶縁に苦しんでいる喫煙者だけではない。 米国と中国がちょうどこうした境遇だ。 両国はさる数十年間、お互いを中毒にさせ、双方にとって良い時代を謳歌した。 価格の安い「メード・イン・チャイナ」商品をどんどん買う米国があり、中国経済は2けた成長を継続できた。輸出で稼いだ莫大なドルを中国は米国国債に投資した。そのおかげで米国人は我先にと融資を受け、大きな車や大きな家を買った。政府も国民も負債を恐れず人の金でぜいたくに暮らしてきたのだ。

米国と中国の相互中毒状態をハーバード大教授(経済史学)ニーアル・ファーガソンは「チャイメリカ」(Chimerica)と命名した。 「チャイメリカ」が全世界を揺るがしている経済危機の背景の一つに挙げられている。 最近ニューヨークタイムズは「使うことを知らず貯めるばかりの中国が低利で金を貸したせいで米国の消費狂風、住宅市場バブルが触発された」と皮肉った。

しかし誰の責任がより大きいかを問うのはおかしい。 米時事週刊誌ニューズウィークの編集長ファリード・ザカリアは著書『アメリカ後の世界』で密接にかみ合って動く米中経済を冷戦時代の「相互確証破壊」(MAD)に例えた。 米国とソ連がお互いを潰滅させる核兵器を保有したのがむしろ核戦争を抑止したように、米国と中国が経済的に「恐怖の均衡」状態を維持しているという意味だ。「チャイメリカ」による平和と繁栄も虚像にすぎないということだ。

禁断の苦痛が大きくても米国と中国は中毒から抜け出し、健康を取り戻さなければならない。 米国は輸出競争力を改善して経常収支赤字を減らし、中国は消費を促進して輸出不振による景気沈滞を防ぐべき、というのが専門家の処方だ。 容易ではないが、それが両国を生かす妙薬なのだから仕方ない。


◆2008年11月1日 INVESTMENT LIFE
http://ameblo.jp/price-revorlution/entry-10170289378.html

米国大使(米中関係を担当するすべての高官)は中国に、中国とアメリカの国益は連動していると念押しする必要がある。さもなければ事態は途方もなく悪化しかねない。

エコノミストは左派も右派も、米経済には大規模な財政刺激策が必要で、今は財政赤字を心配している余裕はないという点で一致している。

しかし、総額1兆〜1兆5000億ドル、GDP(国内総生産)の7〜10%にも達する財政赤字を前に、誰かがアメリカの債務を買い取らなくてはならない。それが出来る現金を保有している国は、中国だけだ。

9月に中国は、米財務省証券を大量に購入しなくなった日本を抜いて、最大の対米債権国となった。

財務省に記録はないが、米公債の10%を保有する中国が国内外で最大の債権者であることは、ほぼ確実だ。中国には「アメリカの銀行」と続ける資金力はある。中国の外貨1準備高は約2兆jに達する(アメリカは730億j)。

しかし中国は、欧米が中国の輸出品を買わなくなり、自国の経済が急激に減速していることを懸念している。大規模な景気刺激策によって経済成長を、昨年の12%とは言わないまでも、年6〜7%には回復させたい考えだ。

中国は自国の成長を優先させる

中国が11月9日に発表した景気刺激策は総額4兆元(6000億j)近くになる見込みで、GDPの実に15%に相当する。

中国政府は雇用を維持し、労働者のストライキや抗議を最小限に抑えることを重視するから、必要なら数百億j規模の追加もいとわないだろう。

一方で、アメリカは財政赤字が拡大しても景気刺激策を打ち出せるように、中国どうしても景気刺激策を打ち出せるように、中国にどうしても米国債を買い続けてもらわなければならない。

アメリカは中国に対し、史上最大規模となる二つの財政拡大―アメリカと中国の財政拡大―に、同時に出資してほしいと頼んでいるようなものだ。

中国はそれに応えようとするだろう。米経済の活性化は彼らの利益にかなうからだ。ただし当然ながら、中国自身の成長のほうが優先順位は高くなる。

「中国とアメリカは同じくらい依存し合っていると思いがちだ」と、01年にノーベル経済学賞を受賞したアメリカの経済学者ジョセフ・スティグリッツは言う。

「だがもはやそうではない。中国が経済成長を維持する方法は二つある。一つはアメリカの消費者に融資すること。もう一つは、自国の成長を刺激する規模の消費ができるようになりつつある自国の市民に融資することだ。彼らには選択肢があるが、われわれにはない。」

歴史学者のニーアル・ファーガソンは素晴らしい新著『マネーの台頭』で、冷戦後の新しい国家の誕生を論じている。

彼が「チャイメリカ」と呼ぶその国は、世界の陸地面積の10分の1と総人口の4分の1を擁し、過去8年の世界の経済成長の半分を担う。

「しばらくは理想的な結婚に思えた。東チャイメリカ人は貯蓄をし、西チャイメリカ人はカネを使った」。東部は成長し、西部は低インフレと低金利を維持した。

ファーガソンも中国には選択肢があると考える。「中国はアメリカの消費を維持するためにもちろん努力するだろうが、うまくいかないと分かれば次の計画に移る」。

次の計画とは、財政支出の拡大と中国国内の金融緩和により、中国の消費を底上げすることだ。

「チャイメリカが一緒にいるなら、困難を切り抜ける道がみつかる。(今回の危機で)別れるなら、グローバル化にも別れを告げることになる」と、ファーガソンは言う。

近年の最も重要で困難な大使職は、疑いようもなく駐イラク大使だった。しかしこれからの10年、最も厳しく最も決定的なポストは恐らく駐中国大使になるだろう。


(私のコメント)
昨日の株式日記でも、アメリカの発行する巨額の国債をどこが買うのかという疑問を書きましたが、アメリカ政府は中国に期待しているのだろう。中国も生産品をアメリカに買ってもらわなければ高度成長政策は続けられない。このような関係は90年代から現在に至るまで成功してきたのですが、アメリカがコケれば中国もこける相互依存関係であり、株式日記でも米中は抱き合い心中するだろうと書いてきました。

これは日米関係で成功してきた経済モデルであり、国際金融資本は中国を新たなる投資先として選んで、集中的に投資してきた。ロックフェラーにしてみれば中国のような独裁国家なら労働者を安く使えるし、中国政府の要人を丸め込んでしまえば好きな事ができる。

78年からの改革開放政策も当初はなかなか上手く行かず、90年代になって外資を積極的に利用する事で高度成長の波に乗る事ができるようになった。外資には日本企業も入っているのですが、東南アジアなどでは高度成長が続くと人件費が上がり採算が取れなくなるのですが、中国は若年労働者が無尽蔵にいるから人件費の心配が無い。

それとは対照的に日米関係は貿易摩擦が悪化して日本叩きが行われるようになって、円高で日本の輸出企業は採算が取れなくなって行った。その結果、日本企業も続々と中国へ工場を移転させて貿易摩擦を回避しようとした。その結果、中国は世界の工場となり外貨準備を2兆ドルも溜め込むまでになった。

まさに「チャイメリカ」というべき体制が出来上がり、米中経済同盟が出来上がった。それに対して日本経済の地盤の沈下はじわじわと進んで90年代からの長期の低迷は「日本病」とも言われるようになり、一人当たりのGDPは18位まで落ちて太田弘子経済財政大臣は「もはや日本経済は一流ではない」と国会演説までする事態となった。

まさに米中経済同盟は成功して、日本は国際金融資本にとっての草刈場になるところだった。サブプライム問題から発生したアメリカの金融恐慌はまさに「神風」というべきものであり、リーマンブラザースは破綻してベアスターンズやメリルリンチは吸収合併されて、ゴールドマンサックスやモルガンスタンレーは商業銀行への転換を余儀なくされた。

このような投資銀行はアメリカの金融立国における中心的存在であり、政権内部には投資銀行出身者が要職を担ってきた。そして米中経済同盟を進めてきたのも投資銀行でありBRICs戦略はゴールドマンやモルガンの経済戦略だった。日本に対して多くの規制の緩和や改革を要求してきて日本企業は丸ごとM&Aで買収される寸前に「神風」が吹いた。

まさに「チャイメリカ」は「世界の陸地面積の10分の1と総人口の4分の1を擁し、
過去8年の世界の経済成長の半分を担う」超大国なのですが、その戦略は曲がり角に立っている。中国は55兆円の公共事業で内需の拡大を図るようですが実現は可能なのだろうか?

アメリカも公的資金で金融機関や自動車メーカーを救済するようですが、数百兆円もの資金を中国からの資金で賄えるはずがない。アメリカの経済戦略を担ってきた投資銀行は無くなり、銀行も企業も巨額の赤字と不良債権を抱えて、その規模は計り知れない闇の中だ。まさにアメリカと中国は抱き合い心中してもらうしかないのであり、アメリカや中国のような超大国が生き残れる時代は終わった。

アメリカも中国も、ソ連のように幾つかの国家に分解して生き残っていくしか方法は無い。それだけ地球規模のパラダイムの変化が起きているのであり、石油エネルギー文明が終わろうとしている。アメリカ文明は大型乗用車に乗って巨大スーパーで買い物をして大型の冷蔵庫に冷凍食品を詰め込んで生活してきた。中国も年間500万台もの自動車が売れて石油爆食時代を迎えた。その結果が1バレル147ドルの石油の高騰だ。

「チャイメリカ」は中国の奴隷的低賃金でアメリカの繁栄を維持しようとしたのだろうか? あるいは経済発展が進めば中国も民主化が進んで日本のような自由な民主国家になると思っていたのだろうか? アメリカも金融立国で恒久的な繁栄を維持できると思っていたのだろうか? そしてイラクを占領すれば石油は手に入ると思っていたのだろうか? そしてドルは印刷すればいくらでも使えるというドル基軸通貨体制がいつまでも続けられると思っていたのだろうか?

「チャイメリカ」アメリカ人と中国人の幻想の産物であり、日本からのマネー供給と技術供給が絶たれてしまえば投資銀行も巨大自動車メーカーも破綻して倒産してしまう。投資銀行は日本からの資金を調達して40倍から50倍のレバレッジで投資をしてきたが、日銀が金利を上げたとたんに歯車は逆回転を始めた。さらにアメリカのメーカーが作る自動車はガソリンバカ食いで商品としては売れなくなった。

80年代までは日本とアメリカとの「ジャメリカ」でアメリカの繁栄を維持できましたが、中国とアメリカとの「チャイメリカ」は破綻の兆しが見えてきた。アメリカと中国とは相互補完的ではなく利害が対立して石油などの資源を奪い合う事になれば「チャイメリカ」は幻想の産物である事が分かるだろう。アメリカはパートナーの選択を間違えたのだ。アメリカは日本から見放されればおしまいなのだ。

 

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