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金融安定化法案が一時的に評価されたのですが、その後『公的資金を注入しても、垂れ流しになって銀行を救えない』ということです
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投稿者 TORA 日時 2008 年 11 月 22 日 13:56:26: CP1Vgnax47n1s
 

株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu180.htm
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
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金融安定化法案が一時的に評価されたのですが、その後『公的資金
を注入しても、垂れ流しになって、銀行を救えない』ということでした。

2008年11月22日 土曜日

金融安定化法案で公的資金注入後も急落するシティの株価


◆米金融界の縮小が現実化 11月22日 BusinessWeek誌
http://business.nikkeibp.co.jp//article/world/20081121/178029/?P=2&ST=bw

11月17日、米シティグループ(C)が5万3000人の人員削減を発表した。これにより、同行の昨年末以降の人員削減者数は、世界全拠点雇用者の2割に達した。今年、広く予想されていた“金融界の縮小”というシナリオが、まさに現実化しつつある。

 金融関係者や投資家にとって重要なのは、こうした業界の縮小傾向は恒久的なのか、それとも一時的な変化なのかという問題だ。

 今年前半は人員削減を見送る金融機関が多かった。米金融コンサルティング会社セレントが今年発表したリポートで指摘しているように、金融機関が「迅速な収益の回復により、痛みを伴う経費削減策は回避できるのではないかと期待」したためだ。しかし、この期待は外れた。

 膨らむ一方の損失により、ベアー・スターンズ、リーマン・ブラザーズ、ワシントン・ミューチュアルなどの米大手金融機関が、破綻か、ライバル行への吸収合併という運命を余儀なくされた。

◆「悪いが、ボーナスの前に辞めてもらう」

 米メリルリンチや米ソロモン・ブラザーズを渡り歩いたウォール街歴32年のベテランアナリスト、スティーブン・マクレラン氏は、昔からウォール街では11月に社員を解雇することが多かったと言う。12月のボーナスは年間給与の75%以上を占めることもあり、その前に解雇すれば、「証券会社は従業員を11カ月働かせたうえ、年末賞与を支給せずに済む」とマクレラン氏は指摘する。同氏は『Full of Bull: Do What Wall Street Does, Not What It Says, To Make Money in the Market』(仮題『ウォール街のリポートは常に強気:市場で儲けるには金融界の“建前”発言は無視し、実際の行動に注目せよ』)の著者でもある。

 実はこうした過剰な高額報酬を支払うウォール街の風潮こそ、金融界で最も大きなあおりを食うかもしれない。多くの業界観測筋は、この先金融界では、事業規模の縮小や効率化、規制強化が進むと予想している。

 「金融界が1年前の状態に戻ることはない」と、米資産運用会社ナショナル・ペン・インベスターズ・トラストのジェームズ・キング社長兼CIO(最高投資責任者)は言う。

 金融界は収益の重要な柱を失った。特に住宅ローン債権、クレジットカードローン債権などの投資対象資産を担保にした証券化商品で手数料を稼いできた証券化事業部門は惨憺たる状況だ。信用危機により、多くの証券化市場が崩壊した。

◆過度な事業拡大のツケ

 ここ数年、金融機関は新規の事業分野に手を広げてきた。「中核事業分野以外に手を広げすぎたため、持続させることは不可能だった」と、米モーニングスター(MORN)傘下の米コンサルティング会社イボットソン・アソシエイツのチーフエコノミスト、ミシェル・ギャンベラ氏は指摘する。

 リスクを恐れない投資は、投資銀行や、シティグループのような商業銀行の特徴となっていた。だが、そうした時代の終焉を予見する向きは多い。信用危機での苦い教訓や規制の強化など原因は様々だろうが、こうした金融機関が同様のリスクを取るのはもはや不可能だろう。巨額の利益を求めて、自己資本の30〜40倍の資金を借り入れ、投資に回す時代はもう終わりということだ。

米調査会社TABBグループの国際コンサルティング部門を率いるロバート・イアティ氏は、こうした傾向は定着すると予想し、「資本をリスクにさらす余裕が金融機関にはなくなるからだ」と説明する。つまり、ウォール街の金融機関が果敢にリスクを取ることで果たしてきた一定の役割は、もはや果たせなくなる。

 例えば、米ゴールドマン・サックス(GS)や米モルガン・スタンレー(MS)は、リスク志向の投資銀行から保守的な傾向が強い金融持ち株会社に姿を変えてきている。 (後略)


◆『金融危機から始まった米国の不運』 【森田レポート】 11月20日 ケンミレ株式情報
http://www.asahi.com/business/today_eye/TKY200811200239.html

日本のバブル崩壊は、金融引き締めによる不動産バブルの崩壊という流れは一緒で、その後の経済の悪化、株式市場の暴落も一緒でしたが、日本は円高に、米国はドル安にと為替は逆になりました。

一番の違いは、日本の場合は経済危機から始まったので、企業が先に努力をし、その後に金融危機が起こって公的資金が注入されました。しかし、米国の場合には『先に金融危機』が起こったことが不幸でした。

最初に金融安定化法案が一時的に評価されたのですが、その後の流れから『公的資金を注入しても、垂れ流しになって、銀行を救えない』ということでした。ここで、再びマーケットは『現在の金融政策では、金融危機は解消されず、景気も回復しない』と考えるようになりました。

特に、今回の米国の自動車ビッグスリー問題は『今の危機を端的に表している事象』です。ビッグスリーにお金を投入しても、ビッグスリーの経営問題が解決しない限りは銀行と同じように『税金の垂れ流し』になります。そこで、マーケットは『ビッグスリーの自助努力が先』という判断をしたのではないかと思います。それが、株式市場が上昇せず、ダラダラとした展開となった原因だと感じて、昨日もあのようなレポートを書きました。

何が言いたいのかと言いますと、銀行も企業も『自助努力が先』であり、自立出来る体制が出来上がったあとで『資金不足を補うための公的資金を注入』すれば企業は再生されるということです。もっと言いますと、景気の回復や金融危機の回復には時間がかかるということです。

◆では、政治に何が出来るのか

民主党が議会を征し、大統領も民主党が取りました。昔のクリントン大統領と、米国の経済危機の時には民主党の大統領が誕生するのが米国でしたので、歴史から考えれば今回のオバマ新大統領の誕生は米国の歴史通りの流れになったということです。

違いは金融危機です。この金融危機は、誰も対応出来ない早さで『津波のように、一気に押し寄せた』ことです。そのため、政府が出来ることは緊急避難的な対策となり、民主党政権となりますと『労働者保護の政策』となります。

つまり、企業が倒産すると労働者が失業しますので、単純に大企業を倒産させられないのが民主党です。基本的には減税がもっとも得意で、次が保護主義ですが、今回はG20で保護主義はしないという合意が出来ていますので、本当に切羽詰まらなければ保護主義には走らないと思います。

いずれにしましても、政治が出来ることは『時間稼ぎ』となります。銀行に公的資金を注入したり、大手企業に公的資金を注入することですが、この間に銀行や大手企業がどこまで自分で健全化出来るかどうかが勝負の分かれ目になると思います。(後略)

(私のコメント)
最近は超大国アメリカの没落の生の実況中継をしているような感じになるのですが、国家戦略であった金融立国アメリカは破綻しつつある。博打で生計が成り立たないのは当たり前のことなのですが、強大な軍事力を背景に相手に圧力をかけて八百長賭博をして大儲けをしてきた。

中国には労働者をただ同然で働かせて製品を作らせて輸入して、ウォルマートを通じて販売して大儲けをしている。日本からはゼロ金利で金を借りて新興国の高利の債権を買って金利を稼いできた。まさにアングロサクソン民族そのものの生き方であり、自分は働かずに武力で脅してカネを巻き上げるのは得意技だ。

しかしそんな真似が出来るのは強大な軍事力がある間だけであり、アフガニスタンの山賊やイラクのゲリラを相手に苦戦するようになって、アメリカ軍の弱点が露呈されてロシアのプーチンやベネズエラのチャベスや北朝鮮の金正日にも馬鹿にされるほどの体たらくになってしまった。レーガン大統領の頃なら冗談一つでソ連のゴルバチョフは震え上がった。

そんな落ち目の親分に忠誠を尽くしているのは日本の麻生首相ぐらいで、10兆円の金をIMFに提供してアメリカのご機嫌を取ろうとしている。しかしフランスのサルコジからも「ドルはもはや基軸通貨ではない」と言われるほどアメリカの権威は落ちている。無敵と思われたアメリカの投資銀行は消滅して、シティは倒産の瀬戸際まで追い詰められている。

数年前はアメリカのヘッジファンドが日本企業にM&A攻勢をかけて乗っ取るのではないかという勢いでしたが、今ではアメリカ企業が投売りされている。シティの株価も80%以上も下落して3ドル台にまで落ちた。以前は日本のメガバンクをシティが買収するという話もあった頃に比べると感慨深い。

アメリカは軍事と金融で支えてきたのですが、金融がダメになれば軍事力も軍縮しないと財政が持たなくなりアメリカがパンクする。そのような状況でオバマ次期大統領が選ばれたわけですが、オバマは超大国アメリカのゴルバチョフになるだろう。そして日本はソ連崩壊における東ヨーロッパのようなもので、自立の道を探らなければならない。

ソ連の崩壊でもって共産主義は滅び去ったのですが、アメリカの崩壊で資本主義も変質を迫られている。アメリカは金融機関のみならず自動車産業すら国有化されて社会主義国家になろうとしているかのようだ。GMをはじめとするビックスリーが倒産すれば数百万人の失業者が出ることになる。そうなると大変だから一時的に国営の自動車会社が出来るかもしれない。


◆金融と革命の迷宮  10月21日  田中 宇
http://tanakanews.com/081021bank.htm

最近ヘラルド・トリビューン紙のサイトに、ドイツ人は金融危機に対して冷静に対応していると分析する記事が出た。その中で目を引いたのが、ベルリン在住の筆者の知人で、かつて東ドイツの共産党員だった80歳代の女性が、昨今の米国の金融危機について語った、以下のくだりである。

「(米金融危機は)驚くようなことではないわ。独占資本主義から、国家独占資本主義に移行する際、大きな危機が発生するのは当然よ。これは、あなたたちのシステム(資本主義)の、最後の段階なの。(東独の)共産主義政権時代には、このことは、子供たちが学校で教わる(基礎的な)ことだったわ」(関連記事)

 大企業が経済の主力である「独占資本主義」は、不可避的に、金融恐慌や大不況、戦争といった危機をもたらし、危機への対策として政府が全面的に介入し、経済は国家独占資本主義に転換するが、この転換は延命にすぎず、本質的には、資本主義は死滅に向かい、大衆への収奪が強まり、最後には社会主義革命が起こるというのが、マルクス経済学の理論である。1980年代まで、旧東独など、多くの社会主義国の学校では、この資本主義の発展プロセスを教えていた。

 米国で、戦争ばかりやった政権の末期に巨大な金融危機が起こり、破綻しそうな金融機関に、政府が次々と資本を注入する今の事態は、マルクス経済学の視点で見ると、まさに独占資本主義から国家独占資本主義への転換を意味している。この10年あまり、米経済は金融で大発展したが、ブッシュ政権の重過失的な数々の失策の末、自滅的な金融財政の崩壊が今まさに起こり、金融の独占資本主義は終わり、米英の金融機関は国有化され、中国やアラブ産油国、ロシアなどの「政府投資基金」や「国営石油会社」といった「国家独占資本主義」の象徴的な存在が幅を利かせている。

(私のコメント)
アメリカの銀行や企業ももはや自助努力ではどうにもならない状況であり、資本主義の究極的段階である国家独占資本主義へと進むのであろうか? オバマの言う「CHANGE」とは社会主義革命の事なのだろうか? オバマ政権のスタッフが次々と決まっていますがクリントン時代の財務次官だったガイトナー氏が選ばれ、国務長官にはクリントンが選ばれ経済担当補佐官にはサマーズ元財務長官が選ばれた。つまりクリントン政権時代のスタッフが大量に政権復帰する。

こうなればオバマがどうであれ実質的にヒラリークリントン政権であり、ヒラリーは名を棄てて実を取った事になる。そうなれば90年代のジャパンバッシングの再来であり、アメリカの経済政策の皺寄せを日本が背負う事になるだろう。もはやアメリカにとってのアジアのパートナーは中国であり、だからヒラリークリントンを国務長官に指名したのだ。

そうなれば従軍慰安婦問題や在米日系企業への嫌がらせが復活するだろう。北朝鮮問題も米朝国交回復で裏切られて日本政府は梯子を外される。ますます日本はアメリカの言うがままにされて、年次改革要望書で内政干渉まがいの要求を突きつけてくるのだろう。しかし今度はアメリカが金融や経済でピンチに立っているのだから日本のほうからアメリカに注文をつけるべきなのだ。日本叩きをやめなければ米国債も売り飛ばしてアメリカを叩きのめす事もできるだろう。


 

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