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小売売上から考える英国のデフレ状況(KlugView)
2008/11/20 (木) 23:50
英国立統計局が11月20日に発表した英国の小売売上高は、10月の前年比が1.9%の増加となりました。市場の事前予想では、10月の前年比は1.4%程度の増加が見込まれていたので、英国の小売売上高は予想を上回る伸びを示したといえます。
結果として外れてしまったものの、英国の小売売上高の市場予想の伸びが弱めだったのは、それなりの理由があります。英国では、金融危機の深刻化で消費者マインドが悪化しているほか、雇用情勢も厳しさを増しています。また、英小売協会調べの10月小売売上高(全店)は、前年比0.1%の減少と、2005年4月以来の減少を記録していました。英国立統計局と英小売協会とで違いはあるものの、どちらも小売売上高を調べているため、結果に大きな違いはないと考えるのが自然です。
同じ小売売上高の指標にもかかわらず、結果に大きな違いが出た1つの理由は、小売売上高の中身が違うことが考えられます。英小売協会が発表する数値は、その名のとおり売上高(金額)を集計したものですが、英国率統計局の数値は、売上高ではなく、物価変動の影響を取り除いた販売数量をベースとしたものなのです。
売上金額の伸びが、販売数量の伸びを下回るということは、販売単価が大きく落ち込んでいることを意味します。たとえば10月の場合、金額ベースが前年比−0.1%であるのに対し、数量ベースが前年比+1.9%だったということは、単価は前年比2%程度(=−0.1%−(+1.9%))低下したと計算されます。
英国の中央銀行であるイングランド銀行(BOE)は、11月6日に政策金利を1.5%も下げ、約50年ぶりとなる3.0%の水準まで利下げをしています。またBOEのキング総裁は、11月12日の記者会見で、英経済は今年下半期に景気後退に入ったとみられ、デフレの恐れもあると指摘しています。
数量ベースとはいえ、小売売上高が前年比で1.9%も伸びているのだから、英国景気は、それほどひどい状態ではないだろうと、一見思えてしまいます。しかし、小売ベースで単価が前年比2%近く低下しているのは、インフレ圧力が高い英国では異常なことです。BOEによる1.5%の大幅利下げは、そうした異常事態への緊急対応のひとつといえます。
今の英国は、日本が経験したようなデフレ不況に今まさに突入しようとしているといえそうです。
村田雅志(むらた・まさし)
●●●●●●●●●●今日のクイズ●●●●●●●●●●
英小売協会調べの10月小売売上高(全店)の伸びは
どれくらい?
●●●●●●●●●●クイズの答え●●●●●●●●●●
前年比0.1%の減少
(2005年4月以来の減少)
http://www.gci-klug.jp/klugview/2008/11/20/003963.php