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http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-34950320081117
[東京 17日 ロイター] 17日の東京市場は方向感なく推移した。短期的な危機対応という面で成果がみえにくかった緊急首脳会合(金融サミット)、景気後退入りが鮮明になった国内総生産(GDP)のマイナス成長、前週末の米株安といった悪材料にもかかわらず、株式市場は底堅く推移した。 公的年金による買いや短期筋の買い戻しといった面が指摘されているが、ファンド勢の解約売りが一巡した影響が大きい、との声もある。換金売りが峠を越したのかどうかに参加者の注目が集まっている。 <需給改善で安心感> 株式市場では日経平均が小幅続伸して引けた。前週末の米国株安や、寄り前に発表された7─9月期GDPが予想を下振れたことなどを嫌気して売りが先行したものの、円高一服などをきっかけに先物に買い戻しが入りプラスに転じた。 12月決算のヘッジファンド解約に伴う45日ルール(決算期末の45日前までに解約請求する)の最終日を前週末に通過したこともあり、「海外勢の大口売りが減少した。需給改善で下値が堅くなったため、短期筋を中心に先物を買い戻す動きが出た」(大手証券)という。 ヘッジファンドの動きについては、1)解約に応じるための換金売りが一巡、2)運用成績の悪化による解約の一時停止、といった状況にあり、短期的には、10月のような大口の売りが殺到する事態は収まったのではないか、との指摘が出ている。また、市場関係者によると、大手のヘッジファンドについては金融機関も資金の供給は続けており、破たんが近いというところまではいっていない、という。 スイスのヘッジファンド、ゴテックス・ファンド・マネジメント・ホールディングス(GFMN.S: 株価, 企業情報, レポート)は13日、全運用資産のおよそ65%に相当するファンドについて解約を一時停止したと発表している。ただ、市場や流動性の状況が全般的に改善した場合は、2009年4月1日に制限を解除する見通しだ。 ある市場筋は「とりあえず、短期的な需給悪化要因は取り除かれつつある。きょうの動きをみて、安心感がやや広がっている」と話している。 <金融サミット、成果を点検> 週末にワシントンで開かれた金融サミットに関しては、即効性のある政策対応が打ち出せなかった、との受け止め方が多い。 ただ、需給関係が改善しつつあるため、ネガティブ材料とはみられなかった。「財政出動に言及し、IMF・世銀の資金基盤の増強を打ち出したことは評価できる。G7からG20という新しい枠組みを確立したことも大きい」(新光証券エクイティストラテジストの瀬川剛氏)との声があるほか、「今後は首脳宣言に沿って各国が何らかの対応をせざるを得ない。次期米政権による政策対応も予想される。期待感は残した形だ」(コスモ証券エクイティ部次長の中島肇氏)との見方も出ている。 クレディ・スイス証券チーフ・ストラテジストの市川眞一氏は「事前の予想通り無難な結果となった。国際金融危機を沈静化させるための具体的な処方せんは示されなかったが、景気浮揚に財政出動の必要性を確認した点、保護主義の排除を打ち出した点は成果だろう」と指摘。第2回目の会合が、2009年4月30日までに開催されることが決まり、「金融危機脱却に向け意味ある共同行動計画作成は、オバマ次期米政権のリーダーシップに委ねられた」との見方を示している。 <債券市場でもファンド勢の動きを注目> 債券市場でもファンド勢の換金売りに相場が大きく影響されただけに、その動向が注目されている。 三菱UFJ証券チーフ債券ストラテジスト、石井純氏は、換金売りやレバレッジの解消、キャリー・トレードの解消は峠を越えた感がある、という。前週末は年末に解約されるファンドの通知期限だったにもかかわらず各市場が意外に平穏だったこと、相場の振れが相変わらず大きいものの、何とかレンジ内の動きにとどまっていることを理由として挙げている。 RBS証券、シニアストラテジストの市川達夫氏も同様の見方をしている。市川氏は、円債市場でも海外投資家の換金売りは一巡、「年末に向けて、当面は、海外投資家の強制的なポジション解消によって波乱が起きる可能性は低い」とみている。 この日の債券市場は、株式と同様、方向感なく上下に動いた。 国債中心限月12月限は朝方、138円71銭まで上昇したが、13日に付けた直近高値(138円79銭)を目前に失速。日経平均が朝方の売り一巡後に上昇に転じたことで利益確定売りが出た。超長期ゾーンは20日の20年債入札を控え上値が重いことも相場の重しとなった。「超長期ゾーンは利回りの絶対水準低下を受けて電力債や地方債の期待が相次ぐこともあり、需給に対する不安感が出ている。債券の全てのゾーンが強いわけではない」(国内金融機関)という。 一方、中短期ゾーンはしっかりだった。2年利付国債利回りは一時2.5bp低い0.520%と約8カ月ぶりの水準に低下。イールドカーブ(利回り曲線)はスティープ(傾斜)化した。市場では日銀が超過準備への付利をスタートさせたことで日銀の資金供給が積極化するとの観測が浮上。「市場の期待通りに短期金利が低下すれば、イールドカーブはまず短い2年ゾーンから低下しやすい。5年債利回りも0.8%を目指す展開になるのではないか」(国内金融機関)との声が出ている。 <為替市場、株価にらみから脱せず> 為替市場も株価にらみ。 前週末の米株安を受けてアジア株が下落するとの思惑から、東京市場早朝の取引でドル/円は95.87円まで下落した。その後は、GDPが予想よりも悪い内容だったことで、円買いは消極的になったとの見方もある。 アジア株が上昇に転じると、CTA(商品投資顧問業者)を中心に短期筋がドル買いを入れた。ある資本筋は、「朝方から輸入企業のドル買いが断続的に入っている」と話し た。一時は97.56円まで上昇し、安値から1円超の上昇となった。このところは、95円前後でアジア系投資家の買いも散見されるとの声が出ている。 (ロイター日本語ニュース 橋本 浩記者 編集:石田 仁志) |