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原田武夫:ワシントン金融サミットの隠された議題
11月14日8時18分配信 サーチナ
IISIAが読み解くマーケットと国内外情勢
来る11月14・15日にワシントンで金融サミットが開催される。そもそもこの会合は英仏首脳にブッシュ米大統領が押し切られた形で決められたものだ。10月22日にホワイトハウスが公表したプレスリリースを読んでも、米国としてのあからさまな意気込みは感じられない。
しかも、11月12日(日本時間)になってオバマ次期大統領はこのサミットに欠席するのみならず、いかなる二国間会談にも応じないことを明らかにした。これを受け、「もはやレームダック化したブッシュ大統領と握手し、最後の集合写真を撮ることくらいしか、今回のサミットに意味は無くなっている」との論評が世界中の大手メディアを席捲している。
しかし、果して本当にそうなのか?―――13日(日本時間)明らかにされたところによれば、米国からはオバマ次期大統領に代わり、オルブライト元国務長官(民主)とリーチ元連邦下院議員(共和)が出席することになった。「何故この二人なのか」を突き詰めると、実は米国が今回の金融サミットに込めた隠された本当の議題が見えてくる。
まず、リーチ元議員といえば、1999年に制定された金融近代化法の共同提案者である。大恐慌の教訓を踏まえ、「銀行と証券の分離」を定めた戦前のグラス・スティーガル法を覆し、米国の金融セクターに再び仁義無き戦国時代をもたらしたこの法律こそ、現在の金融メルトダウンの元凶だったのではないかとの批判が日に日に高まりつつある。
一方、10月22日に発表されたホワイトハウスのプレスリリースによれば、今回のサミットでは「金融危機の原因について共通の理解を得る」ことも目的とされている。普通に考えれば、議場で米国に非難が集中するのは今から目に見えている。だからこそリーチ元議員が「責任は米国には無い」と強弁する役回りを与えられているのだろう。
これに対しオルブライト元長官は、昨年1月にオランダ系年金基金から3億2900万ドルもの一括拠出を受け、ヘッジファンドを立ち上げたばかりである。
ちなみに当時の報道によれば、実際にファンド運用の陣頭指揮を執るのはジョン・ヨネモト氏。このファンド(Albright Capital Management)の詳細なポートフォリオは公開されていないが、「新興市場国」をターゲットにしたものであることは明らかとされている。しかも、ヨネモト氏が前職を務めていたダルビー・オーヴァーシーズ(ファンド)の重点投資対象は中南米だ。
その中南米を中心に、新興市場国は今や火の車なのである。早急に資金を投げ入れなければ、トレーダーとしての経験も無いのにファンド・マネジャーの世界へと飛び込んだオルブライト元長官のワシントンでの“政治生命”にまで延焼しかねない危険性すらある。
そうである以上、オルブライト元長官は必死になってIMFへの増資を日本などから求めるだろう。金融サミットで何も決まらないのは既に明らかであり、週明け17日以降の日本マーケットも大荒れであろうが、それ以上に米国勢がどこまで「隠された議題」をこなせるかが注目の的になりつつある。(執筆者:原田武夫<原田武夫国際戦略情報研究所(IISIA) CEO>)
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最終更新:11月14日8時18分
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