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http://www.amakiblog.com/archives/2008/11/14/#001237
2008年11月14日
金融サミットの日本の報道に注視せよ
昨日のブログで私はレバノンの英字紙デイリースターの論評を引用して、今度の金融サミットで新機軸が打ち出されることはないだろう、それどころか各国の利害のぶつかり合いに終わるだろう、という見方を紹介した。
サミットを前日に控えて、さすがに14日の日本各紙も金融サミットの記事を発信している。
その中で私が注目したのは14日の毎日新聞の二つの記事だ。
その一つは金融サミットの見通しについて概略こう書いている。
すなわち、今度のサミットは、金融機関に対する監督体制や規制の見直しが焦点になる。しかし、欧米間で国際金融の主導権争いがくすぶり、新興国は先進国主導の規制・ルールづくり自体を改めるように要求する。日本は「欧米間や先進国と新興国間の橋渡しを目指したい」としているが、先進国だけでもまとまらない論議を、新興国も交える金融サミットで、すんなり麻生提案でまとめられるか疑問だ、と。
レバノン紙がいち早く指摘している事と同じ見方である。死に体ブッシュに影響力はなく、すべてはオバマ新政権の発足後になる、という点を除いては。
もう一つは新しい基軸通貨を模索する中での円の地位の低下についてである。毎日新聞の「金融崩壊」という連載記事の第四回目に「揺らぐ基軸通貨」として、次のような記事があった。
「長期的視点に立てば、世界がより多くの基軸通貨の選択肢を持つべきだ」。これは中国人民銀行の元副総裁が11月2日、上海で開かれたシンポジウムで話した言葉だという。金融危機による米国の地位低下を見越し、中国が重要な役割を握る、と宣言したものと受け取られている。
アジア共通通貨の構想が浮上したのは97年のアジア通貨危機の時だった。この時、サマーズ米財務副長官(当時)は、国際通貨基金(IMF)のアジア版(AMF)をつくってアジアを円の共通通貨圏にしようと動いた榊原英資財務官(当時)に、「本当の友達だと思っていたが見損なった」と抗議された上に、アジア各国に書簡を送って反対するよう圧力をかけられた。榊原構想はあっけなく幻に終わった。
それから10年余り、世界が未曾有の金融危機に襲われている中で、円を軸に据えたアジア共通通貨を模索する動きはない。それどころか日本の政府関係者が口にするのはIMF強化論ばかりだ・・・それは米国発金融危機のさなかにアジア共通通貨を打ち出せば、ドル暴落を誘うという配慮が働いているだけではない。日本が基軸通貨を裏打ちする圧倒的な軍事力を持たない事に加え、戦後処理が完全に終わらず、アジア諸国の尊敬を得る地位を確立していない事が背景にある・・・
財務省幹部は「中国と東南アジアの経済的つながりは今後ますます深くなる。将来誕生するアジア共通通貨は中国人民元が中心になるのは避けられない」と見る・・・
軍事力を持たないから米国に追従するほかはない、という考えは誤りだ。日本に戦略がない、ただそれだけである。
安全保障政策も、国際金融政策も、政治家、官僚の無策の積み重ねの結果、今日の日本の地位低下を招いた、そこに尽きるのである。
さて金融サミットはどのような結果に終わるのであろうか。
我われが注目しなければならないのは日本の報道振りである。
あらたな金融秩序づくりの前哨戦となる各国の壮絶な戦いの結果を日本の報道は正確に伝える事ができるのか。
日本代表団のブリーフをに頼って日本の活躍ぶりだけを国民に知らせる大本営発表記事に終わりはしないか。
そこのところを我々は注視しなければならない。