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資本主義は倒壊し、アメリカの納税者はそのかけらを拾う (ロバート・キヨサキコラム)
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投稿者 新世紀人 日時 2008 年 11 月 13 日 14:25:40: uj2zhYZWUUp16
 

http://money.yahoo.co.jp/column/company/ead/celebrated/person4/column_person4.html

2008年10月24日 (不定期更新)

第60回 資本主義は倒壊し、アメリカの納税者はそのかけらを拾う
 2001年9月11日、ワールドトレードセンターのツインタワーが崩壊したのを境に世界が大きく変わったのは、誰もが認めるところだ。

 今年、9月11日の前夜、政府系住宅金融機関のファニーメイ(連邦住宅抵当金庫)とフレディーマック(連邦住宅金融抵当金庫)というツインタワーが崩壊した。さらに9月15日、リーマン・ブラザーズとメリルリンチが消滅した。米国の保険最大手のAIGを勘定に入れれば、これは、本当はトリプルタワーの崩壊だったということになる。

 これから数年のうちに、最も大きなツインタワーが崩壊する。それは、社会保障制度と高齢者医療保険制度(メディケア)という名のツインタワーだ。この2つの高層ビルは、いまにも崩れそうな気配すら見えている。私たち市民や国家、世界は、このようなタワーの倒壊にあと何回遭遇すれば、地球規模の金融システムが非常におかしなことになっていることを認めるのだろうか。みんなが目を覚ますのに、この先さらにどれだけの犠牲が必要なのだろうか。

政府には解決できない
 最大の問題は、多くのアメリカ人が、今年の大統領選の候補であるバラク・オバマやジョン・マケインが金融システムを建て直してくれると期待していることだと、私は考えている。私たちはいつから、自分の経済的な自立を政治家に託すほど、お金に関して弱くなったのだろうか。合衆国憲法のどこかに、政府は私たちのお金に関する問題を解決しなければならないとでも書いてあるのだろうか。

 経済的に生き延びるのに政治的指導者をあてにしている人が、世界中にこれほど多いのが不思議でならない。ほとんどの人は、富やお金、住宅ローンの返済保証を約束する候補者なら、誰にでも投票するようにさえ見える。

 私たちは、どちらの大統領候補にも解決できない問題の真っ只中にいる。それは、学校に総合的なファイナンシャル教育が欠けているという問題だ。政界や金融界の指導者たちが犯した経済的な大失敗を説明する理由は、これをおいて他にはない。借金にどっぷり漬かった消費者がこれだけ多いのも、政府が何らかの即効性のある対応をしてくれると期待する人が何百万もいるのも、同じ理由によるものだ。

借金に沈む
 数ヶ月前、ハワイに住む友人の1人が、ツインモーター搭載の真新しいパワーボートを買わないかともちかけてきた。2007年後半、彼は新品をおよそ$85,000で買った。自分の家の価値が上がったら、住宅ローンを借り替えて、差額をこのボートの支払いに充てるつもりだったのだ。

 だが、追加の融資を受けることはできず、自分のボートを買ってくれないかと私に電話をしてきたのだった。彼は、ボートのローンの支払いを引き継いでくれさえすればいいと言った。私はこの話には乗らず、結局、銀行が彼のボートを引き上げていった。その後のことだ。彼の妻が私に電話してきて、夫は今では住宅ローンの支払いにも困っていると明かした。彼が、ボートのローンと同じように、マイホームのローンの支払いにまで再融資を当て込んでいたのは間違いない。

 この友人の話をしたのは、それが、オバマやマケインが直面している問題をよく表しているからだ。ファイナンシャル教育のない人がほとんどで、お金に関する常識もどんどんなくなってきている。この国のビジネスリーダーたちはみんな、お金に関しては同じ教育しか受けていないに違いない。

皮肉な現実
 アメリカの資本主義というタワーが崩壊しつつある理由について知りたい人は、G・エドワード・グリフィン著「マネーを生みだす怪物――連邦準備制度という壮大な詐欺システム」を読むとよい。やさしい本ではないが、一度読み始めたらやめられなくなる。これはまさに、中流階級の経済的な「殺人」という、推理小説とでもいうべき作品だ。

 この本から学べる非常に重要な教えは、政治的指導者たちが一般大衆をあざむくために、お金に関して都合のよい解釈をいかに利用しているかということだ。非常に裕福な人々はこのやり方で私たちの愛国心に訴え、私たちから合法的にお金を盗んでいる。指導者たちの「我々がファニーメイやフレディーマックを救済するのは、アメリカ市民を守るためだ」という言葉は、本当は「我々の金持ちの友人たちを守るためだ」ということを意味している。

 銀行家や政治家が、星条旗を振りかざして愛国歌「ヤンキードゥードゥル」を歌いだすだけで、大衆は涙で目を潤ませ、合法化された盗人たちにさらなる忠誠を誓う。たしかに知らぬが仏ではある。だが知らないということは高くつくし、私たちの自由が犠牲になる。

失われゆく自由
 救済策にもいろいろある。紙幣をさらに印刷するような救済方法は、いっそうのインフレにつながる。そうなれば、貧しい人々や中流階級の生活は、守られるどころか物価高でますます苦しくなる。もう1つは、裕福で無能な友人たちを保護するような救済策だ。あなたや私がビジネスで失敗したら、それは失敗でしかない。嘘をついて失敗したら、刑務所行きになる。だが金持ちで政界にコネがあれば、無能でも政府が救済して守ってくれる。

 自由を守るために海兵隊の一員としてベトナム戦争を戦った私としては、その自由が銀行家や政治家に盗まれていくのは見るに忍びないものがある。残念ながら、「国有化」と「社会主義化」という言葉の違いがわかっているアメリカ人はほとんどいない。「社会主義化する」とは、私たち個々の力を支配者に差し出してしまうことであり、政府の規制をほとんど受けない自由な体制からは程遠い。そのことによって、市民の力はますます弱まり、より強い権力に守ってもらわなければならなくなる……その権力こそが、私たちをこの混乱の渦に投げ込んだ張本人だというのに……。

 一言で言えば、ファニーメイやフレディーマック、メリルリンチ、リーマン・ブラザーズ、AIGのタワーが崩壊したとき、地に落ちたのはお金だけではなかった。この国が礎(いしずえ)としている「自由」、世界中が欲してやまない「自由」がいま、失われつつある。


※ ロバート・キヨサキについてさらに知りたい方はこちらをご覧ください(外部サイト)。
※ ロバート・キヨサキの本コラム‘Why the Rich Get Richer(金持ちがますます金持ちになる理由)’は米国Yahoo! Financeに掲載するために執筆されたものです(2008年9月23日)。
※ コラム「金持ちがますます金持ちになる理由」が1冊の本になりました。


[新世紀人コメント]
米国の状況報告としては興味深い。

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