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http://japanese.cri.cn/151/2008/11/10/1s129081.htm
「上海証券報」:世界金融危機による影響を誇張してはならない
2008-11-10 15:09:32 cri
世界金融危機が中国経済に与える影響については、国内でも熱く議論されています。「上海証券報」は6日付けの紙面で、「世界金融危機による影響を誇張してはならない」と題した署名記事(王福重記者)を掲載しました。その主な内容は以下のとおりです。
一、金融危機が中国に与える影響はたいしたものではない
米国発の金融危機が中国の経済や株式市場に影響を与えていますが、たいしたものではないと思います。中国経済の不況は、すべて金融危機によるものではありません。中国経済が急成長し、新たな発展段階に入った今、新しい牽引力やクリエイティブな発想が必要です。しいて言えば、金融危機は中国に絶好のチャンスを与えてくれました。このチャンスを見逃してはいけません。
米国政府が、連邦住宅抵当公社(Fannie Mae)と連邦住宅貸付抵当公社(Freddie Mac)に援助金を提供し、サブプライムローン危機を緩和しようとするニュースが発表された時、中国の国民の金融危機に対する関心はぐっと高まりました。国内のマスコミは、金融危機をめぐって大々的に報道を行い、その注目ぶりは米国のマスコミ以上でした。その結果、1年間株価の下落が続いていた中国の株式市場がさらに急落し、政府の打ち出した緩和策も歯が立たない状態になってしまいました。
ところが実際は、米国の金融危機が中国の経済や株式市場に与えた影響はたいしたものではありません。金融危機が米国の経済に与えたダメージも、国内のマスコミが報道したほどひどくはないのです。
二、今回の金融危機は1929年の経済大恐慌と異なる
今回の金融危機は、1920‐1930年代の経済大恐慌とほぼ同じぐらいの影響を社会に与え、世界経済の枠組みを変える可能性が高いという説があります。国内のメディアは、こういう冗談半分の論説をまともに受け取りました。しかし、今回の金融危機は1929年の経済大恐慌とかなり違います。その証拠に、今回金融危機が発生した直後にはすぐその原因が解明され、貨幣の流動性を促すための対策までもが練られました。今回の金融危機は、米国経済の基礎を揺り動かすことはなく、米国は依然として世界トップの経済大国かつ研究開発の拠点であり、米ドルの国際通貨における地位も取って代わられていません。世界経済の次期成長をリードする国がまたも米国となる可能性はかなり高いと見られます。
もちろん、米国発の金融危機が世界や中国に影響を与えていることに間違いありません。しかし、こうした影響は間接的なものです。対米輸出が中国の輸出に占める割合は高いので、米消費者の需要が減少すれば、中国の輸出も減ることになります。しかし、対米輸出製品の多くは初級加工の生活必需品で、金融危機が発生しても米国が自ら生産できない製品が多いのです。中国の金融システムは金融危機による影響を直接受けていません。中国経済に生じた問題は、実体経済に関わるものです。
三、企業倒産の引き金は金融危機ではない
中国の一部地区で頻発している加工企業の倒産は、金融危機と直接関係を持っていないと思います。対外輸出企業の倒産は数年前から始まっており、人民元利上げの伸び幅の急増と輸出の税金返付率の低下が原因だとされていました。しかし今、人民元の利上げの伸び率が低くなり、輸出の税金返付率が高まる中、企業の運営はかえって難しくなりました。ですから、金融危機は企業倒産の引き金ではありません。金融危機の影響を受けて、欧米の消費者の贅沢品に対するニーズが減少しつつありますが、生活必需品と一般製品への需要はかえって高まっており、中国の輸出が不況になるはずはありません。中国企業の倒産は、金融危機の発生と同じタイミングで起こりましたが、偶然なことだと思います。企業倒産の根本的な原因は、製造技術が高度でないため、中国だけでなくどの国の企業でも同じ製品を作れるので、競争が激しくなったことにあります。過去、中国製の市場シェアが高かったのは、人件費が低かったからです。しかし、経済の成長に伴って、生活コストの上昇、賃金の値上げなどが、その優位性がだんだん小さくなっているわけです。
四、内需拡大は経済発展の必然的な結果
金融危機は内需拡大の主な理由ではありません。内需拡大は中国経済の規模が拡大しつつある必然的な結果です。金融危機が発生しなくても、内需を拡大すべきだと思います。消費、投資、政府入札や輸出など、いずれも経済成長を促す役割を果たしています。経済成長を促進するため、輸出だけに力を入れることは危険です。外部の環境がいったん変動すれば、対応が間に合わない恐れがあります。これは今まさに中国が直面している問題です。
1997年に金融危機に陥った東南アジア諸国は、経済成長を促すため、外需にだけ力を集中させていました。小さな経済体が、経済を成長させるため外需に頼ることはやむをえないかもしれません。中国のような、人口が多く、経済が著しく成長している経済大国は、外需拡大にだけ取り組むことは危ないと思います。理論であれ実践であれ、消費と企業による投資は、経済成長を牽引するうえで最も確実で信頼できる原動力でしょう。
外需拡大から内需拡大へ変換するには、政策たとえば財政体制の改善が必要です。整った社会保障制度を打ち立てて初めて、消費者は心配せずにお金を使うことができます。ここ数年、歳入がGDPに占める割合はどんどん高くなっていますが、住民所得はほとんど増えていません。このままだと、内需拡大はほぼ不可能になってしまいます。歳入の増加幅がGDPの伸び率をはるかに上回るのは正常なことでなく、継続していくことも無理です。
五、中国への影響は主として心理的なもの
米株価の下落は中国の株式市場に影響を与えていますが、主として心理的なものだと思います。1年以上続いてきた中国株価の下落によって、中国の株主が経済の不景気や非流通株の改革に対し、配慮していることが十分反映された結果だと思います。中国の経済成長は依然として強みで、政策の調整が適切であれば、今後の伸び幅はまだまだあると思います。株式市場運営を維持する基礎は依然として安定しているので、中国の株式市場は金融危機に陥った海外の株式市場ほど不況になるわけはありません。株式市場の景気回復は中国経済の成長に不可欠なもので、適切な対応策が打ち出されていない現在はなおさらです。
1972年にノーベル経済学賞を受賞したケネス・J・アローさんの見解に賛成します。アローさんはこのほど上海で、「米国の金融危機は1年後沈静化する見込みだ」との考えを示しました。金融危機の影響を誇張しても、問題解決に役立たず、恐慌を悪化させるだけです。(翻訳:KH)