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一時的にすぎないFRB利下げによるドル高効果(KlugView)
2008/10/30 (木) 23:35
米連邦準備理事会(FRB)は、10月29日の公開市場委員会(FOMC)で、政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利をの誘導目標を0.5%引き下げ、年1.0%とすることを全会一致で決定しました。FF金利(誘導目標)の直近ピークは、昨年9月中旬に5.25%でしたから、米国の政策金利は、わずか1年1ヶ月程度で4.25%も引き下げられたことになります。
FRBによる利下げが発表された直後は、利下げ幅が市場の事前予想通りだったこともあり、為替市場では、ドル安・円高の動きで推移しました。しかし、その後、日本を始めとするアジアの株式市場が開始すると、株価は全面高となり、株高による投資家のリスク許容度の高まり期待や、日銀による協調利下げ期待の高まりから、ドル高・円安の動きが強まりました。
日本時間の10月30日午後11時現在、ドル円レートは98円台後半で推移しています。つい1週間前に、ドル円レートが(一時的とはいえ)90円台をつけたことがウソのようです。
FRBによる利下げは、日本を除く世界各国の協調利下げの効果と相まって、世界各国の金融機関の資金繰りを楽にする効果があると期待されます。ここ1ヶ月間での急激なドル安・円高の背景には、世界的な金融危機がありましたので、利下げによって金融機関の資金繰りが楽になれば、ドル安・円高の修正が起きるのも不思議ではないといえます。
ただ、だからといって、このままドル安・円高の修正が進み、再びドル高・円安が進展するとは思えません。むしろ、今後もドル安・円高が進むほか、円以外の主要通貨に対してもドル安は進むように思われます。
過去10年以上続いたドル高の背景には、米国の高い経済成長率がありました。米国以外の国にとって、米国の高い経済成長率は、米国への投資採算性が高いことを意味しており、米国投資に必要なドル買いを進めるインセンティブとなっていました。ところが足元では、米国の雇用者数が9ヶ月連続で減少し、実質GDP成長率が7−9月期だけでなく10−12月期もマイナスになると見込まれているなど、米国の経済成長率が、もはや高いものではない状況です。
米国が経常赤字国である点も忘れてはなりません。経常赤字の国は、赤字分を諸外国から資金を呼び込むことでバランスさせる必要があります。しかし、経済成長率が低下し、政策金利も1%まで下げられてしまった以上、諸外国は以前のように米国に資金を投ずることはなくなる可能性が高まります。
しかし、先ほどご紹介したように米国は経常赤字国ですので、必ず諸外国から資金を呼び込むことになります。経済成長率も金利も低いなか、米国の経常赤字をバランスさせるためには、米国の通貨であるドルがある程度、下落せざるをえないことになります。
FRBによる利下げで、パニック的な金融危機がある程度回避され、ドル高・円安が進んだのは事実です。ただ、今後、FRBの利下げの効果などによって世界的な金融危機が解決の方向に向かったとしても、市場は、次なる材料として、米国の毛景気悪化や低金利政策に注目しだすでしょう。そのときに、足元で進んでいるドル高局面は終了し、再びドル安が進むような気がします。
村田雅志(むらた・まさし)
●●●●●●●●●●今日のクイズ●●●●●●●●●●
米国の政策金利であるFF金利の誘導目標が
5.25%だったのは、いつごろのこと?
●●●●●●●●●●クイズの答え●●●●●●●●●●
昨年(2007年)9月中旬ころ
http://www.gci-klug.jp/klugview/2008/10/30/003866.php