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言われているほど確実とは思えない日銀の利下げ(KlugView)
2008/10/29 (水) 22:43
10月29日付の日本経済新聞は、日本銀行(日銀)が31日に開催される金融政策決定会合(決定会合)で政策金利を引き下げる(利下げをする)検討に入ったと、一面で大きく報じています。仮に日銀が利下げをするならば、利下げは量的緩和政策で政策金利をゼロに誘導した2001年3月以来のこととなります。
記事によると、日銀は31日の決定会合で景気判断を下方修正する見込みです。実質GDP成長率は、今年度がゼロ%台(従来は1.2%)、来年度もゼロ%台後半(従来は1.5%)に下方修正されるようです。日本だけでなく世界的に景気が減速していること、原油価格など商品市況が下落し、物価上昇圧力が以前に比べ低下したことなども、日銀の利下げ観測の背景にあるようです。
米連邦準備理事会(FRB)や欧州中央銀行(ECB)などが、10月8日に同時利下げをしたこと、また10月28日からの連邦公開市場委員会(FOMC)でFRBが追加利下げに踏み切るとみられていることも、日銀も欧米中銀と「協調して」利下げをするのではないかとの見方を強めているようです。与謝野経済財政担当相が、「各中央銀行が(金利を)下げた時に日本も下げるのは国際協調の重要な証しという意味では大事」と発言しているように、欧米中銀が利下げしたのに日銀だけ何もしないのは、「けしからん」ということなのかもしれません。
円高の進展も日銀に利下げを迫っているようです。欧米を中心に各国で利下げされたことで、日本と各国の金利差が小さくなっています。日本と各国の金利差が大きいときは、高い金利収入を狙った円キャリートレードが拡大し、円安が進展したとされています。仮にこの構図が事実であれば、金利差が小さくなったことで、円キャリートレードの巻き戻しが進み、結果として円高になったという考え方は、それなりに説得力のあるように思えます。
ただ、これだけ材料が揃っていても、日銀が31日の決定会合で、利下げを見送る可能性は、それなりに高いような気もします。現在の日本の政策金利の水準は0.50%と世界的にみて非常に低く、ここで利下げをしてしまうと、「いざ」というときに利下げをすることが難しくなるからです。
今回の局面において利下げに消極的とされる日銀の山口広秀理事が、10月27日に副総裁に就任した影響も見逃せません。山口氏は、副総裁就任の記者会見で「日本の経済成長率、物価上昇率からみて極めて低い緩和的水準」と述べ、欧米を追随する利下げに対して否定的な考えを示しています。
足元では、日本経済新聞だけでなく、マスコミ各紙やエコノミストなどが、日銀の利下げの可能性が高まっているとの認識を示しています。そのためか、市場においても日銀の利下げが、徐々に織り込まれつつあるように思えます。ただ、マスコミやエコノミストが考えるほど、日銀の利下げは確実なものではなく、利下げが見送られるシナリオもそれなりに想定すべきと思われます。言い換えれば、日銀の利下げを織り込みつつある市場の動きは、31日の決定会合直後に、逆の動きを示す可能性もあるといえます。
村田雅志(むらた・まさし)
●●●●●●●●●●今日のクイズ●●●●●●●●●●
日銀が最後に利下げをしたのはいつ?
●●●●●●●●●●クイズの答え●●●●●●●●●●
2001年3月
http://www.gci-klug.jp/klugview/2008/10/29/003859.php