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http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20081024/175038/
例年ノーベル経済学賞受賞者への人々の反応は「誰?」だが、今年は違う。米ニューヨーク・タイムズ紙のコラムニスト、ポール・クルーグマン氏は(故ミルトン・フリードマン氏と並び)最も有名な受賞者だ。受賞理由は「貿易パターンと経済活動立地の分析」だが、厳密な経済学的思考の重要性を世界に想起させた点でも称賛に値する。 受賞自体は驚きではない。いずれノーベル賞を手にする運命だと前々から思われていた。むしろ驚かされたのは、受賞の時期と単独受賞だったという事実だ。米大統領選挙まで3週間というタイミングは挑発的だ。ブッシュ政権とジョン・マケイン候補を痛烈に批判してきたからだ。関連業績を残した者がいれば共同受賞になるのが常だが、ノーベル賞委員会はそれもしなかった。アビナッシュ・ディキシット氏のような人が彼の研究を可能にしたのに。 クルーグマン氏は、理論家としても極めて優れているが、啓蒙家としての才能が際立っている。ノーベル賞委員会は彼が知識人として果たしている役割を受賞の足がかりであっても、障害ではないと判断したようだ。 これは悪いことではない。世界が再認識したように、経済学は重要だ。クルーグマン氏は常に明快な経済学的思考を駆使し、理論よりデータを重視する。アジア危機を鋭く分析し、グローバル化を才気煥発に擁護した。読者は好況時にドットコムの熱狂や住宅バブルを警告され、「ベビーシッタークラブ」や「ゴールドラッシュ」「ホットドッグメーカー」の例え話などを通じて経済を学んだ。 彼の研究が受賞に値しないという専門家は少ないが、今の彼が洞察力ある経済モデル構築より共和党の選挙戦術粉砕に傾いているのを残念に思っている者はいる。 これは一理ある。ブッシュ政権への彼の批判は全く正しいが、怒りで説得力がそがれている。政権を批判できる者は多いが、奇抜な「恒星間貿易理論」を書けるのは彼だけだ。論客として絶好調でも、あの機知に富んだ経済論理を聞きたい。 経済の仕組みと重要性、誤った政策の影響の解説という得意分野に今からでも戻ることはできる。その変化はすぐ起こるかもしれない。共和党政権が間もなく倒れるからだ。オバマ氏が政権を取れば、政治の第一線に自分は必要ないと納得するかもしれない。 スローガンや論争術は重要だ。モデルやデータも重要である。クルーグマン氏はそのすべてに卓越している。彼に祝いの言葉を贈る。 (FINANCIAL TIMES,(C) 2008 Oct. 14,The Financial Times Limited) |