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JPモルガン:自治体とリスク高い債券デリバティブ契約−刑事捜査も
10月27日(ブルームバーグ):米ペンシルベニア州ニューキャッスルにある学区のビジネスマネジャー、ジョゼフ・アンブロシニ氏は、JPモルガン・チェースの担当者がノーリスクだと言って同氏に勧めた取引を振り返る。公的融資契約に署名しさえすれば、同社が教育委員会に28万ドル(約2630万円)を支払うという話で、取引はいとも簡単に思われた。
アンブロシニ氏は「JPモルガンはおおむね、世界全体が海に沈まない限りうまくいくだろうと言っていた」と話す。
しかし9月に入り、同氏の生徒数3400人の学区は水面下に沈んだ。リーマン・ブラザーズ・ホールディングス破たんの翌週の9月25日、JPモルガンがアレンジしてこの学区が発行した970万ドルの債券の金利が10.6%を付け、月初の倍以上の水準に跳ね上がった。投資家が地方債に求めるリターンが急上昇したことが背景にある。
ベアー・スターンズ、メリルリンチ、リーマンその他のウォール街の金融機関を襲ったサブプライム(信用力が低い個人向け)住宅ローン危機の打撃という点では、JPモルガンは比較的無傷だ。一方、あまり知られていないが、同社はサブプライム関連とは種類の違う危険な債券を、この10年間に数百の郡や学区に売り歩き、相当な利益を得てきた。
信用収縮で世界的に融資が凍結状態となり、株式相場が急落するなかで、JPモルガンを信用していたという地方自治体の当局者らがおのおの危機に直面している。過去10年間のウォール街の利益追求姿勢が、2兆7000億ドル規模の地方債市場で資金を借りる自治体に思いがけない打撃を与えている。
JPモルガンや他の金融機関がアレンジした資金調達に関連して、数百もの公共機関が本来なら支払う必要がなかったはずの数十億ドルを利払いや罰金の負担増に振り向けることを余儀なくされている。
救済措置なし
こうした資金調達は、地方債やデリバティブ(金融派生商品)を通じて行われたが、それらの金融商品が危険なものに変化している。連邦政府の救済策の恩恵を受けているJPモルガンとは異なり、金融機関が資金を融通した地方自治体や学校は何ら支援を受けていない。
ウォール街が総崩れとなるなか、JPモルガンとジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は、重要な役割を担ってきた。同社は今年3月にはニューヨーク連銀によるベアー・スターンズ救済を手助けし、10月にはS&L(貯蓄・貸付組合)ワシントン・ミューチュアルを買収した。
JPモルガンがこうした好ましい評判に浴する陰で、同社の地方債デリバティブ部門は目立たず営業を続けてきた。同部門がアレンジした資金調達案件は、これを詐欺だと主張する地方自治体から訴訟を引き起こしている。
刑事捜査
同社の地方債デリバティブ部門は、パブリックファイナンス絡みで過去最大規模となる米司法省の刑事捜査にも関係した。
米証券業界の自主規制機関である金融取引業規制機構(FINRA)によると、地方自治体への過剰請求で金融機関による共謀がなかったかについて、JPモルガンの少なくとも5人の元デリバティブ担当者が検察当局から捜査対象になっているとの通知を受けた。証券取引委員会(SEC)もこの件を調査している。
JPモルガンは9月3日、リスクが利益を上回っていることを理由に挙げ、地方自治体向けに債券デリバティブを販売する部門を閉鎖した。それでも地方自治体は、金融機関がアレンジした危険な契約を抱え続けている。
JPモルガンは、ダイモンCEOや他の幹部がこの件でコメントすることはできないとしている。
JPモルガンは、地方自治体が将来、同社と金利スワップ契約を結ぶと約束する見返りとして、現金を前払いするデリバティブを勧誘していた。同社は、金利が将来上昇した場合に有利な取引だと顧客に説明していた。
翻訳記事に関する翻訳者への問い合わせ先:東京 竹内 正子 Masako Takeuchi mtakeuchi5@bloomberg.net Editor: Ryoji Uchida 記事に関する記者への問い合わせ先: William Selway in San Francisco at wselway@bloomberg.net . Martin Z. Braun in New York at mbraun6@bloomberg.net .
更新日時 : 2008/10/28 16:15 JST
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=90003001&sid=aDad7QyiWB7E&refer=commentary