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金本位制回帰の兆しかもしれない金地金の人気上昇(KlugView)
2008/10/28 (火) 13:19
今年の夏を過ぎた頃から、個人を中心に金の地金やコインを購入する動きが広がっているようです。貴金属販売の最大手である田中貴金属工業のプレスリリースによると、9月の投資用金地金の販売量は、2005年12月以来の高水準を記録したそうです。
金地金だけでなく、1万円程度から購入できる金貨の人気も高まっているようです。今年1月から9月に販売されたオーストリア造幣局の「ウィーン金貨」の販売量は、前年同期に比べ2.6倍に拡大してます。報道によると、オーストリア造幣局は、ウィーン金貨の人気があまりにも高いために、24時間体制で増産しているそうです。
興味深いのは、金地金や金貨の販売量が拡大しているのに、東京証券取引所に上場しているSPDRゴールド・シェアという金ETFの出来高が、さほど増えていないことです。7月28日に始まったSPDRゴールド・シェアの出来高は、つい最近まで1日あたり1〜2億円程度しかありませんでした。仮に個人のニーズが、金への投資であるならば、本物の金塊を投資対象としているSPDRゴールド・シェアの出来高が、もっと大きくてもよい気がします。SPDRゴールド・シェアは、直接、金(現物)を購入する場合と比べ、取引手数料が少ないという点も考えると、なおさら、そのように思えます。
現物の金取引が拡大している一方で、SPDRゴールド・シェアの出来高が大きく拡大しない理由の1つとして、「証券」という原資産からの逃避行動が強まっている、という点が思い当たります。SPDRゴールド・シェアは、金(現物)を投資対象としているとはいえ、あくまでETFという証券でしかありません。このため、個人投資家は、いくらSPDRゴールド・シェアを購入したとしても、証券という紙を手に入れることはできても、(金と交換をしない限り)金の現物を手に入れることはできません。
一般に証券は、保有者の権利を証明するものであり、証券を手に入れた方は証券に記載されている権利を行使することができます。この仕組みによって、人々は、金だけでなく不動産や企業といった様々な実物資産を手軽に保有することが可能になります。
しかし、9月に米大手投資銀行であるリーマン・ブラザーズが破綻したことで、証券という仕組みに対して多くの方が疑問を感じるようになってしまいました。リーマン・ブラザーズが組成した様々な証券の権利が、リーマン・ブラザーズの破綻によって行使できない例が多発してしまったためです。
証券という仕組みに対する疑問が大きくなった以上、投資家は証券を手放し、より信頼のおける現金に資産をシフトさせる動きが強まります。足元で起きている世界的な株安は、株式という証券ではなく、より信頼性の高い現金に自分の資産をシフトさせる動きの結果、生じたものと解釈することもできます。
ただ、最近では、国によっては現金ですら信用しない投資家層も存在します。南アフリカランドといった新興国通貨が、ドルに対して大きく下落しているのは、投資家層の一部が、南アフリカで流通している現金を信用しなくなった例と考えることもできます。
現金すら信用できなくなった場合、投資家は、古来より資産価値があるとされる金に資産を移す動きを強めるのかもしれません。仮に、現金から金へのシフトが強まれば、30年以上前のように、各国当局は、信用を取り戻すために通貨の価値と金とを結びつける、いわゆる「金本位制」に回帰することになるのでしょう。
現金すら信用されず投資家の多くが資産を金にシフトさせ、結果として金本位制が復活するというシナリオは、さすがに現実味のない話に思えますが、現金に対する信頼性が低下すれば、このシナリオも現実味を帯びたものになります。個人投資家の現物への金に対する需要の強さは、証券ひいては現金の信頼性の低下のバロメータと考えてもよさそうに思えます。
村田雅志(むらた・まさし)
●●●●●●●●●●今日のクイズ●●●●●●●●●●
今年1月から9月に販売されたオーストリア造幣局の
「ウィーン金貨」の販売量は、前年同期に比べ何倍に拡大した?
●●●●●●●●●●クイズの答え●●●●●●●●●●
2.6倍
(このため、オーストリア造幣局は24時間体制で増産している)
http://www.gci-klug.jp/klugview/2008/10/28/003849.php