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今後の為替相場の行方
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投稿者 ワヤクチャ 日時 2008 年 10 月 14 日 21:42:14: YdRawkln5F9XQ
 

http://subetenohitohe.cocolog-nifty.com/kopia/cat5162959/index.html

今後の為替相場の行方

 G7とその後の各国政府の金融機関保護の流れを受け、週明けの市場では投資家のリスク力の回復、市場の流動性回復の期待感から、これまでのポジションの巻き返しの動きが激しく起こっている。すなわち株高、円安である。

問題はこの動きが本格的なものになるのか?ということである。

先週の株価の下落はあまりに急激だったので、今週はその反発で、株価が上昇を続ける展開もあるだろう。しかし、市場は心のどこかに不安も持っていることは確かだ。本当に株高続くの?これまでも政策はことごとく駄目だったじゃん!こんな気持ちは強い。
それに今回の世界の中央銀行、とりわけFRBのなんでもありの措置は、当然副作用もある。FRBのバランスシートの問題しかり、米国の財政赤字の急激な拡大もしかり・・加えてリーマンブラザーズ破綻以降の影響を受けた経済指標が発表されてくるのはこれからだ。とてもじゃないが、新規のマネーは、非常に短期的な利鞘を目的としたフローしか期待できず、本腰を入れた株買いにはなりにくいだろう。

また、このように歴史的に大相場となった場合には、市場の回復には相当の時間を必要とする。大手術をやった後の患者にさー運動会をやるから参加しよう!と誘っても無理なのである。これだけ市場が傷つき、投資家が血を流した場合、目の前にチャンスが転がっていても、それに飛びつくのは最善の行動ではない。その行為が失敗したら致命傷になるかもしれないからだ。最善の行動は休息なのである。
為替の倍場合、クロス円が10円ほど急落したような過去のケースでは、1ヶ月くらいは市場は不安定になった。今回はその数倍は強烈だったのだから、当面は本格的な回復の動きは無理だろう。

とにかくこうした相場で大事なことは、株でも為替も底値を拾ってやろうと考えることだ。底値で拾おうという考えが、こうした相場では最悪なのだ。考えてもみよう。この急落で株も為替も大きく動きた。もしも本格的に反転するなら、それを確かめて途中から参入しても十分間に合うのだ。底で拾う必要なんか全くない。それよりも底だと思って、トレンドに逆らうポジションを作ることの方が危険なのである。

私は為替相場は引き続き円高地合いを見込んでいる、短期的にはドル円は103円近辺、ユーロ円は139円程度までの反発はあるかもしれないが、引き続きドル円は95円台、ユーロ円は129円台を目指す動きとなるとみている。
そして恐らくはそうした円高局面においても、日本の為替介入は無理だろうな・・と確信している。
このシナリオが崩れるケースはドル円で105円以上で引けた場合、ユーロ円が143円まで戻した場合だ。それまではとにかく戻り売りが基本戦略となろう。

2008年10月14日 (火) 投資、金融、外国為替 | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (1)

FRBの新しい政策
最近、質問を受けることが多かったので、FRBが決定した「準備預金への利息の支払い」について簡単に解説したい。


まず銀行は、預金の一定割合をFRBに預けなければならない。日本でも同様だ。この預け金のことを、準備金と呼ぶ。

今まで、FRBに預け入れるこの準備金には利息が付かなかった。それが10月9日より、利息がもらえることになったのだ。


普通に考えると、このように考えないだろうか?


「今の市場はさ、流動性危機とやらで、市場にお金が回らないことが問題なんでしょ。FRBの準備預金に利息なんかつけちゃったらさ、お金の余っている銀行はさ、ますます市場にお金を出さなくなるんじゃないの?だって、FRBの準備預金口座に置いておくだけで、利息が貰えるならさ。なんでFRBはそんな政策をしたの?」


もっともな理屈だ。

なぜ、FRBはそんな政策手段を取ったのか?

その答えを一言で言うなら、「無限の資金供給を可能にするためだ!」


話が飛躍したので、じっくりいこう。まずFRBはFF金利で市場のインフレをコントロールしている。インフレ懸念が強いと思えば、FOMCで協議して金利を引き上げる。今のFF金利は、先だって50bpの世界同時金利引き下げが行われたことから1.5%だが、この意味するところは、FRBは1.5%の金利というのが、今の米国経済に最適であると分析しているということだ。つまり、1%でも3%でもよろしくないわけだ。

まずここを理解する必要がある。


さて、そうした中で現在FRBは市場に大量の資金供給をしている。しかし、大量の資金供給を実施すると、市場の金利は限りなくゼロに近づいてしまう。実際に最近のFF金利は0.5%程度まで低下していた。これは先ほどの理屈でいけば、FRBにとっては望ましくない。FRBはあくまでFF金利の誘導目標で市場をコントロールしている建前があるからだ。

しかし、今回の措置でFRBが準備預金に利息をつけるとなれば、市場の金利はその利息以下には理論上下がらなくなる。準備預金で確実に安全に支払われる利息よりも、低い金利でリスクを取って貸すのはナンセンスだからだ。


そして本当の目的はこれからだ。今回の措置がないと、FRBが大量の資金供給を行うと、FF金利以上に市場の金利は低下してしまう。そのためにFRBは売りオペという手段で、資金を吸い上げて金利をコントロールしなければならない。具体的にはFRBは保有する財務省証券を売却して、その分の支払い金を市場から吸い上げるわけだ。これは極論すると、FRBが市場に資金供給できる金額の上限は、保有している財務省証券の額ということになる。それを超えると、コントロールできなくなるからだ。

しかし、今回の措置で準備預金に利息を付けると、FRBは売りオペを実施する必要がない。市場が自ら金利が低下しないように動くからだ。これは言い換えれば、これまでの上限だった保有財務省証券額の100倍のお金を供給しても、問題ない。(FF金利をコントロールできる)ということになる。

これが本当の狙いだ。

これからも市場は不安定で、FRBは市場に大量の資金供給を続ける必要がある。その時に資金供給に上限があったのでは、コントロールが難しい。その上限を取っ払い、無制限に資金供給できる体制を整えた。これがFRBによる準備預金への利息の本当の意義だろう。

2008年10月13日 (月) 投資、金融、外国為替 | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)

市場を襲うブラックホール危機
株価の下落は恐ろしい・・・・

景気が良いとこ悪いとかを何で判断するか?

エコノミストや市場関係者は、それを様々な尺度で分析する。GDPであったり、労働市場のひっ迫感であったり、消費の強さ、賃金の伸び、鉱工業生産のトレンド、住宅市況・・・様々である。

しかし、一般的にもっと実感できるのは、株価が上昇することである。株価が上昇すると、明るくなる。社内の昼飯時の会話でも、株でちょっと儲かってさ、車を買い替えようかと・・・等の話がどこからともなく出てくるものだ。それを聞いた同僚は、俺もやってみようかな・・と成功体験は連鎖していく。そういうものだ。

実は過去数年の日本は、そういう意味でとんでもなくハッピーな時期だった。これまで何度も書いてきたが、日本は株高、円安というダブルメリットで、投資の初心者もほとんど皆儲かり、投資ブームだったのだ。本屋に行ってみるといい。株やFXの投資本は溢れかえっている。罫線、チャート分析からオシレーター系分析、フィボナッチなど、これまでトレーダーを職としているものだけに売れていた本が、一般の主婦たちにまで売れ始めるほどだ。

それはそうだろう。日経平均株価は、2003年4月の7,603円から、昨年には1万8千円台まで大きく上昇した。またかって経験のないほど円は弱くなり、ポンド円は170円台から250円へ、ユーロ円は88円から170円近辺へ、日本の投資家に人気の高かったAUD円も70円台から106円へと、強烈に円安が進行し、外貨預金、外貨建投資信託というたぐいものは、とにかく儲かった。

株価が上昇したから、日本は明るくなり、マンションが売れ、企業も成長してきたのだ。

株価とは、最も波及効果のあるプロダクツなのだ。

それがどうだ?

先週の株式市場は悪夢だった。米国政府により金融救済法案が可決されたのに、英国政府が金融機関を公的資金でサポートすると決定したのに、アイルランドやスペイン、ドイツでは預金者を保護すると決めたのに、世界の中央銀行が0.5%の協調利下げを実施したのに、中央銀行により市場に大量の資金供給が継続されているのに、G7が開催されたほか、そのあとにもG8やG20により、世界中が協力体制を敷くことが明らかなのに、株価は未曾有の急落となった。日経平均にいたっては、ここ最近で1日で1千円近く下落した日が2回もある。米国市場も空売り規制の期間が終了したと同時に大幅安、ブラジルやメキシコの市場は取引停止となるなど、信じがたい事態となっている。

さて、前半で株価の上昇は、最も波及効果があると書いた。もちろん、その逆の効果も然りだ。

サブプライム問題が発生した昨年の夏には、市場は米国経済の悪化、世界経済への波及を嫌気して株価が下落した。しかし、その後、意外に新興国が頑張っていることや、ユーロ圏の好調、米国経済も最悪期を過ぎたのでは?という見方から、今年の夏にはどこか安心ムードが出始めていた。

ところが、リーマンブラザーズの破綻以後、市場では新たな問題に直面した。それは、これまで何回か書いてきたテーマである流動性不足の危機である。しかし、この流動性危機は市場で取引する金融機関には最大の恐怖であるが、一般企業には、当初は直接的に関係ない危機であった。

流動性危機は怖い。だから、当局は未曾有の資金供給や矢継ぎ早の政策で、流動性危機を抑え込もうとした。結果からいえば、これに失敗した。市場の流動性危機は、まったく回復していない。流動性危機が長引くと、耐えられなくなる金融機関が続出してくる。また金融機関が倒れれば民間企業も苦しいほか、経済の心臓である金融が心筋梗塞状態では、この先の将来にも明るい絵は描けない。したがって、先を織り込む株価は急落している。

つまり流動性危機に、世界経済危機がダブルで発生しているのだ。

そして、更にもう一つ新たな危機が起こっている。

それはブラックホール危機とでも呼ぼうか・・。政策が悉く、株価急落の暗い闇に吸いこまれて、効果が出ないことである。もちろん、今の政府の政策は強力で、時間が経過すれば必ず効果はある。しかし、政策を打ち出したことによる心理効果は、ブラックホールの中に吸い込まれて、まつたく発揮できていないのである。

特に協調利下げ後の市場で株価が急落したのはインパクトが大きかった。今の市場では利下げ事態の効果が期待できないことは明らかだが、それでも世界の中央銀行がかってない規模で協力姿勢を見せたことには意義がある。それさえも吸い込まれるとは・・・

ブラックホールに見舞われた市場に何が起こるのか?

次回はそれについてだ。

2008年10月12日 (日) 投資、金融、外国為替 | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)

現在の市場について
先週も激しい相場が続いた。ユーロはとんでもないスピードで下落し、ユーロ円はついに145円を割り込む強烈な円高となった。市場では今、何が起こっているのか? 今日のテーマは、以下の3点だ。1. 米国を取り巻く信用不安は全く解消していない。2. 市場の注目は、久しぶりに経済に戻った。3. 懸念の渦の中での為替相場・・・ まずは1番だ。例の米国金融対策法案が下院で、ショッキングに否決され、株価は市場最大の777ドルの下落となり、その直後に修正案が出され政府がやっきになって可決に向けて働きかけ、ようやく上院、下院で可決された。市場はようやくほっとしたところだが、市場の金融危機は解消されたのだろうか?答えはノーだ。一番深刻な事態の起こっている米ドル資金市場では、翌日物liborが6.875%という水準から、いっきに3.79375%まで急低下した。これは望ましい。レートが下落するということは、資金の取り手がこの流動性危機のために払わねばならないリスクプレミアムが低下したということだからだ。しかし、この時に低下したのは翌日物金利だけだった。今日借りて、明日には返済するという翌日物取引は低下したが、市場が求めているのはそんな短期の取引ではなく、1ヶ月とか、2ヶ月、3カ月等のターム物と呼ばれる取引だ。しかし、こちらの市場では市場機能は全く回復していない。市場へ資金を放出する金融機関はどこもなく、市場は閑散としている。日本政府が米ドル資金供給オペという異例のドル供給オペレーションにより、日本の銀行へドルを供給しているものの、ドルを供給された金融機関は、自分の銀行の海外店へドルを分配するだけで精一杯で、余った資金は手元に残して非常事態に備えており、市場にドルは全く出てこない。市場では3か月もの6%、7%支払ってもお金を借りられないのだ。重要なことは、この事態は米国金融救済法案が可決された後も継続していることだ。この事態が解消されない限り、市場は今後も常に不安定でリスク回避的な状態が前提とされるし、今後も次々に金融機関は潰れるだろう。外国為替を取り引きする人間には、いっけん無関係に思える米ドル資金市場だが、今、最も注目すべきはこの市場なのだ。 次に2番だ。米ドル資金市場以外の市場では、先週は経済指標にも注目が集まった。ここ数週間で市場の注目は、金融機関の破綻、金融市場機能、政府の施策にのみ集まっていたが、金融救済法案が可決されたことで、少し冷静になり、「ところで、経済はどうなってんの?」という話になったわけだ。ところがこれが酷い。今や年末までに利下げのない国には日本しかないのでは?という事態であり、米国は0.5%の利下げが織り込まれ、ユーロ、英国・・世界中が利下げの見通しである。この2番は先週末の雇用統計も含め、もう少し次回に詳しく取り上げる。ここで言いたいことは、世界中が信用不安に目を奪われている間に、米国の住宅市場、労働市場、世界の製造業市場は全て、より悪くなっているということであり、例え1番で取り上げた米ドル資金市場の問題がクリアーされても、市場には難題が待ち構えていることである。 さて、そうした中での為替相場であるが、実はここが一番簡単なのかもしれない。それは円高戦略である。リスク回避志向=円高の黄金の方程式に、今ほど条件が整っているときはない。市場の変動率は20%台という異常事態の水準に張り付いているほか、市場は明らかにここ数年の世界景気拡大の反対の流れの力の中にいる。ここ数年の一番顕著な動きは、エネルギー上昇、株価上昇、そしてクロス円の円安である。この反対の動きが一斉に起こっているのだから、この流れに逆らうと大怪我する。私は、ここ数年、本屋に並ぶFXの戦略本にことごとく異議を唱えてきた。スワップで儲けろとか、1日で何万円勝ち続けるとか・・・それらが、本来の市場環境の中で機能する戦略ではなく、世界がきわめて平和で安定していて、なおかつ日本だけが異例に金利が低いという特殊な環境下でのみ起こることであることを訴えてきた。常にスワップ金利狙いのFX取引などありえないのである。市場の動向を分析し、それが膠着相場であると自分が判断した時は、高金利通貨の買い持ちによるスワップ金利の受け戦略はいいだろう、しかし、あくまでも相場観、市場分析がなにより大切なのだ。今の市場は変動性が大きく、例え相場観があっていても、日々の激しい変動で耐えられないケースもある、通常よりもポジションを減らし、市場をよく分析することが大事だ。

2008年10月 6日 (月) 投資、金融、外国為替 | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (2)

ラスト・リゾート
rラスト・リゾートという言葉がある。この言葉は、通常は中央銀行のことを指す。日本では日本銀行、米国ではFED、ヨーロッパではECB、イギリスはBOEだ。この言葉は、こうした中央銀行が金融市場の最後の拠り所になるという意味をあらわしている。そして、これまで中央銀行はその言葉の通りに機能してきた。 たとえば、ある人が借金苦に陥り、金策に走り回ったが、もうどうにもならない状態に陥ったとしよう。この人にお金を貸してくれる人は、たった一人を除いて、もうどこを見渡してもいない。その一人、最後の一人が中央銀行に相当する中銀君だ。中銀君は借金の肩代わりに担保の提供を要求するものの、実にありがたい存在なのである。 現在、アメリカではとんでもないことが起こっている。アメリカの住宅市場の根幹となるフレディーマック、ファニーメイが公的管理下に置かれ、これまでウオール街を席巻してきた証券会社のビジネスは立ち行かなくなり、リーマンブラザーズが破綻、メリルリンチは身売り、モルガンスタンレー、ゴールドマンサックスといった最大手は銀行への転換を決意した。更には米国貯蓄金融機関最大手のワシントンミューチュアルも破綻したほか、ワコビアバンク、ナショナルシティなど比較的健全なところも、「次はあそこ・・」と噂され、このままでは米国の金融機関はなくなってしまうかの勢いである。 そんな中で、ラスト・リゾートであるはずの中央銀行は何をしてきたのか?結果から見れば、最後の拠り所としての役割を果たしていないようにみえる。 実は中央銀行(fed)は、必死にいろんなことをやってきた。先の中銀君の例でいえば、中銀君は実に気前よくお金を貸してくれるようになった。これまで貸さなかった人にまでお金を貸すようになったほか、要求する担保も、当初は例えば金や宝石しか認めないと厳しかったものが、時計でもいいよ、箪笥でもいいよ、花瓶でもいいよと幅を広げてくれたのだ。この中銀君の功績は実に大きい。 ところが、それでもバタバタと死人が出始めた。なぜか?中銀君からお金を借りるための担保を使い切り、何もなくなってしまったことと、保有している物の価値がどんどん下落してゼロ同然になり、借金が更に膨れ上がったことである。 つまり、中銀君はラスt・リゾートとしての役割を持つが全能ではない。お金を貸すという、ただ一つの行為ができるに過ぎないからだ。中銀君の力は、病人が死なないための点滴は大量に送り続け、時間を稼ぎ、病人の自然治癒力により自力で復活するのを期待するというものなのだ。これは大変に大きな力だが、今回の米国を襲っている現象では効果が低かった。 そこで真のラスト・リゾートが登場する。それは法律を作ることができる全能の力を持つ、政府である。本当のラスト・リゾートは政府なのである。政府は何をしようとしているのか?政府は借金苦に陥っている人の家へトントンとドアを開けて入り、壁に掛った価値のない絵を眺め、その絵を高値で買い取ってあげるよーというのである。絵だけではない。いろんなもので価値がなくなって困っているものを全部高値で引き取ってあげるよ〜と言っているのである。更には困っているだろうからといって、現金を置いて帰るのである。これは凄いことだ。これが、今政府が7000億ドルを使用して最終的にやろうとしている不良債権の買い取りである。こんなことは中銀君には不可能だ。もちろん、政府といっても、資金源は国民からかき集めた税金であり、その行為事態はいろんな議論があり、通常ではありえない。しかし、中銀君で解決できない以上は、政府がやるしかないのである。 時代は逆戻りしたといわれている。米国は民主主義を世界に広め、社会主義はこの地上からほとんど消え去った。しかし、今の米国はお国が民間企業のすべてを管理しなければならないような事態であり、ある意味で社会主義国家になってしまったかのようだからだ。ラスト・リゾートという言葉、どうやらそれは政府を指すという認識に変えたほうがいいかもしれない。

2008年9月28日 (日) 投資、金融、外国為替 | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (1)

流動性危機
現在の米国市場はとでもない危機に襲われている。何をいまさら・・・という感想は大きな間違いだ。確かに昨年のベアスタンズ証券の破綻、サブプライム危機と、市場は1年半もの間、危機的な状況が継続している。しかし、現在の米国市場を襲っている、いや米国だけでなく世界市場を震撼させている危機は、これまでの危機とは次元が異なる。 今の危機、それはすなわち流動性危機である。 流動性危機というのは、金融機関に働く者ならば誰でも恐怖する危機であり、どこの金融機関でも流動性規定、流動性マニュアルといった規程を定めている。そして、そういう事態に陥った時は、「非常時」と位置付けられ、取締役会が招集されるような金融機関の経営を左右するような危機なのである。 流動性危機とは何か?定義はいろいろとあるが、ここでは「市場参加者が極度にリスクに慎重となった結果、市場参加者が市場に参加しなくなり、市場が市場でなくなり、金融市場の機能が働かなくなる事態」とでも捉えよう。 例えば、夏休みや年末には市場参加者が休暇となり、市場は参加者が不足して、ちょっとしたニュースで市場が乱高下する。これは流動性不足であり、流動性危機ではない。流動性危機は、こういう生易しいものではない。株式市場で流動性危機が発生すれば、ブラックマンデーのようなフリーフォールと呼ばれる急落が起こる。 流動性危機は株式市場、債券市場、為替市場とどこの市場でも同時に発生するものであるが、一番恐ろしいのはマネーマーケットと呼ばれる資金市場で流動性危機が発生する場合である。それが今の米国市場を中心に起こっている。 通常の資金市場では、金融機関同士が日々、お金の貸し借りを行っている。お金の貸し借りといっても、何百億ドル、何千億ドルといった資金の貸し借りで、オーバーナイトと呼ばれる今日借りて翌日には返済する短い取引から、3カ月後や6か月、長くは1年間の期間の貸し借りなど、非常に柔軟に取引がされている。 資金の貸し借りであるから、こうした取引のリスクはお金を貸すほうの金融機関にある。もちろん、お金を貸すほうの金融機関は、それに見合った金利を受け取ることができるが、貸した先の金融機関が破綻してしまえば、貸した金が戻ってこない。銀行が大口の顧客に貸出ている金額よりも、遥かに大きな金額をやりとりしているわけで、とんでもない不良債権になってしまう。金融機関は格付けを非常に気にする。それは良い格付けを取得できれば、それだけその金融機関の信頼度、安全度は高いことになり、資金市場でより多くの貸し手からお金を、それも安い金利で借りることができるからである。 さて、通常の資金市場ではこのように日々、金融機関同士が積極的に資金の貸し借りをしているわけだ。資金を借りている銀行にしてみると、1週間後に3ヶ月前に借りた数百億ドルを返済しなければならないかもしれないし、ある銀行は3日後に数百億ドルを返済しなければならないかもしれない。通常の市場では、返済する金額を再び市場から借りてくればいいわけで、なんの問題もない。 ところが、今の市場では先に述べたように流動性危機に瀕している。これはどういう状態かといえば、市場で資金を提供してくれる金融機関がゼロになってしまっているのである。これはとんでもない事態である。市場というものは本来需給によって成立している。貸し手に比べて、借り手の需要が強ければ、本来3%で借りられるところを、3.5%の金利を提示し、借入金利が上昇する。それが市場の原理である。つまり、高い金利さえ払えば、お金を借りられるのである。ところが、今の市場ではどんな信頼度の高い金融機関が、どんなに高い金利を払うといっても、資金を借りることができない。金利の問題ではなく、資金を貸し出そうという金融機関がゼロになってしまったからだ。先週のリーマンブラザーズの破綻前には、資金市場で1か月の資金を借りようと思えば、2.6%前後の金利で借りることができた。資金の借り手は少しでも安くお金を借りたいので、それを2.59%で交渉し、資金の貸し手は少しでも高い金利で貸したいので2.61%で交渉していた。0.01%の世界である。それがリーマン破綻後は7%でも9%でも借りることができないのだ。ちなみに、こんな事態はベアスタンズ証券の破綻の時には起こっていない。記憶をさかのぼれば、あの米国同時多発テロ事件の時に同様の事態が起こった。しかも、今回はあの時よりも更に事態は深刻である。 さて、この流動性危機が早急に収まらないと世界はとんでもないことになる。まず金融機関が次々に破綻してしまう。先に述べたように昔借りた資金の返済がどんどん迫ってくるのである。資金の都合ができなければ、金融機関は破綻する。また一般の企業もどんどん破綻する。例えば日本で海外に進出している企業は、銀行からドルの融資を受けている。銀行は資金市場でお金を借りてきて、それを企業に貸し出しているので、資金市場からお金が調達できなければ、当然顧客にも提供できる資金がなくなり、新規の融資には対応できないし、既存のローンについても期日で返済を迫ることになる。これは企業の資金繰りを苦しめ、破綻に追い込むだろう。そうでなくても、貸出金利の大幅上昇で、企業経営を苦しめる。 このように流動性危機は恐ろしい危機なのだ。流動性危機は1日長引けば、それだけ破綻する金融機関、企業が増加する。従って、政府はこの危機を解消するために何でもやる。先週だけでも、米国政府、FRBが協力して、次々に新しい資金供給策を打ち出している。これまでタブーであったことも、この状況下では通る。この週末にも更に対策が出されるだろう。問題は個別の金融機関の問題ではなくなっているのである。今の市場はそれほどの危機なのだ。 次回は、なぜリーマンの破綻を機に、流動性危機が起こってしまったのかを検討する。

2008年9月20日 (土) 投資、金融、外国為替 | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (3)

為替市場で凄いことが起こっている@
 最近の為替市場の動きは強烈だ。為替市場、債券市場、株式市場、商品市場・・これらはすべて関係があるが、間違いなくここ数カ月の相場では、まず商品・エネルギー市場が動意を持ち、つられて為替市場が更に大きな動意を持ち、市場を動かしてきた。そして最後に株式、債券市場が再び下げ基調を強め始めてきた。 市場の動きは極めて難しいが、市場を取り巻いてる雰囲気、経済動向は非常にシンプルだ。まずは整理しておく。  ここ数年は米国、中国の経済の好調が世界経済をきわめて順調に成長させてきた。デフレという言葉は消え去り、世界中がインフレという言葉を意識するようになり、この数年で中央銀行はせっせと利上げを繰り返してきた。米国のFRBにいたっては2004年の6月から、17回も利上げを繰り返し、1%のff金利は5.25%に達した。世界経済の好調を受け、投資資金は高リターンを求めて、グローバルに世界を駆け巡った。注目を集めたのは、エネルギー市場、金属、商品市場である。特に原油は2005年初頭には1バレル=42ドル近辺で推移し、60ドルを超えれば大騒ぎされていたのが、80ドル、100ドル、130ドルと節目を次々にブレイクし、今年の7月には140ドルを超えた。最近はエネルギー価格が急落しているが、エネルギー価格の上昇は、最も早く上昇の動意を持ち、さらにはつい最近まで継続していたのである。さて、世界経済の好調、商品、エネルギー市場の上昇を受け、これまで経済が脆弱とされた新興国はこの数年で劇的な変化をとげる。各国の債務状態は一掃され、債権国へ転じ、わが世の春を謳歌する状態となった。一方で米国経済は経常収支がどんどん悪化していった。この間の為替市場はどんな動きが見られたかといえば、ドル安、円安の同時進行である。世界経済は好調で、投資家のリスク許容力は最高潮で、少しでも高い金利を求めた結果、低金利の通貨は弱含んだ。特に世界の各国に比べて、著しく金利が低い、日本とスイスの通貨はファンディング通貨となった。ファンディング通貨とは、調達通貨のことである。投資家は何かに投資するときに当然原資となる資金を調達しなければならないが、まずこの調達を円でする。日本の金利はほとんどゼロだったので、低い利息で資金を調達できる。調達した円は、為替市場でaudやポンドなどの高金利の通貨に変換して投資する。この一連の取引を、キャリートレードと呼ぶ。一時は新聞に毎日、キャリートレードという言葉が掲載されるほど、メジャーな言葉になった。それもそのはず、2001年には80円台だったユーロ円は2008年に170円近辺へ上昇、180円台だったポンド円は250円へ上昇といった具合に強烈な円安が進行したのである。これほどの為替の動きは近年ではない。1980年代のプラザ合意等の強烈なイベントで変動したの同じくらいの値動きなのである。  ところがやはり、好調な状態はいつまでも続かない。詳しくは書かないが米国でサブプライム問題が発生した。これは強烈な問題で、まずは敏感な株価が激しく反応した。日経平均は1万8千円台から1万2千円割れ、NYダウは2007年の1万4千ドル台から1万2千ドルを割り込んだ。市場では投資家の投資マインドは急激に冷え込み、守り一辺倒になった。利益が出ているものは利益確定を急ぎ、新規の投資は行わない。これまで数年にわたる円安基調は一転し、ドル円は100円を割り込み、一時はパニック的に95円台、ユーロ円も150円割れなど、円高が大きな同意となった。 さて、市場とは非常に移り気なものであり、同じテーマではずっと動かない。先の先を見越すため、現在は酷い状態でも先行きに一筋の明かりが見え始めると、そのテーマとはおさらばしてしまう特性がある。サブプライム問題も同様だが、この問題は市場で半年以上もトップテーマだった。これは凄いことだ。オリコンで半年1位を取るのはまず無理だ。それでも、市場はやはり時間の経過とともに、明るさを見出した。サブプライム問題は峠を越えた、米国経済は酷いが、ユーロ圏の経済は安定しているし、新興国も依然景気良好だし、米国がダメな分は他の国がカバーし、世界経済はなんとなるだろう・・・こう思い始めたのである。こうなると市場の変動率は低下し、円はとたんに弱くなり始め、ドルと円の同時安という状態、すなわちサブプライム問題前への回帰が起こる。ユーロは対ドルで1ユーロ=1.6台に上昇し、ユーロ円は170円へ迫った。ただし、この流れにポンドだけは入ることができなかった。英国は米国同様にぐちゃぐちゃだというのが市場の共通認識だったからだ。 さて、そうして世界経済に対する安心感が広がっていたのが、数か月前の話だ。しかし、この安心感は崩れ去る。最初に裏切ったのは日本だ。発表される経済指標は最悪で、「あれ?日本はいつの間にか好景気は終わってる」となった。最近、政府もそれを認めた。続いて欧州だ。これまでの欧州はスペイン、イタリアの不況をドイツ、フランスがカバーしてきた。ところが、ドイツが急速に悪化した。これでユーロ圏はいきなりアウト。中国もよろしくない。上海株はピーク時の3分の1になってしまった。しかし、中国経済の先行きは意見が分かれている。こうなると、楽観論はとても持てなくなる。こうした先進国の不調が鮮明となり、現在はかろうじて新興国が踏ん張っている状態だが、これも長くは持たないだろう。そういう思惑で、商品、エネルギー等の価格はまた一段と下落歩調を強めている。悪いことにこれらの価格が下落すれば、新興国にダメージを及ぼすことになる。悪循環だ。 これが今の市場を取り巻くムードである。今の市場ではほとんどの国が、先行きに利下げを連続して行うという予想をしている。米国でさえも再び利下げの話も出始めているほどだ。 では、こうしたムードと今の為替市場は整合性があるだろうか?私はノーだ。今の相場はテクニカル相場とうのが、私の結論。それについては、次回に続く。

2008年9月 7日 (日) 投資、金融、外国為替 | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (1)

日米欧のちょっとした比較
今日はちょっと面白いテーマを取り上げる。
それは為替に影響を及ぼす実需の話だ。

 日本とアメリカの関係は、アメリカ=巨額の経常赤字国であり、日本は反対に巨額の経常黒字国という構図をたどってきた。
90年代には日米貿易摩擦という言葉がはやり、日本は不当に過小評価された為替レートで、貿易黒字をためこんでいることが、しばしば批判されたことは記憶に新しい。日本は農産物の輸入を迫られたり、仕方なく大型ジェット機をアメリカから購入したり、いろいろ苦労してきたわけだ。
90年代最初の頃は、経済指標で最も注目されたのは、米国の経常収支といっても過言ではないほど、赤字が増加するたびに、ドルは急落してきたものだ。

 そして市場では「こんな赤字が増大していけば、やがてドルは維持不可能なほど急落する」という懸念を抱いてきた。どうすれば、米国の赤字は減るのか・・こんな議論が活発にされていたものだ。
当時、私の信頼する米国投資銀行のストラテジストはこう言っていた。
「私は米国の赤字問題は全く心配していません。なぜ?米国の景気が悪くなれば、赤字は縮小しますから」

そして現在、米国の赤字は彼の指摘通り縮小している。最近公表された米国の第2四半期のGDPは予想を上回るものとなり、その中身が外需によるものであることが明確に示された。「内需が弱く、外需が強い。」皮肉なことに、これは90年代の日本がずっと指摘されてきた言葉だ。
それはさておき、米国はこの4年間年率10%を超える輸出の伸びを記録してきた。ドル安の効果であろう。一方で輸入は明確に減速している。その結果、心配された米国の赤字問題は市場ではほとんど取り上げられなくなっている。

さて、その一方で市場に話題に上っているのが、日本の経常黒字の中身の変化である。つい最近、市場では日本の6月の経常収支が5千億円を割り込んだことが大いに注目された。前年の同じ時期は1.5兆円だったから、1年で70%も減ってしまったのだ。
ちょっとここで、やや細かい話をさせてもらう。
そもそも経常黒字って何?って話だ。
経常収支は、貿易収支に所得収支を合計して、そこからサービス収支と経常移転収支を差し引いたものだ。ここで覚えておくべきは、最初の2項目でいい。経常収支の大半は、貿易収支と所得収支の合計だということだ。貿易収支は、日本の企業が海外へせっせと輸出して儲けた金額から、日本の輸入企業が仕入れて海外に支払ったお金の差とでも考えておけばいいだろう。所得収支は日本政府の外貨準備の利息とか、海外へ投資した外国の債券の利子とかそういうものだ。
大事なことは、従来の日本ではこの貿易収支が経常収支の大半を構成していたのが、最近では貿易収支は大きく減少し、大半は所得収支が占めているという中身の変化である。
それがそんなに重要かって?
為替取引をする人間には重要なことである。
貿易収の大幅な黒字がある場合には、海外で稼いできたお金を、日本の国内の従業員へ給与等で支払うために、企業は外貨を円に交換する必要がある。つまり貿易収支が大きいと、ドルと円なら円高材料になるわけだ。
ところが所得収支の黒字は基本的には、投資の利息であり、円に戻されることなく、外貨で再び投資されるため、為替相場にはあまり影響を及ぼさないのだ。

これまでの日本は年間で平均12兆円程度の貿易黒字が安定的に存在していた。これに海外の投資家が日本の株等に投資する円高要因のお金が10兆円くらい加わった時は、大変な円高圧力となり、日本政府は必死に介入を繰り返していた。
ところが、今年はこのままのペースでいくと、年間の貿易黒字が6〜8兆円になるかもしれない。一方で日本の投資家が海外へお金を流出させる動き(円安材料)は活発化しており、年間で20兆円にもなると予想されている。
これだけみると90年代の自然な円高圧力と逆の動き、つまりは何もないと円安になる円安圧力のほうが強いことになる。
もちろん、為替市場はこれだけで決定するわけではないが、こうした大きな構造変化は急激な円高はない!と予想している人の大きな根拠になっている。

次にユーロだ。ユーロ圏は6月の経常収支が10億ユーロの赤字になり、今年の累計も400億ユーロ近い赤字になった。この原因は前年には300億ユーロ程度の黒字だった貿易収支が今年はほとんどゼロに減ってしまったことだ。
そして市場ではこのユーロの400億超の経常赤字そのものに注目している。なぜか?その赤字の水準が2001年のレベルだからだ。2001年はユーロが史上最安値近辺に落ち込んでいたあの悪夢の時期だからだ。当時は連日ユーロが急落し、ユーロの通貨統合は完全に失敗であるといわれていたころだ。水準も1ユーロ=1ドルを大きく下回り、現在の水準とはあまりに違う。
さらに面白いことにユーロ圏ではある極めて特徴的な動きが確認されている。それは直接投資である。直接投資とは簡単にいえば、企業のM&A等や工場進出などである。直接投資がプラスの場合は、海外の企業がユーロ圏の企業を購入しているほうが、ユーロの企業が海外の企業を購入している額よりも大きいということだ。出ていくお金よりも入ってくるお金が大きい状態だ。
この数字がなんと6月までで、例年の1年分の流出を記録しているのだ。これは凄いことだ。そしてその理由はユーロの通貨が高すぎて、海外の企業がユーロの企業を買えないことに起因していると分析されている。
やはり1.6ものユーロはユーロの企業だけでなく、海外のユーロに投資したい企業にも厳しいのだ。

こうしてみると、日本、アメリカ、ユーロの実需の動きが大きく変化していることが確認できる。短期の収益を目指す証拠金取引プレイヤーには、関係は小さいかもしれないが、個人的には大きな興味を持っている点である。

2008年8月31日 (日) 投資、金融、外国為替 | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (1)

市場の混迷@
 市場は混迷している。何故かといえば、投資先がどれもこれも不安定になってきているからだ。これまでは。米国経済が危うい状態の中でも、ユーロ圏は比較的好調を維持していたし、新興国も安定、オセアニア圏も頑張っていた。ところが、この状態は崩れ、世界中どこを見渡しても、ほとんどの経済が傾いてきた。まだ、新興国が決定的なダメージを受けていないが、この状態の長期化は新興国にも影響する。
そんな状況を簡単に整理しつつ、今後の為替動向を考えたい。 

 ここ数日に米国の重要な経済指標が次々に公表された。まずは米国の第2四半期のGDP統計だが、市場の予想を下回る1.9%となった。内容については、ドル安の恩恵で外需が良かった一方で、住宅投資は15.6%減と、相変わらず下げ幅は大きい。期待された個人消費も1.5%と奮わなかった。しかも昨年の10〜12月期のGDPもプラス0.6%から、マイナス0.2%へ下方修正された。更にはこの日は、週間の新規失業保険申請者数が発表され、驚くほどに悪い数字だった。この両方の指標を受けてドルは一時全面安となり、ドルは108円台から107円台半ばまで下落した。
ここで私は一つの大きな違和感を感じた。これまでの流れなら、ドルはいっきに106円台まで下落しても不思議ではなかったのだが、そこで下げ止まったからだ。実は今の米国経済は非常に危ういのだが、短期的にはドルは非常に強い状態にあるのだ。これは後ほど説明したい。

 そして経済指標では、昨日に米国の雇用統計が発表され、非農業部門後者数こそ市場予想を小幅に上回ったが、失業率は前月から0.2%も上昇し、5.7%となった。4年4か月ぶりの高水準だ。この指標を受けて、前セントルイス中銀総裁のプール氏は、「こんな低調な指標が続く間はFRBはとても利上げできないね〜」と発言している。市場の米国金利の先高観測も後退した。
ちなみに、あのグリーンスパンFRB前議長も、リセッションの可能性は半々としながらも、「現在の金融危機は100年に一度のタイプ」であるとか、「住宅下落はまだ続くよ〜」とかコメントした。

市場は何を心配しているのか?
まずは米国経済がもっと、もっと悪くなる可能性を心配している。今回のGDPは個人消費は冴えなかったが、酷い内容でもなかったが、それには多分に巨額の減税によるかさ上げ効果があるとみられており、今後はそうした特殊要因が消えて、個人消費が急激に冷え込む可能性がある。また労働市場はさらに心配だ。先週はビックスリーが格下げされた。特にGMは4−6月期の赤字が1兆6千億円=1600000000000円になったと公表した。すでに、今後の大幅な人員削減計画を発表している。
金融機関への懸念もある。政府が金融機関を守るべく、あらゆる流動性措置=点滴により全身チューブだらけだが、死なない、死ねない状態を作り上げているため、持ちこたえているが、これには条件がある。点滴で耐えている間に経済が回復することだ。ところが、この先行きが暗いのだから、心配だ。

私のいるマンハッタンでも、新聞ではこれまで高給取りだった金融マンの給与が激減し、それがNYの税収を少なくさせ、さらに悪い循環を生むとか、突然解雇された金融マンが地下鉄で号泣していたとか、いろいろな話はある。

話がそれはじめてしまった・・・
そういう状態が今の米国なわけだが、それでもドル円は108円前半というこれまでの104円〜108円後半というレンジの上限からわずかに下落したに過ぎないのである。ちなみに先週は株価は乱高下したし、原油価格の動きも激しかった。これまでの方程式なら、もう少しドル円は激しく乱高下するところである。
ここが違和感であり、今の相場の様相をよく表しているところだと思う。

結論は後にして、次回は日本、欧州等の他国の状況と注目すべき状況にふれたい。

2008年8月 2日 (土) 投資、金融、外国為替 | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (1)

市場の混迷@
 市場は混迷している。何故かといえば、投資先がどれもこれも不安定になってきているからだ。これまでは。米国経済が危うい状態の中でも、ユーロ圏は比較的好調を維持していたし、新興国も安定、オセアニア圏も頑張っていた。ところが、この状態は崩れ、世界中どこを見渡しても、ほとんどの経済が傾いてきた。まだ、新興国が決定的なダメージを受けていないが、この状態の長期化は新興国にも影響する。
そんな状況を簡単に整理しつつ、今後の為替動向を考えたい。 

 ここ数日に米国の重要な経済指標が次々に公表された。まずは米国の第2四半期のGDP統計だが、市場の予想を下回る1.9%となった。内容については、ドル安の恩恵で外需が良かった一方で、住宅投資は15.6%減と、相変わらず下げ幅は大きい。期待された個人消費も1.5%と奮わなかった。しかも昨年の10〜12月期のGDPもプラス0.6%から、マイナス0.2%へ下方修正された。更にはこの日は、週間の新規失業保険申請者数が発表され、驚くほどに悪い数字だった。この両方の指標を受けてドルは一時全面安となり、ドルは108円台から107円台半ばまで下落した。
ここで私は一つの大きな違和感を感じた。これまでの流れなら、ドルはいっきに106円台まで下落しても不思議ではなかったのだが、そこで下げ止まったからだ。実は今の米国経済は非常に危ういのだが、短期的にはドルは非常に強い状態にあるのだ。これは後ほど説明したい。

 そして経済指標では、昨日に米国の雇用統計が発表され、非農業部門後者数こそ市場予想を小幅に上回ったが、失業率は前月から0.2%も上昇し、5.7%となった。4年4か月ぶりの高水準だ。この指標を受けて、前セントルイス中銀総裁のプール氏は、「こんな低調な指標が続く間はFRBはとても利上げできないね〜」と発言している。市場の米国金利の先高観測も後退した。
ちなみに、あのグリーンスパンFRB前議長も、リセッションの可能性は半々としながらも、「現在の金融危機は100年に一度のタイプ」であるとか、「住宅下落はまだ続くよ〜」とかコメントした。

市場は何を心配しているのか?
まずは米国経済がもっと、もっと悪くなる可能性を心配している。今回のGDPは個人消費は冴えなかったが、酷い内容でもなかったが、それには多分に巨額の減税によるかさ上げ効果があるとみられており、今後はそうした特殊要因が消えて、個人消費が急激に冷え込む可能性がある。また労働市場はさらに心配だ。先週はビックスリーが格下げされた。特にGMは4−6月期の赤字が1兆6千億円=1600000000000円になったと公表した。すでに、今後の大幅な人員削減計画を発表している。
金融機関への懸念もある。政府が金融機関を守るべく、あらゆる流動性措置=点滴により全身チューブだらけだが、死なない、死ねない状態を作り上げているため、持ちこたえているが、これには条件がある。点滴で耐えている間に経済が回復することだ。ところが、この先行きが暗いのだから、心配だ。

私のいるマンハッタンでも、新聞ではこれまで高給取りだった金融マンの給与が激減し、それがNYの税収を少なくさせ、さらに悪い循環を生むとか、突然解雇された金融マンが地下鉄で号泣していたとか、いろいろな話はある。

話がそれはじめてしまった・・・
そういう状態が今の米国なわけだが、それでもドル円は108円前半というこれまでの104円〜108円後半というレンジの上限からわずかに下落したに過ぎないのである。ちなみに先週は株価は乱高下したし、原油価格の動きも激しかった。これまでの方程式なら、もう少しドル円は激しく乱高下するところである。
ここが違和感であり、今の相場の様相をよく表しているところだと思う。

結論は後にして、次回は日本、欧州等の他国の状況と注目すべき状況にふれたい。

2008年8月 2日 (土) 投資、金融、外国為替 | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)

相場の見方
先週も激しい相場展開だった。いろいろな材料が次々に飛び出し、FXで取引されている皆様も一体、市場はどういう要因で動いているんだ?と悩まれていると思う。私自身もそうである。

本日は、相場の捉え方について考えてみたい。

まず為替市場では様々な要因があるが、一番大事なことは「米国」が注目されているか、「それ以外の国」が市場の話題であるかという区分である。8割方は米国が話題の中心であり、日本の経済指標やら日本政府のコメント等は非常に短期的な影響しかない。そうはいっても、市場の話題が「それ以外の国」の時もある。例えば、ユーロ圏でユーロ憲法が否決され、ユーロ圏の秩序、枠組みが懸念されていた時などがそうである。

しかし、やはり基本は米国なのである。特に現在を取り巻く環境は、昨年からの米国の住宅不況、サブプライム問題、そこから発展して米国金融機関の破たん懸念、更には米国金融制度に大きな影響を及ぼすフレディマックやファニーといったGSE問題など、米国に焦点をあてなければ、相場はわからない。

そうしたことを前提に為替相場への要因としては、以下の4つが重要だ。

@米国株価、世界株価 A 米国金利・金利の見通し、B相場の変動性、C原油価格 Dテクニカル要因 Dインフレ

@米国株価が大幅に下落し、連動して日本株、世界の株価も下落している時は、これまでは極めて分かりやすかった。すなわち、昨年8月から今年3月にいたる相場の現象であり、為替相場は一時95円台に突入するなど、大幅な円高ドル安だ。
株価下落=円高 で取引していれば、簡単な相場だった。
ところが、この黄金の方程式は最近ではやや、その相関性を欠いている。これには様々な要因はあるのだが、ここでは取り上げない。
しかし、大事なことはこの方程式は黄金の方程式であり、今後激しく株価が急落する局面では、必ずや機能することである。市場は株の下落に慣れてきているため、大幅な下落が必要ではある。

A米国金利、金利の見通しの影響もかなりの確率で機能している。すなわち米国金利の先行き上昇が見込まれると、ドルが上昇するのである。金利を引き上げることによる米国経済へのダメージは、あまり相場に影響を与えていない。それよりも、現在では米国の実質金利(名目金利-インフレ率)はマイナスになっている、実質金利がマイナスの通貨は、弱含むというのも黄金の方程式であり、金利の引き上げ観測は、この実質マイナス金利を是正することから、ドルが上昇するのだ。

B変動性、変動率が上昇すると、ドル円はドル安円高となる。これも機能している。米国は巨額の経常赤字を抱えており、日々理論的には海外からの資金流入がなければ、何の材料がなくても下落する宿命にある。相場の変動性が高まると、リスクが大きい環境であり、投資家の投資スタンスは弱気になる。これだけで、ドルは下落傾向となる。また近年流行したキャリートレードにとっては変動率が低いことが条件であり、変動率の上昇はやはりドルにネガティブとなる。

C原油価格と通貨の相関性は従来は高くなかったが、近年になって、その影響度は急激に増している。原油価格の捉え方は難しいのだが、基本的には原油価格の下落=ドル上昇である。しかし、これも下落スピードが急激だと、株価に悪影響を及ぼしたり、商品通貨の大幅安に連動して円高ドル安になるなど、様々な反応をすることもある。しかし、基本は原油価格下落はドルをサポートする。

Dテクニカル要因も重要だが、テクニカルが有効なのは、相場が落ち着いている局面である。相場が乱高下しているときは、現在の環境ではあまり有効ではない。
そういう意味では、今年の3月に95円を記録し、そこから107円台まで戻ってきてから、6月以降はレンジ相場が継続している。ドル円は103円〜109円、ユーロは1.53〜1.60だ。この膠着したレンジが守られていることは、相場が比較的安定している証拠であり、また次にレンジの上下のどちらをブレイクするかは非常に重要である。

さて、長くなってしまったが、まずは米国に注目するべきか、それ以外の国注目すべき環境かを判断する。次に相場が「有事の局面」なのか「安定している局面」かを判断する。そして、現在の相場を動かしているメインな要因が上記のどのテーマなのかを分析する。もちろん、すべての要因は結びついているのはいうまでもないが、局面により強弱がある。それを判断しなければならないだろう。

私は、今の局面はAとDの力が強いとみている。Aの要因で、Dのテクニカルに重要な水準を抜けるかどうかを注目しているのだ。ただし、相場は限りなく「有事に近い平時の相場」であり、なにかの材料で@の局面になりやすいことは注意している。

2008年7月19日 (土) 投資、金融、外国為替 | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (2)

 

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