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今日(2008.10.12)のTBSサンデーモーニングで関口宏が金子さんの説は悲観論だけど、今まですべて当たっていますね、現状況はどうでしょうかと金子勝に質問したが、彼は今も事態は深刻に進行中だといっていた。
書店に掲記小冊子(71頁−税込み504円、2008.10.07刊)があったので概要を記載しておく。
はじめに グローバル同時不況の危うさ
第一章 「影の銀行システム」の崩壊
第二章 つぎの津波がやってくる
第三章 ガス欠とオーバーヒート
第四章 世界は壊れそうだ
おわりに 脱出口を見失った日本
「おわりに」の抄
・・・これは単なる不況ではない。たしかに、まだグローバル同時不況に完全に入った訳ではない。だが、これから着実にグローバル同時不況になっていく可能性は極めて高い。そうなれば、恐らく大恐慌以来の規模の長期不況になるか、少なくとも石油ショック並みに政治経済の国際的枠組みを揺るがす出来事になるだろう。
では、グローバル同時不況が来たら日本はどうなるのか。このままでは日本は脱出口を見出せないまま、泥沼のように暗い社会状況に陥ることになるだろう。小泉・竹中路線という完全に時代遅れの間違った政策がとられてきたために、この「失われた六年」によって経済体質が脆くなり、政策も大きな制約を受けてしまったからだ。真剣な反省が必要だ。
小泉「構造改革」の大罪
小泉「構造改革」は、一体何をもたらしたのか。改めて再認識しておこう。
小泉「構造改革」を特徴づければ、それは1980年代に失敗したレーガンやサッチャーの新自由主義政策の無内容なコピーであり、崩壊の危機に直面した自民党イデオロギーむき出しの政治キャンペーンであった。バブル処理に失敗した無責任体制によって日本の経済と社会が閉塞した状況に陥ったがゆえに、それがあたかも脱出口であるがごときに「演出」された。さまざまな嘘や詭弁が使われた。・・・彼らは「貯蓄から投資へ」とか「金融立国」というスローガンを掲げたが、ご本尊の米国の金融システムが今まさに破綻の危機に瀕している。明らかに小泉「構造改革」はメディアが演出した「政治のバブル」であった。言論も無責任体制に陥っている。
この究極の無責任体制は、安倍晋三と福田康夫の政権放り出しに行き着いた。自民党は「郵政」選挙で得た絶対多数を守るために妥協を繰り返しており、もはやこの危機的状況に対応できない。何より「郵政」選挙によって、自民党はネオコン(新保守主義)が多数派となっている。ネオコンと守旧派の妥協から新しいものは何も生まれない。真剣な反省と抜本的な政策転換が求められる。
自公政権は決して認めないだろうが、小泉「構造改革」のツケが、こうした状況に対する対応力を失わせている。
@「構造改革」による金融や雇用の規制緩和が生んだのは、村上ファンドやグッドウイルといった類の企業であって、決して新しい成長分野を生まなかった。いくつかの国際競争力ランキングを見ても、日本の国際競争力は着実に落ちている。
A小泉政権は、インフレターゲット派の主張を受け入れて、ゼロ金利を続けて円安を誘導し、輸出を伸ばすことで「景気回復」を図ってきた。その一方で労働市場の規制緩和でおびただしい数の非正規社員を生み出し、年金・医療・介護などの社会保証を破壊して格差を拡大させてしまった。また「三位一体」改革も地方交付税削減政策にすり替えられたために、地域格差も深刻になっている。 格差拡大と将来不安を生み出した結果、日本経済は内需が低迷し、ひたすら輸出だけに依存する脆弱な経済「構造」を作ってしまった。
B小泉・竹中路線は、「増税なき財政再建」の名のもとに、「小さな政府」どころか、500兆円台だった財政赤字を800兆円台の巨額に膨らませてしまった。・・・
このような小泉「構造改革」の大罪にも拘わらず、今でも竹中平蔵等は、「規制緩和がまだ足りない」とか「改革が中途半端に終わった」と言っている。経済が成長すれば、規制緩和のおかげ、経済が停滞すれば規制緩和たりない――まるで呪文のようだ。宝くじに当たれば信心のおかげ、交通事故に遭えば信心が足りないと言うのと同じである。・・・
私たちは、今未知のリスクに直面している。それはまだ確かな形をとっていないが、社会崩壊の危機をはらんでいる。あらゆる知恵を絞って、それを回避しなければならない。たとえ回避できないとしても、そのリスクをできるだけ軽減するためにあらゆる努力をしなければならない。それは私たち自身のためであると同時に、将来この社会を担う若い世代のためでもあるからだ。