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http://www.news.janjan.jp/business/0810/0810099101/1.php
アメリカ人自身も見放した金融資本主義の欺瞞
斉喜広一
2008/10/12
アメリカの金融資本主義を、批判的に眺めていた一部の日本人の目には、アメリカ人全体が金融資本主義の中にどっぷり浸っていたように映っていたが、そうではなかったことが、今回の金融危機で明らかになった。
生産(物)によらず、金融(金と紙)により利益を揚げようとする金融資本主義。最近ではこれをカジノ(賭博場)資本主義などとも称している。要はこの種の資本主義では、全体のパイが限られている中を、金(実際は現金の何十倍もレバレッジを利かせた紙)だけが、右から左へ、左から右へと動いているだけである。その動きの中で、新たな『利』が発生したと、錯覚している。いわば幻想が支配する世界なのである。
その金融資本主義の本家本元であるアメリカが、サブプライムローンの破綻(はたん)に端を発し、ついに今、危機的状況を迎えている。幻想の世界から、目覚めたのである。
そうしたアメリカの金融資本主義を、批判的に眺めていた(筆者を含む)一部の日本人の目には、アメリカ人全体がその金融資本主義の中にどっぷり浸っていたように、映っていた。が、そうではなかったことが、今回の金融危機で明らかになった。
最初の金融安定化法案が、米下院で否決されたのも、ウォール・ストリートとは無縁の労働者、一般大衆が、議員を突き上げたからである。「自分たちの住宅ローンが破綻しても助けてくれないのに、なぜ今まで大儲けしてきた金融機関を救わねばならないのか」、という怒りが炸裂したのである。
さて、10月6、7日、米下院の監視・政府改革委員会は、破綻したリーマン・ブラザーズと、公的資金で救済されたアメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)の経営者を公聴会に呼び、証言を求めた。
産経新聞10月9日付【ワシントン=山本秀也】は、そのときの様子を以下のように報じている。
「巨額の役員報酬や経営姿勢をめぐり、議員からは『度し難い欲深さだ』(ワトソン議員)といった非難が相次いだ」
「リーマンのリチャード・ファルド最高経営責任者(CEO)に対し、ワックスマン(筆者注・委員長)氏は『金融システムはあなた個人には有利だったようだが、米国や納税者のためにはならなかった』と指摘。2000年以降にファルド氏が得た役員報酬が約4億8000万ドル(約480億円)だったことを挙げ、会社を破綻させて得た巨額報酬を『公平だと思うのか』と追求した」
「国民生活とかけ離れた役員報酬やぜいたくな待遇への批判は、連邦準備制度理事会(FRB)の緊急融資で救済されたAIGの新旧経営陣にも浴びせられた……マロニー議員は、同社のマーティン・サリバン元CEOに対し、『AIGの救済は投機行為のツケを納税者に押し付けたに等しい。これ以上納税者に負担がかかる中、役員賞与が支払われるとは思わないでほしい』と言い切った」
「有権者の強い不満を意識して、公聴会の議員発言はリーマンなどの経営者にことさら厳しい内容となった」
結局のところ、アメリカ型金融資本主義は、アメリカ人自身にも見放された、ということか。