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米穀加工販売会社「三笠フーズ」(大阪市)による事故米の不正転売事件を受け、製品の自主回収や廃棄を余儀なくされた食品関連業者は全国で17業者に上り、損害額は31億円を超えることが読売新聞の調べでわかった。
不正転売の発覚から5日で1か月。風評被害による売り上げの落ち込みを加えると、損失はさらに拡大するとみられ、事故米の流通を許した国に損害賠償を求める動きも出始めている。
自主回収などに乗り出しているのは、三笠フーズや接着剤製造「浅井」(名古屋市)、でんぷん製造「島田化学工業」(新潟県長岡市)による事故米の転売先で、酒造会社が9業者、菓子製造が5業者、医薬品製造が2業者、食品製造1業者。このうち医薬品製造の2業者は製品の回収途中で、事故米は使用されていないことが判明し、回収を中止した。
損害額が最も大きいのは、芋焼酎「かのか」など9商品65万本の回収を進めるアサヒビール(東京)で約15億円。芋焼酎「薩摩宝山」など47万本を回収している西酒造(鹿児島)は約8億6800万円を見込む。同社は三笠フーズなどに損害賠償を求める訴訟も起こし、風評被害による売り上げの減少分なども含め約19億7000万円を請求している。
焼酎メーカーを数多く抱える鹿児島県では、奄美市の「西平酒造」が、自主回収を発表した同市内の酒造会社「西平本家」と会社名が似ていたことで注文が激減しており、「死活問題」と危機感を募らせている。風評被害は業界全体に広がり、鹿児島県酒造協同組合は「風評被害は検査体制の不備が原因」として国に損害賠償を求めることを検討している。
菓子業界も、お彼岸の時期と重なったためダメージが大きく、週明けには兵庫県内の菓子製造会社20〜30社が共同で、安全なメーカーリストを新聞に掲載するよう農林水産省に要請する。このうち1社は「対応次第では国を提訴することも辞さない」としている。
農水省は、大阪農政事務所の元課長のほかに職員11人が三笠フーズなどから手みやげをもらったり、飲食を共にしたりしていたと発表したが、「職員の身分保障」を理由に所属の農政事務所名すら公表していない。転売先として名前を公表された企業の担当者は「我々は実名を公表されて大変な被害を受けているのに、農水省は身内に甘すぎる」と怒りが収まらない様子だった。