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【JPMorganchase & Co】     A.2007年の金融危機に   特有の問題と見識
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投稿者 hou 日時 2008 年 10 月 02 日 23:37:02: HWYlsG4gs5FRk
 

★エクイティ・ブリッジまたは超過レバレッジのように悪しき金融実務、弊社によって良いものではありませんし、最終的に弊社のパートナーにとっても良いものではありません


A.2007年の金融危機に   特有の問題と見識


 私たちは、一般的に2007年の騒動に伴う問題について、全部ではありませんが多くを回避しました。それらのいくつかについて、詳細にお話しいたします。

⇒SIVには事業目的がない。

弊社は、SIVをリスクが多く、事業目的が限られており、設計に不備のある鞘取りのた
めのビークル(会社)であると考えていたため、ほとんどのSIVから慎重に撤退しました
 (弊社は、2005年に小規復々SIVを売り戻しています)。弊社はまた、同じ理由でSIVに対する融資を最小限にとどめました。

SIVは、持続可能な事業目的があることを明らかにしているわずかなものを除き、おそらく消滅することになり、世間で借しまれることもないでしょう。

とは言うものの、SIVに関しては、弊社が不意に襲われた2つの問題が残っていました。


●SIVの成長とその影響 SIVは、約5,000億ドル規模と、ひとつの業種として非常に大規模な存在に成長してしまいました。 しかも、SIVは、多額の住宅ローン証券、CDOおよび銀行証券を所有していました。

●短期コマーシャルペーパーにより長期のそしてときには流動性のない資産を調達するSIVの傾向

人々の間でSIVの存続の可能性に対する疑問が出始めたころ、市場はSIVのコマーシャルペーパーの借り換えを渋るようになり、そのため、SIVの多くが資産の清算を余儀なくされました。
SIV のコマーシャルペーパーを保有していた銀行とマネーマーケット・ファンド自体が、ストレスを感じ殆めました。

幸い、弊社のインベストメント・バンクは、全くと言っていいほどSIVにバックアップ与信枠を提供していなかったため、この問題の影響を直接受けませんでした。さらに、弊社のアセット・マネジメント・グループは、数少ない優良で仕組みのしっかりしたSIVのみに投資を限定することにより、SIVに対する債権残高を抑制しました。


⇒サブプライム住宅ローンとサブプライムCODは、私たちが考えていた以上に危険なものでした。

 2006年、弊社は、早い段階からサブプライム問題を重視していたと思いますし、実際、昨年の株主の皆様へのご挨拶でも、この問題の詳細を取り上げていました。
その後、弊社は、引受け業務に関して次第に慎重になり、償還期限まで保有することに納得できない融資の引受けは避けることにしました。それでも、2007年末までに6回にわたりサブプライム住宅ローンの引受けを厳しくせざるを得ませんでした。

(つまり、当初5回の弊社の基準が十分に厳しいものでなかったことを意味しています。)

昨年のご挨拶では、弊社の損失は、2006年の水準より大幅に増加するおそれがあると考えていました。事実、弊社の損失は、2006年の47百万ドルから2007年には157百万ドルに上昇しました。
そして、景気がさらに悪化すれば、2008年には損失が著しく上昇するおそれがあると考えています。

インベストメント・バンクでは、主にポジションを減らすか、積極的にヘッジすること
により、サブプライムローンに対する多額の債権残高を回避することができました。
また弊社は、サブプライム関連のCDOの主要プレーヤーになることを選択しませんでした。

それでも、弊社は、サブプライム住宅ローンとサブプライム関連CDOにより14億ドルという予想を大幅に超える損失を披りました。弊社は通常オフバランスシート債務をオンバランスシート債務と同様に扱っていますが、弊社の損失の大部分は特定のオフバランスシート取引で発生したものです。弊社は、こうした事態が二度と起こらないよう一層の努力をする所存です。


以上に留意しても、私たちはまだ、サブプライム住宅ローンは良い商品であると考えて
います。サブプライムローンは、適正に引受けが行われれば、有意義な目的を果たすものです。サブプライムローンは、若い世代の世帯、若い頃に金銭的問題に直面したことのある人々、信用履歴がほとんどない移民、そして自営業者にとって、実際の重要性をもつことがあります。

サブプライムローンは、多くの人々が自分で買うことのできる住宅を買い、アメリカン・ドリームを実現するのをお手伝いしてきました。引受基準を厳しくしたため
に今では弊社のサブプライムローンの提供額は減っていますが、今後もこの事業を継続するための慎重な方法の模索を続ける予定です。


ホーム・エクイティが急激に悪化

 ホーム・エクイティは、弊社にとって重要です。弊社は、すべてのホーム・エクイティ商品を賃借対照表に計上しており、2007年末現在のホーム・エクイティ・ポートフォリオの規模は約950億ドルでした。このポートフォリオの損失は急激に増大しており、厳しい景気後退にあるなかで私たちが予想していた以上の速いペースで拡大しています。

2007年の弊社の純償却額は564百万ドルで、10億ドルの引当金の積み増しを行いました。

2008年には、第1四半期の償却額は450百万ドルに達するおそれがあり、
(住宅価格下落の程度次第では)

第4四半期までに倍増する可能性もあると考えています。
賃倒引当金は予想損失を反映するものであるため、そのようなことになれば、弊社は引当金を大幅に引き上げる必要があります。


ホーム・エクイティ事業の低下が続けば問違いなくさらなる教訓を得ることになります
が、すでに身をもって3つの教訓を学びました。

@―住宅バブルの規模と急激な下落率を過少評価

私たちは、住宅バブルの存在を認識していましたが、住宅価格の下落率とその深刻度は驚くべきものでした。また、次第に強引になる引受基準が住宅価格上昇に及ぼす影響と市場の投機およびバブルの高まり を見落としていました。さらに、過去10年間にわたる住宅価格の上昇が、潜在的な損 失を覆い隠していたことをわかっていませんでした。引受基準が次第に強引なものに なったことによりこうした損失が明らかになったときには、損害の多くはすでに発生していました。


A―より強引な引受基準に対する誤った判断
 
長い年月の間に、ローン資産価値(LTV)比率は、80%から85%、そして90%に上昇し、所得確認は手続において重要性を失い、不動産鑑定評価は過度に甘い査定となりました。

こうした傾向を受けて、一肩強引な引受けが行われるようになりました。当時は個々の変更はどれも妥当で、損失は抑制されているように思われよしたが、今になってみると、それが幻想であったことがわかります。長い年月の間に生じたさまざまな変化が、実質的に商品の性質を変えたのです。

価格が高騰していた住宅市場で価格下落のリスクが高まったことを考慮すれば、弊社
は、もっと早く弊社が貸し付けていたLTV比率をもっと大幅に引き下げるべきでした。

弊社は、市場の投機が増大し、辛うじて買える住宅を購入することによって人々が強
引な引受基準に合わせる傾向が拡大したのに対応して、その他すべての基準(たとえ
ば、所得確認)を厳しくすべきでした。


B―外部の住宅ローン・ブローカーの業務に対する管理をよく厳しくしていれば、弊社の置かれた状況はずっと良くなっていたはずである。

 弊社は、外部の住宅ローン・ブローカーに対し、弊社自身の住宅ローン・ブローカーと同じ引受指針を使用していました。結果論になりますが、これは間違っていました。弊社は、外部のブローカーに対してはもっと厳しい基準を適用すべきでした。
外部のブローカーによる損失は常に、弊社内部に起因する住宅ローン損失の2倍から3倍に違しています。

それが、バンク・ワンのブローカー業務を弊社が閉鎖した理由です。
弊社は現在、全体的に基準を大幅に厳格なものにしており、外部のブローカーに対する弊社の基準はより一層厳しいものになっており、ブローカー経由のホーム・エクイティ商品は2007年第4四半期までに60%も減少しましたが、引受の資は大幅に改善したと確信しています。

ホーム・エクイティ事業は、人々が自宅の評価額を担保に現金を調達できる保守的な手
段というその本来の役割とは全く達う姿になってしまったように思われます。

この事業は、人々が自宅の評価額が上昇することを前提に借入れによって資金調達をすることができる事業に変貌してしまいました。

ホーム・エクイティがその本来の目的と業務に立ち返ることがあれば、再び良いビジネスになるでしょう。


こうした理由から、弊社としては、ホーム・エクイティ事業を継続するだけでなく、同事業で業界一になる所存です。

レバレッジド・レンディング事業にとって困難な年だったが、今後も弊社の中核事業の一角を占め続ける。

2007年も、弊社はグローバル・シンジケート・ファイナンスとハイイールド債で市場ト
ップの座を引き続き獲得しており、今後もこの地位を維持する所存です。
レバレッジド・レンディングは、これまで長期にわたって、そしてこれからも、弊社の顧客サービスにおいてきわめて重要な手段です。
概ね、過去5半開の弊社のシンジケート・レバレッジド・ファイナンス事業の平均年間収益は12億ドルでした。
2007年はとても不満なことに、13億ドル(諸手数料差引後)の損失が発生し、同事業の収益は475百万ドルでした。

弊社は2007年にいくつかの過ちを犯し、以下のことを学びました。


●コミットメント・レターの協議・組成に際しもっと慎重であるべきであった。

 数年前まで、将来の取引の資金に関するコミットメントは、詳細が最終的に決まり、最終的で拘束力のあるコミットメント・レターが調印されるまで、弊社の賃借対照表に反映されていませんでした。
この方法では、市況に著しい変動が生じた場合、貸し手側が、拘束力のある公式文言や売却額について重要な変更をすることができました。

しかしながら、やがてこうした機針腫はなくなりましたが、弊社はコミットメント・レターの当初の条件に縛られたままでした。すなわち、市況が悪化したとしても、弊社は取引資金を調達しなければならなかったのです。

資金調達に際し、弊社は、平均2%から3%の手数料を得る代わりに5%を失いました。

こうしたコミットメント・レターは、実質的に市場に定着してしまいました。
市場が強気であれば何も問題はありませんでしたが、(実際そうなったように)市場が崩壊すると、弊社は、当初の価格に縛られ、多額の資金を失うおそれが生じました。これは、一方だけに有利なもので、市場が暴落するたびに弊社には損失が生じることになり、弊社にとっては打撃であるとともに、避けられない事態なのです。
現在は、こうした当然の条件の重要性を認識しているため、このようなコミットメント・レターを調印した時点で弊社が引き受けているリスクを十分に認知しています。

●リスクが多すぎる立場に自らを追い込むことはできない

私たちは単に、(タビネズミ)の如く市場に追従することはできませんし、弊社の与信基準を緩和し、誤った判断を余儀なくされるような要求または圧力に屈することはできません。

私たちは、私たちが行うすべての取引において、負担を求められているリスクに対し公正な対応と適切な報酬を主張しなければなりません。 レバレッジド・ファイナンスの取引相手の多くは、私たちが存じ上げている方々のなかでも最も賢明で、創造力があり、手ごわいビジネスピープルです。 しかしながら、真の長期的なパートナーは、健全な取引関係とは長期にわたって同社の利益に資するものでなければならない双方向の関係であることを理解しています。

エクイティ・ブリッジまたは超過レバレッジのように悪しき金融実務は、弊社によって良いものではありませんし、最終的に弊社のパートナーにとっても良いものではありません。


 

 

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