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振り回される東京市場、米会計基準見直しで不信感助長も
2008年 10月 1日 15:29 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-34037520081001
[東京 1日 ロイター] 1日の東京市場は、前日と一転して株高/債券安。米金融安定化法案が修正・可決の方向で動いており、前日の巻き戻しが入った。
ただ、短期筋の動きが中心で米株先物がアジア時間で下落に転じると日経平均が伸び悩むなど、米市場に振り回される展開だ。米国が時価会計の見直しに動いていることも一部で不信感を助長させている。ディスクロージャーが緩慢といわれる欧州への懸念が根強いだけに、今後、欧米金融機関への市場評価の行方も、相場変動に大きな影響を与えそうだ。
<下期入りでも投資家は動かず>
下期入りした株式市場は反発。米金融安定化法案の下院否決による混乱はいったん落ち着き、銀行株や先物には値ごろ感から短期筋の買いが入った。しかし、主力株の中にも商船三井(9104.T: 株価, ニュース, レポート)やJFE(5411.T: 株価, ニュース, レポート)など続落するものが目立つ。買いが一巡すると上値の重さも目立ち始め、先物に戻り売りを出す動きもみられた。日経平均は反発したが、30日に500円近く下げたことを考えれば戻りは鈍く、リバウンドの域を出ないとの声が多い。
欧米金融セクターの混乱が収まらない中では「下期運用が始まった機関投資家から、積極的な買いはみられない。株価下落によるポジション悪化で個人投資家も動けない」(準大手証券)という。ヘッジファンドの運用成績が大幅に悪化していることもあり「海外勢には日本株の下値を拾う余力はない」(新光証券・エクイティストラテジスト、瀬川剛氏)といい、腰の入った買い手が不在、底入れ感に乏しい展開だ。
米金融安定化法案が成立すれば、混乱する欧米金融セクターの止血役にはなる。しかし、米国発の混乱が世界景気の悪化につながっており、これに対する対応はその後だ。市場では「企業業績にどう影響が出るか、9月中間決算が気にかかる」(準大手証券)との声が上がっている。
こうした欧米金融セクターへの不安に加え、日銀短観が景況感の悪化を印象付けたことも、株価の戻りを鈍くした。大企業製造業・業況判断指数(DI)はマイナス3と、2003年6月のマイナス5以来の低水準。12月予測は大企業製造業、大企業非製造業ともマイナスに落ち込む予想だが「短観発表直前に起きた米金融再編などは織り込んでいないとみられ、12月調査は今回の予測よりさらに悪化する可能性がある」(かざか証券市場調査部長、田部井美彦氏)という。
<米会計基準、透明性を犠牲に>
米国の時価会計の見直しも、市場にとって不透明要因。証券取引委員会(SEC)は現地時間の30日、時価会計に関するガイドラインを発表し、価格設定が困難な資産を評価する際、金融機関は著しく低い価格で評価する必要はないとの見解をあらためて示した。米財務会計審議会(FASB)が追加のガイダンスを今週中に公表する。
株式市場では、銀行のバランスシートにあるモーゲージ関連の損失が小さくなる可能性があるとみられることは、足元の株価には支援材料だが、市場のインフラである時価会計ルールの混乱は、長期的には投資家の信頼感を損ねそうだ、と受け止められた。
この問題は為替市場でも話題になった。前日にドルが急反発した一因として、米国会計基準の見直しが「金融機関のデレバレッジが招くパニック的な負のスパイラル進行に歯止めをかける」(外銀)可能性を指摘する声が出ている。
ただ、時価会計基準の見直しは決算から透明性が失われることにつながり、市場の疑念を増幅しかねないとする見方も少なくない。「現在のパニック状況を緩和する策としては有効かもしれないが、長期的には何も解決しない」(邦銀)と、本格的なドル底入れにはつながらないとする見方も出ている。
<不安材料が山積みのドル>
この日の為替市場では、ドル上昇が一服。ドル/円は仲値のドル不足で一時106.54円と、前日東京で付けた4カ月ぶり安値から3円超の反発となったが、正午過ぎには105円後半に反落した。「可決は(米金融不安という)出血を止めるのにどうしても必要。実際に可決となれば、ドルはもう少し反発するかもしれないが、その先まで見据えると、米景気は回復しないし財政赤字も拡大する、と不安材料が多い」(都銀)という。
ユーロ/円などクロス円も同様の値動き。ユーロはリスク回避の円買いが一服となる形で、前日海外の安値148.57円から150.58円まで2円の反発となったが、正午前には149円半ばに反落した。市場では、アジア時間のダウ先物がじり安で1万0780ドル付近と、前日終値の1万0850ドルを70ドル程度下回っていること、前日に大きく下落した日経平均株価の反発が1%程度にとどまっていることなどを気に掛ける声があった。
前日の取引でユーロ/ドルは日本時間朝方の1.44ドル半ばから、2週間半ぶり安値となる1.4008ドルまで450ポイント近く急落。1日の下げとしては1999年のユーロ導入来最大となった。
<円債は先物中心に下落、レポ市場変調の影響も>
円債市場は下落。特に国債先物の下げが目立った。中心限月12月限は1円15銭安の136円39銭と7月30日以来の水準に下落した。
前日の米国市場で米金融安定化法案が修正協議後に早期成立するとの期待から、質への逃避を巻き戻す動きが出たことを受け、売りが先行。2日の10年債入札に備えたヘッジ(損失回避)売りも出て、海外勢や国内ディーラーからの売りを巻き込み下げ幅を広げた。「ボラティリティが高い中で、米金融安定化法案への期待に加えて期初の益出し需要、10年債入札前のポジション調整などから、現物対比で割高な国債先物に調整が入った」(三菱UFJ証券・シニア債券ストラテジストの長谷川治美氏)という。
レポSC市場では、新発10年債(296回)がマイナス5%で取引されるなど10年ゾーンの需給がひっ迫感が出ていることから、「入札に備えたヘッジ(損失回避)行動は国債先物でやらざるを得ない状況」(国内証券)という。
(ロイター日本語ニュース 橋本 浩)