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ポイントを外している26年ぶりの貿易赤字を懸念するマスコミ報道(KlugView)
2008/09/26 (金) 18:38
輸出額から輸入額を差し引いた8月の貿易収支は、3240億円の赤字と、正月休みで輸出額が減る1月を除くと、1982年11月以来、約26年ぶりの赤字となっています。
日本の貿易収支が赤字になったのは、輸出額の伸びが横ばい(前年同月比0.3%増)にとどまった一方で、輸入額の伸びが大きく高まった(同比17.3%増)ためです。サウジアラビアからの原油や、オーストラリアからの石炭を中心に、輸入価格は前の年に比べ24%も上昇しており、価格高騰によって輸入品の数量が減少(同比5.5%減)しても、輸入額全体は大きく拡大してしまっています。
「日本=貿易黒字」の構図が長年続いたためか、日本の貿易収支が(26年ぶりに)赤字になったことを、比較的多くのマスコミが報じています。日本経済が短期間で世界第二位の地位に到達できたのも、貿易黒字によって富を蓄積したからだと、(なんとなくでしょうが)イメージする方も多いようですから、26年ぶりに日本の貿易収支が赤字になったことで、日本経済の先行きを悲観した方もいらっしゃるかもしれません。
ただ、一国の経済成長率を測る際に用いられる実質GDPでは、物価変動による影響を取り除いた付加価値を合計します。このため、今回のように輸入物価の上昇によって輸入額が増加し、その結果、貿易赤字になったとしても、貿易赤字が実質GDPを減らすわけではありません。あくまでラフな試算でしかありませんが、8月時点でも、日本の貿易収支は、物価変動を除くと(実質ベースで考えると)黒字を維持していると思われます。言い換えると、26年ぶりに貿易赤字になったからといって、それを理由に日本経済の先行きを悲観する必要はないといえます。
気をつけるべきことは、日本が26年ぶりに貿易赤字を記録したことよりも、輸出数量の伸びが鈍化している点です。先ほどご紹介したように輸出額の伸びは、前の年と比べ、ほぼ横ばいですが、これは輸出数量が3.1%減少したものの、輸出価格が3.5%上昇したことでカバーされたためです。
輸出数量の伸びが鈍化した大きな理由は、米国向けの輸出数量が大きく減少(前年同月比16.9%減)したためです。サブプライムローン問題を背景に、米国景気の減速感が強まっていることが理由の一つと思われます。
今のところ、米国向け輸出の減少をアジア向けなど他地域への輸出が補っているため、輸出数量全体の伸びは3%程度の減少ですんでいます。しかし、今後、米国以外の地域でも景気減速感が強まれば、日本の輸出数量は大きく減少し、日本の成長率も低下する可能性があります。我々が懸念するとすれば、26年ぶりに貿易赤字になったことよりも、世界経済の低迷で輸出数量が減少する可能性があることでしょう。
村田雅志(むらた・まさし)
●●●●●●●●●●今日のクイズ●●●●●●●●●●
今年8月の日本の貿易収支は赤字に!
これって、いつ以来のこと?
●●●●●●●●●●クイズの答え●●●●●●●●●●
1982年11月以来(約26年ぶり)
http://www.gci-klug.jp/klugview/2008/09/26/003692.php