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長期的にはドル安要因と思われる米政府提出の金融安定化法案(KlugView)
2008/09/24 (水) 18:50
リーマン・ブラザーズの破綻、米政府によるAIGの救済、米大手証券会社モルガンスタンレーやゴールドマンサックスの銀行持株会社化と、わずか10日あまりの間に、米金融界に大きなイベントが相次いで発表されました。ただ、こうしたイベントにもかかわらず、米国の不良債権問題が大きく改善されたわけではなく、結局、米政府は公的資金による不良債権の買取法案(金融安定化法案)を米議会に提示する事態となっています。
金融安定化法案では、米政府が、米国に本拠を置く銀行や機関から、住宅・商業用不動産ローンおよび関連資産を今後2年にわたり最大7000億ドル(約74億円)を買い取ることを可能にしています。また、米財務長官が市場安定のために必要と判断すれば、連邦準備理事会(FRB)議長に諮問のうえ、買い取る資産内容や買い取り元の条件を付けないことも可能としています。
この法案を議会にて承認してもらうため、バーナンキFRB議長と、ポールソン米財務長官は、9月23日、上院銀行住宅都市委員会の公聴会で公的資金による金融安定化法案について証言をしています。バーナンキ議長は、金融危機が長期化すれば「失業率の上昇と国内総生産(GDP)の縮小を招く」と指摘し、ポールソン長官は不良資産買い取りについて「経済の下支えに最も効果的だ」と証言しています。ただ、各種報道によると、米政府による不良債権の買い取りは、国民(納税者)に大きな負担(税金)を強いるものだとして、議員の多くが懸念を示しているようです。
米政府による不良債権の買い取りに対して、米議会の議員が国民負担を懸念するのが自然のように、市場関係者は今後のドルの行方が気になるのも自然のように思えます。あくまで個人的な推察でしかありませんが、米金融機関としては、米政府に不良債権を買い取ってもらうことで安定性が高まるのでしょうから、米政府による不良債権の買い取り策は、短期的にはドル高要因になるのでしょう。
ただ、米議会の議員が懸念するように、米政府による不良債権の買い取りは、米政府による債務を原資とし、最終的には米国民の負担(税金)を原資とすることは間違いありません。以前は、不良債権問題を解消する方法として、インフレ進展が有力と(個人的には)考えていましたが、公的救済の最終的な費用が、1兆8千億ドル(約190兆円)程度との試算も出ているくらい規模が大きいことを考えると、インフレだけで解決するのは無理があるように思えます。米政府による不良債権の買い取りは、短期的には米政府の債務拡大、長期的には米国家計の購買力の低下につながると考えたほうが無難なのでしょう。言い換えれば、米政府による不良債権の買い取りは、長期的にはドル安を大きく進めさせるものである、といえるのかもしれません。
村田雅志(むらた・まさし)
●●●●●●●●●●今日のクイズ●●●●●●●●●●
米政府が提出しようとしている金融安定化法案では、
米政府が住宅・商業用不動産ローンおよび関連資産を
今後2年にわたり最大どれだけ買い取ることを可能にする?
●●●●●●●●●●クイズの答え●●●●●●●●●●
7000億ドル(約74億円)
http://www.gci-klug.jp/klugview/2008/09/24/003673.php