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デフレの原理と消費税
デフレはなんらかの原因によって資金量が大幅に減少し資金量と生産量の比率が変わった結果生じたものです。日本の場合、金融資産や土地資産の価格が一挙に崩壊したため、その借金返しのために、資産の切り売りや損切りが行われ、それでも足りない分が市場(実体経済)から調達されました。その結果国民所得を形成している市場から資金が大幅に奪われたのです。そして生産量に対して大幅な消費不足が起こり、激しい企業競争から価格が下がり、付加価値に対して十分な貨幣的見返りができず、経済が循環的に縮少してしまったのです。この比率の変化がここ20年ばかり続いており、この比率を変えない限りデフレ状態は続くのです。
ここ5、6年のいざなぎを越えたと言われるような景気回復も実際はこの比率を維持したままデフレ下の
輸出分の成長であるに過ぎなかったのです。
横軸に生産量を取り、縦軸に資金量をとると、資金量と生産量が1対1の場合に、所得線を45度に描くものとする。資金量が大幅に減少し生産量との比率が変わるほどになった場合、所得線の角度は45度以下になる。生産量がそのままで資金量だけが急速に失われた結果、縦の資金量だけが少なくなり、角度が下降する。そしてその角度がさらに下降し貯蓄量以下のレベルになると、(すなわち借金量が貯蓄量を上回る状態になると)経済が循環的に縮小するデフレに入ることになる。(http://www.eonet.ne.jp/~hitokotonusi/dehuregennrianime1.html)
所得線の角度が下降する期間がデフレスパイラルという急速な経済縮小期間である。これは所得線上に沿って需要と供給の過不足により減少して行く経済現象ではありません。急速な資金の減少により、生産量がそのままで、所得線の角度が下降する経済現象なのです。
(このようなデフレは市場全体に及ぼすものであり、ある一つの生産物を対象にしているものではない。現在の経済理論は、市場全体のマクロ的なデフレやインフレも同じように、デフレ、インフレという言葉を用い、物価上昇や下降にもデフレ、インフレという言葉を使っている。また一つの商品に対するミクロ的なものにもデフレ、インフレという言葉を使い混乱している。ここで言うデフレ、インフレは、市場全体のものを言っており、いずれも生産量全体に対してあるいは資金量全体に対して比率が変わるほど違いが生じたものを指している。)
逆に市場全体のインフレは、生産量がそのままで急速に資金量が増え、比率が変わった物であることが分かります。角度が45度以上に上がったものがバブルのようなインフレ(市場全体の)です。(http://www.eonet.ne.jp/~hitokotonusi/index.htm)
所得線の角度の下降であるデフレスパイラルは、生産量がそのままで資金が減少するため、企業の生産能力が余るため、激しい資金の取り合い競争が勃発することになります。
その結果低価格競争が起こり、原価率が高い儲けの薄い経済になります。市場には低価格品が溢れ返ることになります。
このデフレ所得線の特徴は、生産量の割に資金が伸びないことです。逆にわずかな資金の減少が大きく生産量を減らします。この均衡を維持するには大きな生産量が必要であることがわかります。非常に不安定な下に落ちやすい所得線です。
また生産量をいくら増やしても収穫逓減の法則が支配し、完全雇用の労働量に到達しても、所得が上がりません。
さらにデフレでは、生産者が低価格競争から生産量を増やさざる負えないため常に生産物過多になりがちで原価が高い状態になります。
そのような状態面だけを見て、デフレは供給過剰であるという認識のもとに、生産手段を削減するような企業淘汰を断行すれば、生産量だけが大きく減少し、資金量と均衡することはありません。それが角度が45度以下に下がったデフレ線の特徴なのです。
このようにデフレでは生産量を増やしても所得線の角度が変わらないため、原価率の高い不安定な経済が続くことになります。そして資金量が減少すると大きく生産量が減少します。
それ故デフレから解消するためには所得線の角度が上昇することが大事であることがわかります。
この所得線の角度の上昇や下降はどのように起きるかは、デフレ・インフレの一般理論を参照してください。(http://www.eonet.ne.jp/~hitokotonusi/)
またこのような所得線の角度の上昇や下降は簡単に生じさせることもできます。それは生産量と資金量の比率を変えればいいだけだからです。
消費税は単なる間接税ではありません。市場全体に掛かるものです。それは市場から資金を確実に奪うものです。消費税の数%のアップは、資金量の何%か奪うものです。ということは、生産量と資金量の比率を変える代物であることがお分かりいただけると思います。
それ故消費税率を上げることは、すべての市場に供給される生産物の物価を上昇させることを意味しています。そして消費税分の資金が市場から奪われ、生産量と資金量の比率が変わってしまうのです。
このことからデフレが生じる原因と消費税を上げる事は同じ原理であることが分かります。
消費税の増税は、生産量と資金量の比率を変え、所得線の角度を下降させるものです。すなわちデフレスパイラルを起こす根源です。
特に所得線が45度以下になり貯蓄以下にある場合、さらに所得線を下げることは甚大な影響を経済に及ぼします。突然死するでしょう。
それは日本が消費税を3%から5%に上げた時の事を考えてください。山一証券、北海道拓銀の倒産、銀行の取り付け騒ぎにまで発展しました。(余談サブプライム問題もデフレの発端であることがわかります。)
逆に消費税を0から3%に上げた時、何も経済に影響がなかったように見えます。この違いは当時の経済状況の違いによります。1990年の初頭はバブルの最盛期であり、所得線の角度が45度を越えていたと思われるからです。いわゆるインフレ(バブルのような)であった。
それ故経済の過熱を抑える適度な政策になったのです。
政策担当者、経済学者、さらには新聞の論説記者は、この違いをはっきり認識しなければなりません。
このことによりデフレでは年金のため、福祉のためとか何のためであろうと消費税を上げてはいけないことが分かると思います。
現在原油価格の高騰による諸物価の上昇が続いています。これにより市場の資金が産油国やガソリン税により国に奪われています。資金の減少が大きく生産量を下げています。
これは消費税を上げているのと同じ効果をもっているため、日本経済は油断ができない状況にあります。
日本がインフレになることは今は露ほどもないのです。日本がインフレを克服しつつあるなどということはありません。単にデフレが深刻化しているだけなのです。
物価の上昇はより深くデフレを進行させ、国内の産業基盤をさらに脆弱にしています。あらゆる指標は最悪を指しつつあります。
しかし悲観的になる必要はないのです。希望は山のようにあるからです。
デフレの原理はデフレから逃れるすべも教えてくれています。
所得線を上昇させるには生産量と資金量の比率を変えればいいのです。消費税の減額は、生産量と資金量の比率を容易に変える魔法の杖です。
デフレの解消には、国民負担を減少させ、消費を増大させることが、必要であることを教えています。
間接税を大幅に軽減することによる物価の下降が国民生活に潤いを与えるのです。
デフレを解消する正しい方法の一つは消費税の減額であることが分かります。(http://www.eonet.ne.jp/~hitokotonusi/innhuregennrianime1.html)
また今年4月のガソリン税の大幅な低減がデフレ解消の正しい方法であったこともお分かりいただけるでしょう。
デフレにおいて消費税の増税は、劇薬であり、消費税の減税は特効薬なのです。
一言主。http://blog.so-net.ne.jp/siawaseninarou/
http://www.eonet.ne.jp/~hitokotonusi/