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株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu176.htm
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
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米政府は自国経済復活の起爆剤とすべく簡単に規制緩和し、金融機関
に自由度を与え、野放しにしてしまったのだ。金融立国は破綻した。
2008年9月22日 月曜日
◆リーマンの破綻はアメリカン・スタンダード終焉の第二章 9月19日 domanisakaiの日記
http://d.hatena.ne.jp/domanisakai/20080919/1221790143
世界の会計基準が国際(欧州)基準に統一されつつあるが、これをアメリカン・スタンダード終焉の第一章とすれば、今回のリーマン・ブラザースの破綻はその第二章である。
1980年代の米国経済は財政と貿易の双子の赤字に呻吟し、一方で製造業をはじめとする産業の空洞化が著しく進展した、そんな時代であった。こんな経済環境では無論金融機関もボロボロで、バンカメ等の世界に冠たる銀行も危機に瀕していた。今回の金融危機は何時か来た道なのである。
ではなぜ米国の金融機関は持ちこたえ復活したのであろうか? その最大要因はグローバル・スタンダードという名を借りたアメリカン・スタンダードの押し付けである。
たとえばBIS(国際決済銀行)の自己資本比率規制。失地回復を狙った米英連合が、自己資本比率の低いわが国金融機関をあからさまに狙いうちにした規制策であった。これだけが要因ではないがこの規制を受け入れることによって、わが世の春を謳歌していたわが国の金融機関は凋落の一途を辿ることとなった。
またこの間金融工学を駆使した金融商品の開発が米国を中心に進められ、わが国金融機関は大きく遅れをとることとなってしまった。サブプライム・ローンなどもその産物である。
ここでは金融工学を論ずる暇がないので詳しくは述べないが、これが金融分野にギャンブルを持ち込んだことは間違いない。金融工学は悪魔の知恵なのである。
かって米国には銀行の州際業務を禁止したマクファーデン法と、銀行の証券業務を禁止したグラス・スティーガル法があった。こうした法律が作られたのは、銀行は放っておくと際限なく自己肥大化して産業・国民を支配し、世の中に害毒を流すものであると認識したうえで、その弊害を予め除去することが目的であった。
米国においては第二次大戦以上に、1929年の恐慌が国民のトラウマになって来たという。日本人の平和憲法同様の思いがこの二つの法律には込められていた。米金融機関復活の裏にはこうした思いが反故にされたのだということを忘れてはならない。
金融機関は皆が欲しがり、何にでも化けえるカネという商品を扱っている。金融工学に限らず少し知恵を巡らせば金融機関が儲けることは簡単である。こうした金融の悪魔性を深く理解していた先人は悪魔性が鎌首をもたげないように、種々の手枷足枷を金融機関に課して来た。
カソリックやイスラム教が利子を長らく認めて来なかったのは、そうした厳しい現実を踏まえた背景があったからだ。それを米政府は自国経済復活の起爆剤とすべくいとも簡単に規制緩和し、金融機関に自由度を与え、野放しにしてしまったのだ。この罪の深さは百罰に値する。「地獄に落ちろ」である。
リーマンの破綻、BISの危機も起こるべくして起きた事態である。そうした意味では別段驚くべきことではないが、如何せん影響が大きすぎる。米国民がもっとも恐れる大恐慌がやって来ても少しもおかしくない。金融工学商品の商品化はパンドラの箱を開けてしまったということなのだ。
それもこれも欲呆け人間が多すぎるから。一生使えきれないほどのカネを手にしてまだ欲しいがる輩が存在し、それを社会がヒーローとして奉る雰囲気が存在する限り、今の事態を乗り越えてもまた同じことが生じるのであろう。人間の性とは言え、悲しい現実である。
それにして金融工学という悪魔の研究にノーベル賞を与えるというのは、どういうことであろうか? ノーベル賞はそもそも人々の安穏を期するために設けられた賞ではないのか? こうした研究に賞が与えられるのであればノーベル賞なんか要らない。
それと本件に関して、米政府が独占・寡占を事実上認めてしまっていることも大変罪が重い。これはわが国政府も同様である。
再度マクファーデン法とグラス・スティーガル法に戻ると、両法は全米に展開する巨大金融コングロマリットが出現することを恐れていたと言える。両法の消滅とともに、正しく米全土ならず世界に君臨する超巨大金融コングロマリットが生成され、そしてそれが自ら破綻してしまったのである。
BISの救済に邦貨で9兆円の血税が投入されると聞く。よく考えて頂きたい。BISがこんなに巨大企業でなければ、巨額の血税を費やすことはなかったであろうし、もっと小振りで破綻の影響が大きくなければ、潰してしまってもよかったはずである。
"Too Big To Fail”ということであれば金融機関はますます巨大化の道を選択し、モラル・ハザードの問題に直面することとなる。
「競争の結果として巨大企業の出現を認める」ということを百歩譲って認めたとしても、その競争自体が不公平であれば何をか況やである。米であればFTC、わが国であれば公取委、独占取締り部局の今こそ出番であると思うのだが…。
いずれにしても一連の米金融機関の破綻は、アメリカン・スタンダード終焉の第二章であることは間違いない。ピンボケの総裁選など早く手仕舞いして、為政者は真剣にこの国の行く末を熟慮・熟考し、明日への希望を切り拓いて欲しいものである。
◆任天堂の従業員はゴールドマン・サックスの従業員よりも稼ぐ―FT 9月18日 インサイド
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080917-00000007-isd-game
英紙Financial Timesは独自の試算で、任天堂の従業員一人当たりが稼ぎ出す利益は、世界一の投資銀行であるゴールドマン・サックス(GS)よりも高く、Googleを遥かに上回るというレポートを発表しました。任天堂の2009年3月期の純利益予想は4100億円で、それを従業員数で割ると一人当たり1億6000万円となります。GSは一人当たり約1億3000万円、Googleは約6700万円だそうです。
また、任天堂は利益額が大きいだけでなく、税引前株主資本利益率でもGSと並ぶ成績を上げていて、いかに資本的にも効率的な経営が行われているかが分かります。
一方で、GSの平均給与が約7000万円で、利益のほぼ半分を従業員に分配しているのに対して、任天堂の平均給与は約980万円となっています。日本企業の平均と比較すると良い数字ですが、こちらは投資銀行と事業会社の性格の違いが現れた数字になっています。
(私のコメント)
日本にゴールドマンサックスやグーグルよりも稼いでいる企業があるということですが、それは日本の任天堂です。従業員一人当たりの純益は任天堂が1億6000万円であり、ゴールドマンサックスが1億3000万円でグーグルが5700万円だそうです。つまり金融が製造業より儲かるというのは神話であり事実ではない。
日本のえらい学者先生やエコノミストは、日本は物作りを止めて金融立国や投資立国を目指せといいますが、それは間違っている。シンガポールやドバイのような都市国家ならば金融立国も分かりますが、これらの国は農業立国や製造立国にはなれないからだ。
1億3000万もの人口を擁する国家ならば、農業や製造業やサービス業などのオールラウンドの産業を育成していかなければ成り立たない。アメリカは国家戦略として製造業を棄てて金融立国を目指しましたが、その戦略は破綻しつつあるようだ。少なくとも投資銀行という企業形態は、とんでもない怪物となってアメリカ自身はもとより世界各国に大きな被害をもたらしている。
アメリカにはかつてマクファーデン法とグラス・スティーガル法というもので金融を規制していましたが、国家戦略としてそれを取り払ってしまった。その結果、巨大金融コングロマリッドが出来て、それが暴走してアメリカ経済を一気に破壊してしまった。
巨大金融コングロマリッドはアメリカ政権の一部となり世界を金融支配しようという野望を抱いていた。日本にもハゲタカファンドとして襲い掛かってきましたが、小泉・竹中一派はその尖兵となって日本を「構造改革」して行った。しかしそれは日本を改革したのではなくて、ワーキングプアや格差社会を作り出して野蛮な資本主義国家にしてしまった。
小泉・竹中一派は「75歳以上は早く死ね」法案を作って実施しようとしましたが、国民の怒りに触れて自民党は参院選協で大敗して野党に転落しようとしている。麻生新総理は「早く死ね」法案を作り直すと言っていますが、安倍内閣の時点で小泉改革の全面的見直しをすべきだったのだ。
小泉内閣の政策的なブレーンとしてモルガンスタンレーのフェルドマン氏がいますが、彼が竹中大臣を動かして日本をアメリカに都合のいい国に変えようとしてきた。郵政民営化もそうなのですが、日本を「構造改革」しなければ外国から投資がやって来ないと脅した。
アメリカの国家戦略としてゴールドマンやモルガンなどの投資銀行は中国に集中的に投資をして投資利益を上げてきた。お陰で日本の製造業は多くが中国に移転してしまって日本は空洞化してアメリカの後を追おうとしている。だからエコノミストなどは製造業は棄てて金融立国を目指せと言うのでしょうが、それは間違っている。
アメリカは明らかに間違った選択をしたのだ。アメリカは金融工学と称して多くの金融商品を作り出してきましたが、多く出来ればその中にはサブプライムローンや不動産証券化といった詐欺的商品も作られて、気がついたときは破局的被害をもたらす怪物にまで育ってしまった。
投資銀行という企業形態は日本には無いものですが、ベンチャーキャピタルと混同されやすい。リスクをとって投資をすることは似ていますが、日本の銀行にはそのような事は出来ない。だからエコノミスト達は日本の金融を遅れているとけなして来ましたが、投資銀行は企業を商品のように売買して、資産を食い尽くして転売してきた。
だからアメリカの一般企業は疲弊してしまって投資銀行が一人勝ちして来た。確かに投資銀行は儲かる時は儲かりますが、ゼロサムゲームの世界であり彼らの通った跡にはぺんぺん草も生えない荒野が残るのみだ。最後には石油や食料にまで投機を行なって世界を混乱させた。
アメリカ政府もリーマンブラザースやベアスターンズやメリルリンチを整理したように投資銀行を見直すようだ。投資銀行の役員達は何十億円もの報酬を貰い高額な退職金を貰って逃げ切るようだ。残された巨額な債務は日本にツケを回してくるようだ。それで日本政府の高官は日本の金でアメリカを救えと言っていますが、だから選挙で負けるのだ。
◆不良債権買い取り、米が日欧に制度導入要請 9月21日 読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20080921-OYT1T00610.htm
【ワシントン=矢田俊彦】米紙ワシントン・ポスト(電子版)は20日、米政府が日本やドイツ、イギリスなど主要国に対し、金融機関からの不良債権買い取り制度を導入するよう求めたと報じた。
世界的に拡大する金融危機に対応するには、米国一国の対応では不十分と判断、各国に足並みをそろえるよう協力を要請したと伝えている。
◆米ゴールドマンとモルガン・スタンレー、FRBの規制下に 9月22日 ロイター
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-33867720080922
米連邦準備理事会(FRB)は21日、証券大手ゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレーが銀行持ち株会社に移行することを認めた。
これに伴い両社はFRBの規制監督下に入る。金融市場の混乱緩和に向けた対策の一環。
FRBは、両社への資金供給を増やすため、両社のブローカーディーラー子会社に対し、連銀貸し出しやプライマリーディーラー向け連銀貸し出し(PDCF)と同じ条件で、資金を貸し出すことにも合意した。
証券大手メリルリンチのブローカーディーラー子会社に対する貸し出しにも、同じ担保条件を適用する。
ゴールドマンは同日、同社が4位の銀行持ち株会社になるとの声明を発表。FRBの規制下に入ると表明した。
貸出業務など、複数の戦略的業務の資産を「GSバンクUSA」に移す方針も示した。
GSバンクUSAの資産は1500億ドル以上となる見通しで、米銀上位10位の一角を占めることになる。
ゴールドマンは、買収や既存事業の拡大を通じて、預金ベースを拡大する方針も示した。
(私のコメント)
「株式日記」ではアメリカのハゲタカファンドを批判してきましたが、アメリカ政府もようやくハゲタカファンドの整理に乗り出した。しかしマスコミの経済記者たちのゴールドマンやモルガンなどの投資銀行のアナリストを神のごとく崇拝して、テレビなどに登場してきましたが、ホリエモンや村上ファンドと同じ連中なのだ。やはり詐欺師はFRBの規制下に入るようですが、アメリカ政府自身も投資銀行は規制しないとまずいと考えてきたのだ。
任天堂とゴールドマンサックスとの比較は面白いのですが、やはり物作りこそが一番儲かるのであり、金融立国は間違った政策だ。金融はゼロサムゲームだからいつかは破綻するが、製造業は価値の創造であり国そのものを豊かにして行く。しかし任天堂はハードとソフトを組み合わせた商品を作っているから儲かるのであり、日用品などは中国で作ったほうがいい。つまり日本はソフトを含んだ物作り大国になるべきなのだ。