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ドルの基軸通貨からの退位は、時期尚早である。<戦後の米ドル経済小史>
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投稿者 Ddog 日時 2008 年 9 月 21 日 23:07:39: ZR5JcjFY1l.PQ
 

バーナンキ・ポールソンコンビは日本のバブル崩壊の教訓を100%上手く利用しているとは言い切れないが、日本経済を破壊した先例を十分学習していることは間違いない。金融システムに不調の気配を発見し次第、躊躇せず対策を繰り出している。迅速な対応と対策がかえって不安に思う人達も大勢存在する。

TORA殿が毎日更新している株式日記の下記URL記事をまずは読んでいただきたい。
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/e/a74eb604093af9b2fbf4ae34755381d9
{{{----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
日本は目に見えない経済植民地帝国としてアメリカや中国を植民地にしつつあるのであり、今回のアメリカの経済破綻と中国のバブル崩壊で日本の経済支配力は高まり、アメリカと中国を合わせれば世界一の経済圏を建設する事が可能になるであろう。もちろんその時は円が世界の基軸通貨になる事になる。
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心情的にTORA殿の意見には賛成だが、日本円は基軸通貨になりえないし、当面米ドルから別な通貨へ基軸通貨からの退位は無い。

WWU終結以降1945〜1973年WWUで本土が戦災に遭わずインフラが無傷であった米国が圧倒的に欧州日本アジアに圧倒的な優位を誇った。戦後米ソは暗黙の了解で世界を分割した。
第二次世界大戦で疲弊・混乱した世界経済を安定化させる目的があった米国は自陣営の西欧と日本の復興を助け、米国製品の買い手を増やす政策をとった。国際通貨基金(IMF)、国際復興開発銀行(IBRD)の設立を決定し、国際的協力による通貨価値の安定、貿易振興、開発途上国の開発を行い、自陣営の経済基盤を強化した。自由で多角的な世界貿易体制をつくるため為替相場の安定が計られた。
そのため、金1オンスを35USドルとさだめ、そのドルに対し各国通貨の交換比率をさだめた。(金本位制) この固定相場制のもとで、日本円は1ドル=360円に固定された。

いわゆる、「ブレトンウッズ体制」が確立したことにより正式にグレートブリテンポンドから、USドルが基軸通貨の覇権が移った。一旦基軸通貨になると、代替する後釜が出現しなければ退位しない。19世紀末アメリカが産業力で世界一となってから、実際ポンドから米ドルへ基軸通貨への移行したのは、50年後第二次大戦終了後である。基軸通貨は覇権の遅行指標である。

ブレトンウッズ体制は、ベトナム戦争の戦費の負担から、1960年代末から綻びだした。1971年8月15日1971年8月15日ニクソン大統領が、ドルと金の交換停止を宣言(ニクソンショック)、1973年には、変動相場制に移行し、ブレトン・ウッズ体制は崩壊した。ブレトンウッズ体制は、結果的に自ら経済的優位を損なう一つの要因となった。

圧倒的な米国経済はその地位を通貨であるドルを不兌換紙幣としても、ドルに代わる通貨は無く、不兌換紙幣となっても基軸通貨の地位を保つことに成功した。不兌換紙幣となった米ドルに国際的な決済機能を付加強化し、為替を固定相場制から変動相場制に移行し、国際金融市場を整えることにより、基軸通貨の地位を保つアイデアが成功したのである。
日本と欧州の経済復興は、工業生産の収益性の低下をもたらし、日本などの低賃金国への米国の工場や産業の移動が起こった。米国内の失業率の上昇と資本大国(日米欧)による雇用喪失の負担の押し付け合いとなったが、米国は工業生産から自ら身を引き、投資・投機資金への資金フローの変化を興して、工業生産国から、情報金融サービス業を興し、雇用をサービス業で吸収しつつ、情報金融業へ資本を移動した。日本や欧州諸国へ工業生産国の地位を禅譲したのである。

米国のこの判断は、日本及び欧州、アジア諸国の経済発展にどれだけの恩恵を与えたか計り知れない。ネット上有名無名ブロガーや大小マスコミを含めこのことに言及している者は少ない。米国は、1970年代初頭に自由貿易を選択せず、雇用確保、産業保護政策を選択することは可能であった。軍事的見地を捨てて、経済的視点で米国経済を立て直そうとしたとき、ベトナム撤退とともに、自由貿易を捨てて国内産業を立て直す選択肢もあった。
既に、60年代多国籍企業として、米系企業は世界各国に工場や営業拠点を設けていたにせよ、米国がモンロー主義に戻らなかったことが、日本や欧州アジア諸国に多大な恩恵をもたらしたことは間違いない。

私は消極的な親米保守の立場を言い続けています。単細胞に的に反米を叫ぶ無思慮な連中は、経済史の欠片の知識があれば多少考え方も違ってきたろうと思います。昭和天皇の御意思が「英米諸国との友好善隣」であるご遺訓を承知しているかも疑問です。イラク戦争反対の義憤は理解できるが、反米を叫び保守の立場を取ろうとするのは、帝国陸軍皇統派となんら変わらない。

話を戻すと、米国は経済とドル衰退を食い止める為に、西欧日本を衛星国から友好国(パートナー)へ格上げをした。サミット・G5後にG7として待遇し、米国への資金流入策への政策転換をとった。1980年レーガンが大統領となりレーガノミックスを実践し、ドル高政策をとったが、逆に米国内輸出工業産業の淘汰を早める結果となり、日本経済黄金期の魁となることになりました。

1985年のプラザ合意は、レーガノミックスの破綻から日本経済をターゲットとした。円高に関しては、日本は見事に乗り切ったが、バブルの発生と崩壊を経験することとなりました。結果として日本から工場がアジアに分散されることとなり、今日BRICS諸国の経済テイクオフの始まりでもありました。

グローバル化されたドルがドル本位体制を西側先進国に浸透しドル体制を強化していった。皮肉なことに、いずれも米ドルは切り下げる度に、世界通貨としての地位を固めてきた。ドルを防衛し西側経済の活性化は、ソ連との冷戦に勝利することとなった。
そして今回の米国の金融危機は、さらに産油国、新興国の資本を取り込み、さらにドル体制が強固になる可能性を考えるべきである。

従来1600年の東インド会社設立以降の西欧型資本主義社会はインフレをテコに実物経済を成長させてきたが、グローバル化が進展した現代では、生産設備を先進国から低コストで割安なBRIDs諸国へ移し実物投資収益を稼ぎ、先進国ではキャピタルゲインから収益を求めるようになった。

株式時価総額+債権発行総額+預貯金を合計した世界の金融資産は2006年末152兆ドル(1ドル=108円:1京6400兆円)世界GDP48兆ドルの3.2倍である。1990年は金融資産対GDPの比は1.7倍であった。グローバル化した経済下先進国の消費ブームとBRICsへの投資ブームは表裏一体化しながら世界経済の高成長をもたらした結果である。

当面世界は、この成長モデルの一旦廃棄せざるを得ないが、やがて危機を乗り越え、金融システムが再構築されるはずである。そして新たな成長モデルを構築する場合、残存した米国金融機関を中心に、ドル建のシステムが再び構築されるであろう確率が高いと思われる。

近代文明が滅びない限り、金融システムはけして消滅しない。

なぜ、各国中央銀行はドル防衛に合意するのか?中国産油国が米金融機関にリスク覚悟で出資をするか?気分で反米を叫ぶだけの間抜なブロガーには理解できないと思う。

一旦基軸通貨になると、代替する後釜が出現しなければ退位しない。19世紀末アメリカが産業力で世界一となってから、実際ポンドから米ドルへ基軸通貨への移行したのは、50年後第二次大戦終了後である。基軸通貨は覇権の遅行指標である。まだ、ユーロでは覇権に程遠くい。

人民元やロシアのルーブルも軍事的見地から言えば、米国米ドルに挑戦可能な通貨ではあるが、今回の世界同時株安でとても基軸通貨になりえる状態ではないことは白日の下に曝されている。

円がドルに替わり基軸通貨の挑戦者となりえなかったのには、当然のことながら軍事的覇権を挑戦する意識を欠落していたことに他ならない。しかし、日本国民が世界経済・政治・環境問題を持ち、覚醒するような奇跡があれば、憲法を改正し、日米軍事同盟を締結しつつ、核兵器を保有(現状は持つべきではない)できるのであれば、ユーロでなく、円が基軸通貨への挑戦者に名乗りを上げることもまったく不可能ではない。

07年9月末世界の公的外貨準備中ドルは65%を占める。急激に伸ばしたと言われるユーロは依然25%に留まる。(その多くはユーロ圏内での外貨準備にすぎない。)追加流動性の多くはドル準備に向かう。世界の為替取引は1日3兆ドルを超えるがその90%がドルとのペア。ユーロとのペア40%弱を凌ぐ(ドルユーロペアの取引が全体の30%弱?)ユーロは欧州の地域通貨の色彩が濃い。また、多くの国の通貨が依然ドルにペッグしている。米国の大きな経済規模や自由で底の深い金融市場、米金融機関の活況に支えているばかりではなく、卓越した安全保障力によるものである。

06年経常収支赤字8000億ドルだが、18000億ドルの資本が流入し、1兆ドルの海外投資を可能としている。こうした資金循環は米国の金融資本市場が中核となって生み出されている。基軸通貨国の巨大な赤字が世界に豊富な国際流動性を生み出していることが大きい。

アジアや中東の黒字国は国内に投資機会が少なく投資運用に米国を選択するのは合理的考えだ。中国は為替操作で黒字を作り出しているが、管理為替制の為米国に資金が還流しやすい。中国に限らず日本東アジア中東諸国から米国に資金が還流することにより、米国の利子率の低下をもたらし、米国の成長による世界は高度成長の好循環に支えられてた。

2008年に入り、サブプライムより広範囲の金融機関やシステムに危機が広がった。
しかし、私は尚、まだ楽観的である。

今回の金融危機では、ドルの基軸通貨の覇権の終焉は無く、資金の好循環の回復力は強いと考えた方がよい。@欧米市中銀行は協力して断固たる決意で、市中に流動性を供給し、世界恐慌阻止に連携して動いている。A財務省、マーケットともに、主要金融機関の損失を早期に損失を表面化させ、破綻、合併、産油国等の出資等、金融システムの迅速な再生化を実行している。B原油価格の高騰が止まり、スタグフレーションの回避の目処がつき、デフレ対策景気刺激策へ全力を尽くせる。米国は年300万人ペースで人口が増加し生産性の伸びも高く世界の資金を惹きつける魅力がある。C世界の余裕資金には米国の大量金融商品を持つ資本市場以外行き場が無い。D金融危機の打開はドル取引を通じて行われる。EバーナンキFRB議長・ポールソン財務長官(任期09年1月20日まで)のマーケットの信任は厚いF依然正規軍事力において米軍の地位を脅かす軍隊は存在していない。

また、世界に展開する好業績な米企業の対外資産残高が年々増加させているので、ドル安になると、ドルベースでの米国の対外資産価値は高まり、外国の在米資産価値はドルベースで変化が無いので、ドルベースの対外純債務は減少する構造となる。2006年末の米経常赤字累積5兆7000億ドルだが、対外純債務は2兆5000億ドルにとどまる。

対外純債務の方が大きいから米国の投資収益は赤字かと思いきや、実際は366億ドル受取り超過である!

以上のことから、ドルの基軸通貨の終焉は時期尚早であることがご理解いただけたかと思う。

【Ddogのプログレッシブな日々】
http://blogs.yahoo.co.jp/ddogs38/17219232.html
 

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