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新興国の宴も終わり? BRICsなどで株価が急落 (FINANCIAL TIMES)
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投稿者 ダイナモ 日時 2008 年 9 月 20 日 22:13:47: mY9T/8MdR98ug
 

http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20080912/170431/?P=1

BRICsをはじめとした世界の新興国で株式相場が急落している。
欧米の信用危機や景気減速の影響がついに新興国にも及んだ格好だ。
ただ、長期的な成長力は強く、株価の調整も時間の問題との声も上がる。

 モスクワ市街のバーは今も、世界が平穏無事であるかのように活気づいている。リッツ・カールトン・ホテルの屋上、赤の広場を見下ろすガラス張りのラウンジでは、ダークスーツを着た富豪たちが1杯50ドルもするカクテルを楽しんでいる。

 グルジアに対する軍事介入で国際関係が悪化、外国人投資家がロシアから逃避し始めたのに、彼らは一向にお構いなしといった様子だ。同ホテル幹部のセルゲイ・ログヴィノフ氏は言う。「ここ数日、とても繁盛しています。モスクワに住む裕福なグルジア人もよく見えますよ」。

 だが、グルジア侵攻以降、ロシアの株式相場は15%急落し、月間ベースでほぼ8年ぶりの下落率を記録。外貨準備は160億ドル減り、1998年の経済危機以来の減少幅となった。

 景況感が悪化している新興市場はロシアだけではない。パキスタンなどでは政治リスクが高まっており、工業化が進む世界各国でインフレが経済成長を鈍らせている。近年のコモディティー(商品)相場高騰も、ここへきて大きな陰りを見せている。

 5年間にわたり活況を呈してきた新興国経済も宴が終わろうとしているのではないか──。今、そんな見方が広がっている。

欧米の病がついに感染

 昨年、MSCI新興国株価指数*1は信用危機にもかかわらず年間40%近く上昇した。多くの投資家はこれを見て、発展途上国は西側諸国の問題から切り離されていると考えるようになった。しかし今、新興市場はよそで何が起きても発展し続けるという期待、いわゆるデカップリング理論は、どうやら誤りであることが分かった。

 年が明けてから新興国の株式市場は急落、特に中国では上海総合指数が52%も下げた。今年1月以降、ロシア株は27%、インド株は37%下落、ブラジル株も5%下げている。

 ほぼすべての市場で投資家がカネを引き揚げ始めると、西側の金融市場の病がついに新興国に感染したかに見えた。多くの専門家は、欧米諸国の景気悪化が続き、新興国の経済成長にさらなる重しになると予想している。

 では、残る危険性は何なのか。そして、一部の投資家やアナリストが主張し始めたように、新興国のファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)は依然強く、過去数カ月の相場急落を経た今、株価バリュエーションは再び魅力を増してきたのだろうか。

 言うまでもなく、西側諸国の景気減速に対する恐怖心と裏腹に、新興大国の経済過熱に対する懸念がある。新興国では一様にインフレが高騰している。英大手投資銀行HSBCの経済チームによると、2009年の中国の平均インフレ率は今年の4.8%から6.8%に上昇、ブラジルは3.6%から5.3%へ、インドは6.4%から8.4%、ロシアは9.0%から14.6%に跳ね上がる見通しだ。

 インフレ高騰の原因は、依然歴史的な水準にあるコモディティー高だけでなく、生産能力の限界によるところも大きい。

 HSBCで新興市場調査部門を率いるフィリップ・プール氏は「これまで成長を支える投資が十分されなかったから、多くの新興国で生産能力が限界に達し、生産コストを押し上げている。これがインフレ圧力になっている」と語り、「BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)の中で余剰能力があるのは中国だけだ」と指摘する。

 コモディティーに関しては、相場が今後さらに大きく下落するようなら、ブラジル、ロシアといった天然資源産出国で歳入が減るだろう。

*1=米モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナルが算出している新興国26市場の株価動向を示す代表的な指数

“新興市場”にも様々

 こうしたコモディティー要因は“新興市場”という用語にどれほど意味があるのかという疑念も呼び覚ます。これはインドネシアとチリほど遠く懸け離れた国など、世界150カ国以上を総称する言葉で、天然資源が豊富な国もそうでない国も含まれる。

 この事実により、今年、資源産出国の株式市場がインドなどの資源輸入国と比べ相対的に健闘した理由も説明できる。資源国ではインフレのせいで経済に過熱感が出ていても、歴史的な高値にある石油、食品価格の恩恵の方が大きいと考えられたからだ。

 しかし、多くのアナリストが見るところ、これらの国の経済はほかの要因にも支えられてきた。1つは、各国の公的財政状態と対外債務の規模、そして金融、財政政策の在り方が、1990年代の新興市場危機以降、劇的に改善したことだ。

 こうした点でBRICs諸国はうまくやった。各国の銀行は外国借り入れに依存しなかったため、西側の信用危機の影響を限定できた。ドイツ銀行によれば、自国のGDP(国内総生産)に対する中国の銀行の外国債務比率はたった2%。インドでは4%、ブラジル、ロシアでも13%にとどまる。また、これらの国はインフレの脅威に対して、早い段階で利上げに踏み切った。

 HSBCの予想では、今年、中国の外貨準備高(金を除く)は1兆9000億ドルに達し、インドは3300億ドル、ブラジルは2050億ドルに達する見通しだ。グルジアとの紛争を抱えるロシアでさえ、年末までに外貨準備高が5000億ドルを超えると見られている。一部のアナリストが言うように、たとえ世界の経済環境と金融市場が一段と悪化しても、これらの国は銀行に十分なカネを持っているわけだ。

 そのうえ、ブラジルとロシアには地下に眠る資産がある。ロシアは膨大に埋蔵された石油を掘削し、毎日10億ドル以上のカネを稼ぐ。ブラジルはトウモロコシ、小麦、砂糖、石油の大手産出国だ。中南米やアフリカでも多くの国が豊富な天然資源を持ち、政治的、経済的な安定の兆しが見られる。そして無論、中東諸国は膨大な石油資産を抱えている。

 コモディティーを巡っては意見が大きく割れる。既にピークから20%以上下げたコモディティー価格がさらに大きく落ち込むようなら、インフレ圧力は和らぐが、同時に輸出国の国庫は打撃を受けるからだ。もっとも、石油価格が1バレル=100ドルであっても、ロシアなどの産油国には十分な収入になるとアナリストは指摘する。

 BRICsにとってもう1つのプラス要因はデカップリング理論の最大の根拠、つまり、先進国への輸出依存度が低下しつつあるということだ。 BRICs諸国はかつてないほどほかの新興国への輸出を増やしており、自国経済は欧米の消費に以前ほど左右されず、内需に支えられるようになった。各国は大規模なインフラ投資も行っている。

 ロシアの場合、輸出全体に占める対米輸出の割合はたった5%だ。もっともブラジルは14%、インドは15%、中国は20%近くが対米輸出で、第2四半期に予想外に健闘した米経済が再び弱含めば影響は避けられない。

カザフやメキシコは厳しい局面

 ドル高もBRICsなどの新興国にプラスになる。中東、アジア諸国でドルペッグ制を採用し、ドル安のせいで余計なインフレ圧力にさらされてきた国は特に大きな恩恵を受けるだろう。

 しかし一方で、金融情勢の悪化とインフレ高騰で一段と強い圧力にさらされる新興国もある。GDP比71.4%の対外債務を抱えるカザフスタンは恐らく、宴を少々楽しみすぎた国の1つだ。同国は借り入れに大きく依存し、国内の不動産産業を拡大してきたからだ。輸出の85%を米国に依存するメキシコは米経済の減速の影響をもろに受ける。また、中東欧諸国の多くは輸出をユーロ圏に依存しているうえ、大きな経常赤字を抱えている。

 つまり、一口に新興国と言っても、各国の国内経済や政治情勢によって展望は大きく異なるということだ。ロシアや東欧に投資している投資家は今後 2〜3カ月は危うい局面を迎えるが、「要するに、これはロシア市場にとって短期的な問題であり、根本的には何も変わっていない」とクレディ・スイスのロシアストラテジスト、ウラジーミル・サヴォフ氏は言う。

 だが、大半の新興市場にとっても、長期展望は最近の相場が示唆するよりかなり明るいものになりそうだ。

 新興国は経済成長の点で、引き続き西側諸国を上回り、先進国から途上国への富の移転が続くと考える理由はいくつもある。RBCキャピタル・マーケッツのナイジェル・レンデル氏は「何カ月ではなく何年という時間軸で見れば、新興国は健全だ。各国は西側諸国、特に米国とユーロ圏より強い成長を続ける」と言う。

株価は割安、止まらぬ富の移転

 新興国は2000年以降、世界のGDP成長に対する貢献度を高めてきた。国際通貨基金(IMF)の試算によれば、新興諸国は今年、世界の成長の 80%以上を担う見通しだ(2000年には50%足らずだった)。新興国のGDPは合計18兆1000億ドルに達し、世界の30%を占める。2013年までにその額が28兆8500億ドルに達し、世界シェアは35%に上昇するとIMFは見ている。

 では、新興国の株式市場はどうか。MSCIの株価指数によると、新興国の株式市場に対する楽観論が崩れた昨年、各国のPER(株価収益率)は先進国よりも高かった。ところが、その流れが反転し、今再び、新興国の株は先進国よりかなり割安になった。これで新興国の長期的な成長を信じるバーゲンハンターが現れるかもしれない。

 新興国全体を見渡しても、BRICsが何らかの参考になり、成長こそが経済の健全性の指標となるのであれば、各国は今の難局を乗り切れると専門家は見ている。

 アナリストのコンセンサス予想によれば、中国のGDP成長率はピークだった2007年の11.9%から来年は9.2%に鈍化する。ブラジルは 2007年の5.4%から来年3.8%へ、ロシアは2007年の8.1%から7%へ、インドは昨年つけたピークの9%から来年7.7%へ減速する見通しだ。

 こうした経済成長率はまだ比較的強く、西側諸国の成長を上回るのは間違いない。つまり、新興国経済はソフトランディングでき、長期的に明るい展望を見込めるということだ。

 「2015年までには、今の新興市場が世界経済に占める割合がずっと大きくなっている」と話すのはドイツ銀行で新興市場チームを率いるダリンク・アリブルヌ氏。「何年も経って今を振り返れば、2005年から2015年は間違いなく、先進国から新興国への富の移転が目覚ましい10年間だったということになる。この先数年間、経済力の東方シフトは続くだろう」。

David Oakley and Rachel Morarjee
(FINANCIAL TIMES,(C) 2008 Aug. 29,The Financial Times Limited)
 


 

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