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成長指向の企業にとって大いなるチャンスとなるPBRの低下(KlugView)
2008/09/19 (金) 10:53
東京証券取引所第一部(東証一部)の連結ベースPBR(株価純資産倍率)が、9月18日に1.22倍と、2003年4月以来、5年5カ月ぶりの水準に低下しました。PBRとは、企業の解散価値(企業が保有する全資産を時価で売却した時に得られる金額)に対する時価総額(株価と株式発行枚数をかけるて算出される金額)の割合を示したものです。
PBRが低ければ低いほど、企業の時価総額は解散価値に近づくことになります。PBRが1倍を割ることは、企業の時価総額は解散価値を意味しますので、PBR1倍割れの企業の場合、理論的には、すぐさま企業を清算(全資産を売却)し、得られた資金を株主に分配したほうが、株主は儲かることになります。18日終値時点では、日経平均株価採用銘柄のうち65銘柄(全体の約3割)が、PBR1倍割れとなっています。
上場企業の3割において、すぐさま企業を解散したほうが株主の利益になるという状況は、常識的に考えれば異常といえ、投資家はPBR1倍割れの銘柄を買い進めるのが得策のように思われます。しかし、現在のように、米国発の金融不安が世界的に広がってしまうと、比較的リスクが高いといわれる株式を売却し、現預金や国債など安全資産に資金を逃避させる動きが強まるのも理解できなくはありません。また、世界経済の減速感が強まっているのであれば、日本企業の将来業績に対して懸念する投資家が増えるのも自然といえ、結果として株価が下落するのも不思議ではないのかもしれません。
ただ、今回の株安の場合、これまで日本株を買い進めた投資ファンドといった投機筋が、世界の金融不安(信用収縮)によって株式市場から退出した要因が大きく、(先行きの不透明感は強いものの)PBRが5年5カ月ぶりの低水準になるほど、日本企業のファンダメンタルズがに大きな変化が生じたわけではありません。今と同じPBR水準だった2003年4月は、日本経済のデフレが大きく進行し、金融機関の不良債権処理の加速で企業の淘汰が大きく進んだ激動の時でした。現在の日本経済は、当時に比べれば安定性は大きく増しており、日本企業の財務体質も大きく改善しています。
いいかえれば、現在において、東証一部のPBRが1.22倍まで低下したということは、それだけ日本企業の割安感が強まったともいえ、資金がある企業や投資家にとっては、日本企業を手に入れるチャンスが増えてきた、と考えることもできます。実際、M&A(買収・合併)で企業価値を急速に高めてきた日本電産は、最近(9月16日)、鉄道車両用部品を手掛ける東洋電機製造に対し、株式公開買い付け(TOB)によって発行済み株式の過半数の取得を目指す買収を提案したと発表しています。買付予定価格は1株635円と、9月12日までの1カ月間の終値平均株価(316円)の約2倍となっています。
日本電産は、企業買収にあたって資産査定を厳しくし、不用意に買収価格を高く提示しないことで知られています。その日本電産が、東洋電機製造の1株あたり買付予定価格として、過去1カ月の株価の2倍の水準を提示したことは、それだけ現在の株価が割安であることを意味しているといえます。今後は、、日本電産のように、日本企業の割安感が強まったというチャンスを自社に取り込む企業が、日本企業の成長を支えていくのかもしれません。
村田雅志(むらた・まさし)
●●●●●●●●●●今日のクイズ●●●●●●●●●●
東京証券取引所第一部(東証一部)の
連結ベースPBR(株価純資産倍率)が
9月18日に1.22倍!
これっていつ以来のこと?
●●●●●●●●●●クイズの答え●●●●●●●●●●
2003年4月以来(5年5カ月ぶり)
http://www.gci-klug.jp/klugview/2008/09/19/003653.php