★阿修羅♪ > 国家破産58 > 292.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
AIG、深刻な資金繰り悪化に直面
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/media/djCJO8097.html
ニューヨーク(ウォール・ストリート・ジャーナル)米保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ(NYSE:AIG)は15日夜、深刻な資金繰りの悪化に直面した。格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスとスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)による同日の格下げ発表を受け、AIGは支払い義務を果たすために145億ドルを調達する必要に迫られた。
ムーディーズは、米住宅市場の低迷が長引き、AIGの流動性や自己資本に影響が及んでいるとして、AIGのシニア無担保債の格付けを「Aa3」から「A2」に引き下げた。
S&Pは、AIGの長期カウンターパーティ格付けを「AA-」から「A-」に、短期カウンターパーティ格付けを「A-1+」から「A-2」に、それぞれ引き下げた。また同社のほとんどの保険子会社のカウンターパーティ格付けや財務力格付けを「AA+」から「A+」に引き下げた。これらすべては、さらに格下げの可能性があるとして引き続きクレジットウオッチに掲載されている。
住宅価格の下落をきっかけにウォール街全体を巻き込んだ金融危機は、世界最大手の保険会社であるAIGにまで及んだ。金融業界の混乱がさらに深刻化する恐れが高まるとともに、危機を沈静化するために米政府は極めて困難なかじ取りを迫られている。AIG株の15日終値は、前週末比7.38ドル(60.79%)安の4.76ドルとなった。その後の時間外取引ではやや値を戻し、4.81ドルで取引された。
AIGは世界の企業のリスクに対する保険を扱っており、同社が経営破たんすれば世界の金融システムを揺るがすことになる。
AIGはこうした危機を回避するために、最大750億ドルの調達を急いでいる。また事情に詳しい筋によると、AIGは17日までに新たな資金を確保しなければ、連邦破産法の適用を申請する以外に選択肢はなくなるかもしれないという。
AIGに近い筋は「事態は急を要する」と語った。
多くの市場参加者は、政府主導の救済策を期待している。だが今のところ、政府は救済に乗り出すことには消極的で、民間企業による解決に向けた仲立ちをしようとしている。
米連邦準備制度理事会(FRB)は15日、ニューヨーク連銀のオフィスに、AIG幹部、銀行関係者、州・連邦政府高官を集め、AIGの今後について話し合う会議を開いた。
関係筋によると、米ゴールドマン・サックス・グループ(NYSE:GS)とJPモルガン・チェース(NYSE:JPM)はFRBの強い働きかけにより、AIG支援のために700億-750億ドルの融資枠を設定するという。AIGがそのような多額の資金を借り入れようとしていることが伝えられ、15日の米株式市場は引け際、下落に拍車がかかった。
AIGはこの週末、約400億ドルの調達計画をまとめようと努力したものの実現しなかったことから、政府の支援に頼ろうとした。危機の深刻化で同社はさらに多額の資金調達が必要になり、同社の危うい状況が浮き彫りになった。同社は、致命傷となる格下げを回避するために、そうした多額の資金を必要としている。
AIGが8月に証券取引委員会(SEC)に提出した書類によると、ムーディーズとS&Pが格下げすれば、AIGは取引相手から追加担保として145億ドルを差し出すよう要求される可能性がある。この資金をいつまでに調達する必要があるのかははっきりしない。また、格下げを根拠にAIGまたはその取引相手が契約満了前に解約を求める可能性があり、そうなれば支払額は最大約54億ドルになる見通しだという。
15日夜の時点でAIGにとって明るい要素の1つは、同社のエクスポージャーの大部分がクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)関連だということだった。CDSは、企業の債券のデフォルト(債務不履行)に備えた保険のような契約。AIGが引き受けているCDSの契約相手にはウォール街の各社が含まれる。それらの企業は、より広範な混乱を引き起こさないためにも、追加担保を直ちに差し出すよう要求することはないと考えられる。追加担保を差し出す場合は、現金または国債や地方債など流動性の高い資産を用いるとみられる。
ただ、AIGの取引相手の多くは欧州やアジアを本拠としており、AIG支援への関心があまり高くない可能性がある。CDS市場の規模は極めて大きく、約62兆ドル相当の債券を対象としている。この市場は規制が緩く、一部の市場参加者は、AIGのようなCDS大手がデフォルトを起こせば市場は混乱状態に陥ると懸念している。