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苦しい立場に追い込まれるジャスダックTOB交渉での日本証券業協会(KlugView)
2008/09/12 (金) 11:20
ジャスダック市場の人気低迷が続いています。ジャスダック市場に上場する939銘柄のうち、9月11日に売買が成立したのは655銘柄と、全体の69.8%となっています。これは2003年8月8日以来、約5年ぶりの低い水準です。
11日のジャスダック市場における売買を代金別にみると、売買代金が1億円以上の銘柄数は、わずか16銘柄(全体の1.7%)しかない一方で、値がつかない銘柄と売買代金が100万円未満の銘柄数の合計は、ジャスダック市場に上場する銘柄数全体(939銘柄)の64.7%(608銘柄)となっています。仮に値がついたとしても、売買代金は、非常に小さい規模である場合が多いことになります。
売買の低迷がここまでひどくなると、プロの投資家(機関投資家)もジャスダック市場での取引に手を出しにくくなります。一般に、機関投資家の取引代金は、比較的、大きいため、売買に際しては、保有する株式を迅速に売却できるかどうかに注意を払います。このため、ジャスダック市場のように、売買が成立する銘柄数が全体の7割弱しかない市場では、機関投資家は取引を敬遠するのは自然のことといえます。そして、結果として、ジャスダック市場の売買代金はさらに低下する、という悪循環が強まります。
ジャスダック市場の売買が低迷している理由は、多々指摘されています。昨年(2007年)あたりは、ジャスダック市場(ひいては新興市場)に上場する企業の内部管理体制の甘さが指摘されていました。上場後、すぐさま業績を下方修正したり、コンプライアンス上の不備で行政指導が入るといった不祥事が新興企業に多発し、ジャスダック市場を始めとする新興市場で大きく株価が下落しました。
ただ、最近では、(ようやく)新興企業の内部管理体制も強化され、一時期ほど新興企業の不祥事を目にすることも少なくなりました。ジャスダック市場での取引低迷の理由を、新興企業の内部管理体制の不備だけに求めるのは、やや無理があるように思えます。
あくまで個人的な推測でしかありませんが、ジャスダック市場の取引低迷の理由として、個人投資家の投機マネーの逃避があるように思えます。2006年の新興株ブームの際には、短期間で高いリターンが得られるとして、IPO銘柄を中心に新興株の売買が非常に拡大しました。しかし最近では、IPO銘柄の数が減少したほか、以前ほどIPO銘柄の値上がりが見込みにくくなったことから、個人投資家のIPO銘柄離れは進んでいるように思えます。
FX(外国為替証拠金取引)の普及も忘れてはなりません。株式取引では取引を始めるのに数十万円から100万円近くが必要となりますが、FXの場合、レバレッジ(投資資金を超えた規模で取引すること)がありますので、数万円程度で取引を始めることができます。少額で取引が可能ということは、リスクも比較的高くなることが多いのですが、リスクの裏腹であるリターンも比較的高くなります。高いリターンを志向する個人投資家(投機家)にとって、FXはジャスダック市場(ひいては新興市場)よりも魅力的に思えるのでしょう。
大阪証券取引所は、ジャスダック証券取引所をTOB(株式公開買い付け)をすることを予定していますが、当初8月と見込まれていたTOBは、10月以降にずれ込む見通しです。報道によると、ジャスダック株の7割強を保有する日本証券業協会との価格交渉が難航しており、両者が想定するジャスダックの企業価値に100億円近い開きがあるためだそうです。
TOBがいつ実施されるかは不明のようですが、TOBが実施されるまでジャスダックが売買低迷を克服すべく大胆な動きをするのも難しいでしょう。言い換えればTOBが実施されるまで、ジャスダック市場の低迷は続くと見通したほうが自然といえ、時間が長引けば長引くほど、ジャスダック株の7割強を保有する日本証券業協会は、TOBの交渉において苦しい立場に追い込まれることになるのでしょう。
村田雅志(むらた・まさし)
●●●●●●●●●●今日のクイズ●●●●●●●●●●
ジャスダック市場に上場する939銘柄のうち9月11日に売買が成立したのは何銘柄?
●●●●●●●●●●クイズの答え●●●●●●●●●●
655銘柄(全体の69.8%)
(2003年8月8日以来、約5年ぶりの低い水準)
http://www.gci-klug.jp/klugview/2008/09/12/003622.php