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インフレターゲットの説得力をなくしたニュージーランドの大幅利下げ(KlugView)
2008/09/11 (木) 14:30
9月11日、ニュージーランドの中央銀行であるニュージーランド準備銀行(RBNZ)は、政策金利であるオフィシャルキャッシュレートを0.50%引き下げ7.50%としました。ニュージーランドの利下げは、今年7月の5年ぶりの利下げに続き、今年2回目となります。
為替市場では、RBNZが利下げをするだろう、との予想をほぼ100%織り込んでいましたが、利下げ幅は0.25%に留まるとの見方が大勢でした。しかしRBNZは、市場予想を裏切るかのように一気に0.50%も利下げをしています。RBNZのボラード総裁は、利下げ後に発表した声明において、ニュージーランド経済の減速感は、家計を中心に非常に大きく、企業はコスト高と需要の低迷で苦しんでいるとの見方を指摘しています。市場が考える以上にニュージーランド経済は悪化しているとのメッセージを、RBNZは市場に打ち出したといえます。
市場が利下げ幅を見誤った大きな理由は、足元で進行しているインフレを懸念したためです。ニュージーランドの消費者物価指数の伸びは、4−6月期で前年比4.0%と、3四半期連続で伸びが高まっています。7−9月期の伸びも、5%台に拡大することが見込まれており、これは、RBNZのボラード総裁も声明文などで認めています。
ただ、ボラード総裁の声明文によると、ニュージーランドのインフレ圧力は、短期的には高まるだろうが、中期的には経済活動の鈍化によって低下するだろうとしています。そして、中期的にインフレ圧力が低下する以上、金融政策を緩和(つまり利下げ)方向に導くことは適切な措置であるとしています。
たしかに、理論的には景気減速が続けば、インフレ圧力は低下し、いずれは(中期的には)インフレも沈静化することが見込まれるでしょう。しかし、「いずれ(中期的)」は、具体的にいつなのかが明示されない(できない)のに、それを理由にインフレ懸念を押しのけ、市場の予想を上回る利下げを実施するのは、やや疑問が残ります。
ニュージーランドは、世界的にもいち早く「インフレターゲット」という手法を金融政策に取り入れた国です。インフレターゲットとは、中央銀行が望ましいとされる物価上昇率(インフレ率)を設定し、設定したインフレ率に収まるよう金融政策を実施することです。
ニュージーランドのインフレターゲットは、消費者物価指数の前年比(CPI前年比)を中期的に1〜3%に収めることです。先にご紹介したように、足元(今年4−6月期)のCPI前年比は4.0%と、すでにターゲットを超えており、次期(今年7−9月期)もターゲットを超え続ける見込みです。
こうした状況にもかかわらず、インフレターゲットの先進国ともいえるニュージーランドは、インフレ圧力を高めるとされる利下げを実施しました。インフレターゲットとは、時と場合によっては無視されるもの、という実例を我々は目にしたわけです。日本においてもインフレターゲットを実施すべきだと主張する方々は、今回のRBNZの判断について、どのようなコメントを出すのでしょうか。個人的に、大変、興味深いものがあります。
村田雅志(むらた・まさし)
●●●●●●●●●●今日のクイズ●●●●●●●●●●
インフレターゲットって何?
●●●●●●●●●●クイズの答え●●●●●●●●●●
中央銀行が望ましいとされる物価上昇率(インフレ率)を設定し、
設定したインフレ率に収まるよう金融政策を実施すること。
http://www.gci-klug.jp/klugview/2008/09/11/003617.php